質問して上達!RAW現像入門 vol.04 ~思いどおりに作品を仕上げよう~

講師紹介

「作品をイメージどおりに仕上げるには、どうすればいいの?」RAWデータの現像と画像調整についての質問・疑問・お悩みを実例で解決! キヤノンのRAW現像ソフト「Digital Photo Professional(DPP)を使い、実際に作品を仕上げるプロセスを公開しながらお答えしていきます。

雄大な雪山の“白さ”を表現するには?

“ヒストグラム”を確認しながら撮影しよう。

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雪山の銀世界を撮りたくて、雪山に向かいました。天候や到達時間や、撮影に適した時間帯を調べ、今回はゴンドラやリフトを乗り継ぎました。山頂付近はまだ雲で 覆われていました。方位磁石で太陽の位置を確認。山肌への光と影で、山肌の立体感と雪の斜面の美しいディテールが出るまで、待つこと1時間半。陽が差し、雲が流れていく場面でシャッターを切りました。 強風のため三脚を使用してもブレてしまいそうだったので、ISO感度を調節しながら、やや高速シャッターを切ることにしました。ただ、周囲が雪原でまぶしいためカメラの背面モニターだけでは露出が合っているかどうか確認しづらい状況でした。

適正露出を生み出すためには、段階露光(+、ーで露出補正)をします。画像調整することを前提なので、ピクチャースタイルを“忠実”設定。また、雪の白が“白飛び”を起こさないように、やや暗く撮るのがポイントです。 白飛びとは、ハイライトの階調がなくなることで、ヒストグラムのグラフが右側にくっついてしまっている状態を意味します。撮影時にはモニターでの画面確認よりも、ヒストグラムの確認をしっかり行います。
雪山の天候は変わりやすく、麓から山を見ると天気が良さそうに見えても、頂上付近では強風が吹き荒れ、立っていることさえままならないことがあります。寒さ対策を万全にしましょう。また、寒さで電池の消耗が激しくなることを想定して、予備電池を持っていくこと。カメラバッグも防水性の高いものが安心ですね。

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EOS 5D Mark III・EF24-105mm F4L IS USM・1/250・F16・ISO200・ホワイトバランス「太陽」・ピクチャースタイル「忠実」

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plan 雪が降り積もった奥の山肌の質感をしっかり強調していきたい部分です。コントラストが低い“ねむい” 印象から調整していきます。
plan 雪に覆われた斜面。木立の細部まで、しっかりと見せたい部分です。 シャープネスを調整して仕上げていきます。
plan ホワイトバランスが合っていないため、白い雪がやや青みがかってしまいました。雪の白さを再現して、白銀の世界を表現したいです。

画像調整 3つのステップで“理想の作品”に仕上げていこう。

step01 白銀の世界。雪の“白さ”を表現したい
〈クリックホワイトバランス〉で色合いを調整。

ホワイトバランスが合っていないため、白いはずの雪が 青みがかって見えます。そこで〈クリックホワイトバラ ンス〉でホワイトバランスを調整します。選んだ箇所を 白の基準としてホワイトバランスを調整し、自然な色合 いにできます。光源の影響で白の色合いが変わっている部分にクリックホワイトバランスを行うと効果的です。 本来の“白”として見せたい部分をスポイトでクリックするだけ。注意点は、“白飛び“(明るすぎて白ではない)場所を選ばないことです。

〈明るさ調整〉+0.17 〈明るさ調整〉 ?0.17

DPP のホワイトバランスメニューから〈クリックホワイトバランス〉を選択。スポイトで、画像中で本来白であるべきはずの場所をクリックします。
〈クリックホワイトバランス〉について詳しくはこちらへ。
(キヤノン「CREATIVE PARK」フォトレタッチ)

step02 全体的に“ねむい”画像をくっきりと表現したい
〈コントラスト〉をプラス側に動かして強調。

ピクチャースタイルを“忠実”に設定していますので、撮影時からコントラストは低い状態です。ハイライト部 分が白飛びしてしまわないように撮影段階から注意する ためです。ただし、このままでは全体的に陰影が少ない写真になってしまうので、コントラストを強調します。 〈コントラスト〉のスライダーを+2にするほか、〈ハイライト〉+1、〈シャドウ〉-1にして、陰影をつけて調 整画像が完成です。

〈コントラスト〉0〈ハイライト〉0〈シャドウ〉0 〈コントラスト〉+2〈ハイライト〉+1〈シャドー〉-1
step03 雪に覆われた斜面の質感を出したい
〈シャープネス〉で雪肌の細部を美しく仕上げる。

