Adobe Stockコントリビューター山田悠人氏インタビュー

Adobe Stockコントリビューター
山田悠人氏インタビュー
その一点の写真から世界へ!
Adobe Stockで作品投稿しよう。

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T.M

キヤノンイメージゲートウェイ編集部

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2020.12.28

ストックフォトで写真を販売して収益を上げる。そんなの夢だと諦めていませんか? 最初は誰でも趣味で始める写真です。好きなものや得意なジャンルにこだわって、さらにキラッと輝く個性のフレイバーを加えれば、夢は大きく近づくはず!

Adobe Stockに多くのベストセラー作品を提供しているフォトグラファーに、成功する秘訣を聞くこのシリーズ。今回は、ベルリン在住のフォトグラファー、山田悠人さんにインタビューしました。本格的な撮影活動は2015年からというから驚き。SNSでのブレイクが転機になったそうですよ。

山田悠人氏

山田悠人(やまだ・ゆうと)

広告代理店勤務を経てニューヨークに留学。帰国後、フリーランスのグラフィックデザイナーに。2013年よりドイツの首都ベルリンに活動の拠点を移し、フォトグラファーとしても活動中。作品集に『SILENT WORLD 消えゆく世界の美しい廃墟』(パイインターナショナル 刊)がある。

世界中のクリエーターが
利用する
Adobe Stockで
チャレンジしたい。

世界中のクリエーターが利用するAdobe Stockでチャレンジしたい。

───山田さんがAdobe Stockのコントリビューターになったきっかけは何ですか?

グラフィックデザインの仕事でAdobe Stockの写真はよく使っていましたが、作品を販売できるのは限られたプロだけだと思っていました。でも、ベルリンでコントリビューターをしている人に出会い、誰でも作品を販売できると教えてもらってからですね。


世の中にたくさんのストックフォト・サービスがあるなかでAdobe Stockを選んだのは、ブランドの信頼性が大きいですね。Adobeのアプリケーションソフトを使っている世界中のクリエイターやデザイナーに作品を見てもらえます。Adobe Stockで写真を販売することが実力の証明にもなる。フォトグラファーとしての活動のモチベーションにつながっています。

───Adobe Stockには1億点もの写真や動画などの素材がアップされていますが、選ばれるために必要なことは?

選ばれようと思って撮っているわけではなく、写真を始めたときから現在に至るまで、自分が好きなもの、美しいと思うものを追いかけて撮っているだけなんですよ。この記事を読んでくださるみなさんと変わらないと思います。


人とは違う個性があるとすれば「デザイン感覚」ではないでしょうか。それが自分らしい表現につながっているのかもしれません。


実例をあげましょう。Adobe Stockで最もよく売れている私の作品は、香港で撮ったビルを見上げた写真なんですよ。有名な建物でも珍しい被写体でもない。でも、構図の美しさは感じてもらえると思います。いつもそうなのですが、カメラを構えてファインダーをのぞくと、左右均等のシンメトリー、中央ぞろえのバランスなど、自然にきちっとした構図が取れているんです。

空を切り抜いたような香港の風景。Adobe Stockで最も人気の高い山田悠人さんの作品。

空を切り抜いたような香港の風景。Adobe Stockで最も人気が高い山田悠人さんの作品。

───それが「デザイン感覚」なのですね。きちんと撮るには、三脚は必需品ですか?

いいえ、基本的に手持ちです。構図の感覚は、私の特技ですね。模様替えをしてリビングにテレビを置くとき、「このへんかな」と適当に置くじゃないですか。あとで測ってみると、ぴったり壁の中央。これはグラフィックデザイナーの「職業病」かも(笑)。でも、こういった感覚で撮った写真だから、見た人が「すっきりして使いやすい」「バランスが気持ちいい」と思ってもらえるのではないでしょうか。


どんな写真が売れるのか、一概には言えませんが、自分の感覚で自由に選んだ被写体でいいと思います。「これは美しい」「これは面白い」「これはすごく好き」という感覚を信じる。そこに何らかの特技を生かせば個性的な写真になるはずです。


あとは、実際に作品が使われることを想定して、文字が入れやすいような構図で何パターンか撮っておく。写真を選ぶ人が使いやすいバリエーションを意識するのも、ストックフォトで選ばれるポイントかもしれません。

ヘリコプターから空撮した東京の夜景。東京タワーが画面のアクセント。

ヘリコプターから空撮した東京の夕景。東京タワーが画面のアクセント。

美しい風景を大切な人に伝えたい。
それが作品づくりのモチベーション。

───山田さんが写真を撮り始めたきっかけは何ですか?