ピクチャースタイル「忠実」で撮影したため、シャープ ネスは効いていません。シャープネス処理は、一般的に は DPP の〈シャープネス〉を使用しますが、より細かな調整のためには〈アンシャープマスク〉を活用します。 シャープネスをかける〈細かさ〉を「4」にして輪郭/エッジの太さをくっきりさせます。〈しきい値〉は輪郭/エッジのぼかし、もしくは強調の程度の調整で、これを 「5」に。〈強さ〉とは全体の効果/強調のことで、これを「6」に設定して調整完了です。
調整作業は、拡大率100パーセント表示で行いましょう。

<色あい> +4 <色あい> -4

完成

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天候などのコンディションによって、雪山の表情はさまざまに変わります。 雪の白さを追求するならRAWモードで撮影すると思いどおりに仕上がります。 登山はルールを守って、安全を十分確保して撮影に臨みましょう。

質問を送ってステップアップ! RAW現像質問箱 質問・お悩み募集中!

「RAW現像質問箱」は、皆さまからお寄せいただいた質問に、写真家・出水惠利子先生がプロの視点からお答えするQ&Aコーナーです。「RAW現像」についての疑問・お悩みなど、どんどん送ってくださいね!

RAWで撮影した画像を、JPEGに変換する方法を教えてください。

Q

「DPP 3.0」をお使いであれば、上部のメニューの右端に「一括保存」というボタンがあります。1枚のRAW画像から大量のJPEG画像へと変換することが可能です。撮影した画像データのサイズを変更、もしくは名前を変更して保存することもできます。

いつもはRAWとJPEGの両方で撮影していますが、RAW単独で撮る場合、何か注意点はありますか。

Q

JPEGで撮る場合は、お使いのカメラ機種特有の色で画像が仕上がります。その仕上がりに満足でしたら、RAWとJPEGの両方で撮影してもよいと思います。ただ、ご自分で現像なさるのが前提の場合は、RAWデータのほうが豊かな階調表現で保存されますので、「RAWのみ」の撮影でもよろしいと思います。

「RAWでもJPEGでも、仕上がりは大差ない」と言って譲らない初心者には、どうアドバイスすればいいのでしょう?

Q

さまざまなご意見がございますね。使用するカメラ機種によってJPEGの仕上がりが異なりますので、お使いになられる方の好みも、そこで左右されます。人それぞれ、目の色が違い見える色も違っています。
JPEGで撮るときは、光の当たり方や、露出が適正に撮影された場合は、とても美しい仕上がりになります。しかし、極端に白いものや黒いものを撮った場合などは、JPEGよりはRAWが断然有利です。たとえば、深紅のバラの花のアップを撮影したとき微妙なグラデーションで表現したかった写真が、JPEGでは省略されてしまうことがあります。
「ディテールにこだわりたいときはRAWで撮ってみては?」と薦めてみるなど、撮影する被写体によって使い分けするようにアドバイスしてみてはいかがでしょう。

RAWで撮る場合もブラケットで段階補正する方がよいとのことですが、動体撮影の場合、その都度段階補正していたら、3段のオートブラケット使用でシャッターチャンスが3分の1になります。よって今までの経験から、おおよその露出補正(現像時に±1以内に収まる露出補正)で撮り、現像時に補正しています。これは良くないのでしょうか?

Q

かなり上級者のご質問ですね。よく研究されて真摯にお撮りになっているご様子。正確な露出が取れて、的確なホワイトバランスやカメラ設定ができれば問題ありません。ご自身が扱いやすい方法でよろしいと思います。
状況によってISO感度、撮影時の露出がわかればよいのです。撮っていくうちに、たとえばISO感度100のときはシャッター速度と絞りがいくつになるか、計算が瞬時にできるようになります。そこまでできるようになると、RAWで撮影するメリットが生きてくると思います。これからも撮影を楽しんでくださいね。

画像処理ソフト「Adobe Photoshop Lightroom」を使用しています。プリンターはPIXUS Pro9000ですが、思うような色が出ていません。おすすめの使い方を紹介してください。

Q

汎用ソフトからPIXUSでプリントするときは、キヤノンのプリンタードライバーを活用してください。また、汎用ソフトと「DPP」とでは、色の処理が異なります。キヤノン純正ソフトである「DPP」から、やはりキヤノンのPIXUSに最適化されたプラグインソフト「Easy-PhotoPrint Pro」でプリントされると、ご満足いただけると思います。
「Easy-PhotoPrint Pro」についてはこちら(「Easy-PhotoPrint Proガイド」)

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講師 出水 恵理子 先生

1971年、東京都生まれ。東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ)卒業。
広告を中心にフリーランスで活動中。海やテトラポッドの作品をライフワークとしている。EOS学園講師としても活躍中。