カメラを手にしたのは、東京でグラフィックデザイナーになってからなんですよ。ドイツへの移住が決まって、会えなくなる日本の友達100人を撮影して、レストランバーで展示しました。みんなに見てもらいたい。喜んでもらいたい気持ちだけで撮影しました。それが原点ですね。


私はいつも「写真とはコミュニケーション・ツール」だと思っています。自分が好きな対象、美しいと感じる対象に向き合い撮影する。その写真を見た人が、また「いいな」と思ってくれたり、感動してくれたりする。そのために写真を撮っているのかもしれません。

───現在の山田さんのスタイルにつながる作品づくりは、ドイツ移住後に本格化していったのですか?

そうですね。最初に住んだのはベルリン郊外の森に囲まれた湖のそばでした。夕日の色や星の輝きなど、自然の風景が圧倒的に美しかった。この風景を東京の友人や家族に伝えたくて、フルサイズのEOS 6Dを手に入れて撮り始めたのが本格的な撮影のスタートです。


しばらくしてベルリン市街地に引っ越すと、今度は「廃墟」の撮影にハマりました。日本にはない巨大なスケールの廃墟があって、非現実的なイメージに圧倒されたんです。カメラを持って廃墟めぐりに出かけるのが週末の趣味になっていったのも、日本の友人に「こんなところがあるんだよ」と伝えたい気持ちが強かったですね。

ベルリンの廃墟で撮影。舞台にグランドピアノが残されていた。

ベルリンの廃墟で撮影。舞台にグランドピアノが残されていた。

ベルリンで撮影。使われなくなったレーダー施設の廃墟。

ベルリンで撮影。使われなくなったレーダー施設の廃墟。

東京に一時帰国したとき、今度はドイツの森や街とは違う大都市・東京の光の洪水、人や情報量の多さに圧倒されました。東京を離れていたことで、逆に東京のすごさに気づき、夢中で撮影しました。その写真をInstagramにアップしたら、「いいね」やコメントをたくさんもらって。そこから急加速して写真に情熱を傾けるようになりました。

───それが2015年ごろの出来事ですか。現在まで急激な歩みですね。

気がついたらフォロワーは約9万人に。世界中から150万もの「いいね」が付いた写真もあるんですよ。人はいままで見たことがないものに感動するのだと思います。東京からベルリンに行って出合った廃墟や、逆に日本に戻って気付いた東京の風景など、自分にしかない強みが出せているのかな、と思います。

川面に広がる満開の桜。空がハート形に抜けている。Instagramで150万「いいね」を獲得した作品。

川面に広がる満開の桜。空がハート形に抜けている。Instagramで150万「いいね」を獲得した作品。

撮るだけではもったいない!
夢は、一枚の写真から始まる。

───山田さんの作品には、よく知られた日本の撮影地もたくさん登場します。どんなふうに個性的なイメージを作っていくのですか?

好きな映画やゲームなどからインスピレーションを受けていて、撮影前に撮りたいイメージができていることが多いですね。InstagramなどのSNSもよく参考にします。気になった撮影地を見つけたら、自分ならこんなふうに撮りたいなとイメージを膨らませ、理想的な時間帯に現場に行き、構図を整え、理想の瞬間を待ってカメラで切りとっていきます。

───人気の撮影地は、他にも撮っている方が大勢います。撮りにくくないですか?

撮影現場で出合った人との会話を大切にしているので、得るもののほうが多いです。「このあとどこで撮ったらいいですか?」と、おすすめの撮影地を教えてもらうことも。私よりずっと撮影地に詳しく、いい写真を撮られている経験豊富な方がたくさんいらっしゃるんですよ。だからいつも「もっと写真を共有したほうがいいですよ!」と、SNSやAdobe Stockでの発表をおすすめしています。

中山道・木曽路の宿場町。S字に曲がった道路と影が印象的。犬を連れた人物がアクセントに。

中山道・木曽路の宿場町。S字に曲がった道路と影が印象的。犬を連れた人物がアクセントに。

───いい写真を撮っている人はたくさんいるのだから、まずはAdobe Stockで作品を発表してみようよ! ということですね?

自分が好きな被写体を自由なセンスで撮影して、みんなに写真を共有していく。その先にSNSでの評価や、Adobe Stockでの成功があるのだと思います。私は写真が売れることより、世界中の人とつながれる実感のほうがうれしい。この喜びをぜひみなさんと共有したいですね。

撮るだけではもったいない。多くの人に見てもらってマイナスになることは何一つありません。もしかしたら、一枚の写真がきっかけで有名になれるかもしれませんから。ぜひチャレンジしてほしいです。

機内から撮影した富士山。日本への旅情をかき立てるような作品。

機内から撮影した富士山。日本への旅情をかき立てるような作品。

Adobe Stockで売れている写真は、好きな被写体を自分のセンスで切りとった写真。山田さんのお話を聞いて、ちょっと遠い存在? と思っていたAdobe Stockが、グッと身近に感じられました。Adobe Stockへの作品投稿で、写真の世界が広がりそうです!