質問して上達!RAW現像入門 vol.02 ~思いどおりに作品を仕上げよう~

講師紹介

「作品をイメージどおりに仕上げるには、どうすればいいの?」RAWデータの現像と画像調整についての質問・疑問・お悩みを実例で解決! キヤノンのRAW現像ソフト「Digital Photo Professional(DPP)を使い、実際に作品を仕上げるプロセスを公開しながらお答えしていきます。

上達へのギモン 夜景イルミネーションのキラキラ感を出すには?

イルミネーションは“立体感”を表現しよう。

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暗闇の中に新しくできた街のように、神秘的な世界が広がっているイルミネーション。感動のあまりシャッターを切っても、暗闇と光のコントラストばかりが目立って立体感に欠け、スケール感が伝わらなくなってしまいます。
造形的に全体を見せるポイントは“立体感”です。広がるイルミネーションの絵柄を複写するのではなく、レンズや絞りの効果を最大限に生かすこと。遠近法を活用して手前が大きく写り、奥に余計な物が写り込まないカメラポジションを探し、構図が決まったら三脚を設置しましょう。

最近は全体的に明るいLEDのイルミネーションが多いため、カメラは「明るい」と判断して、「露出アンダー」に写し出そうとします。とくに今回の作品のようなブルー系のLEDは、目で見ると青いはずなのに、やや赤味がかって写ってしまいます。
そこで露出は、基本的に「プラス補正」をします。段階露光(適正と思われる露光量の前後を撮影すること)は必須です。液晶モニタで確認すると明るいほうがキレイに見えますが、「白トビ」(明るくなりすぎてデータがない状態)させてしまうと、RAWでも直すことはできません。輝度差が大きいイルミネーション撮影こそ、RAWのメリットを実感できるはずです。

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EOS 5D Mark III・EF24-105mm F4L IS USM・1/160・F9.0・ISO6400・ホワイトバランス「日陰」・ピクチャースタイル「ニュートラル」

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plan やや紫色に「色転び」してしまいました。すっきりとブルーで仕上げれば、イルミネーションを神秘的な雰囲気にすることができそうです。
plan 作品のアクセントになるのが三角帽子のようなオブジェ。この部分の「くすみ」をなくせば、画面全体のまとまりが出せるはずです。
plan 球状のオブジェの背景の黒く沈んだ暗部は、ざらつき感がないクリアなシャドー部にして、しっかり引き締め仕上げたいところです。

画像調整 3つのステップで“理想の作品”に仕上げていこう。

step01 神秘的な深いブルーをイメージさせる色彩を表現したい
〈ピクチャースタイル〉を切り替え全体のイメージを整える。

私にとって「神秘的」なイメージといえば、赤味を抑えた透明感のある深いブルーです。カメラやカメラ設定などの条件にもよりますが、この作品の場合、全体の雰囲気と色調を整えるために、「ホワイトバランス」と「ピクチャースタイル」を切り替えます。LEDのイルミネーションをブルーの色調で整えるなら、ホワイトバランスは「日陰」(約7000K相当)を試してみてください。また、ピクチャースタイルは「風景」にすることで、コントラストがつき、色が際立ってきます。

<ホワイトバランス> 太陽 <ピクチャースタイル> ニュートラル <ホワイトバランス> 日陰 <ピクチャースタイル> 風景
step02 オブジェの“くすみ”を抑えて“キラキラ感”を強調したい
〈明るさ調整〉スライダーを右(+側)に動かして調整する。

三角錐のオブジェの「白飛び」を抑えるため、撮影段階でややアンダー気味のカットをセレクトしました。そのままでは全体がぼんやりして、料理でたとえるならスパイスが利いていない感じです。キラキラ感不足も明るさが足りないから。step01で全体のコントラストが調整できているので「コントラスト」のスライダーはいじらず、今度は「くすみ」がなくなる程度に、「明るさ調整」スライダーを右側(+0.33)に動かします。

<コントラスト> 強すぎ <コントラスト> 適量
step03 シャドー部のざらつきをなくしてクリアに仕上げたい
〈ノイズリダクション〉でシャドー部を調整する。

「ノイズリダクション(NR/ALO)」のタブをクリックすると、「輝度ノイズ緩和レベル」「色ノイズ緩和レベルという2つのスライダーが現れます。長時間露光などで露光量の少ないアンダーな写真に出やすいのが「輝度ノイズ」という現象です。一方の「色ノイズ」は、高感度撮影などによって、シャドー部に本来はない赤や青の色が出てきてしまう現象です。今回は、シャドー部に目立つ色を抑えるため、主に「色ノイズ」を調整します。画面を100%表示にして、NRプレビューを見ながら調整します。

<シャープネス> 強すぎ <シャープネス> 適量

完成

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闇とイルミネーションの光だけで構成した作品は、中間調が極端に少ないため、JPEGでは微妙な諧調が失われてしまうことがあります。RAWモードで撮影して画像調整することで、細部にわたってイメージしたとおりの作品に仕上げることができます。皆さんも素敵なイルミネーションに出合ったら、ぜひRAWモードで撮影して、印象的な作品づくりに取り組んでみてください。

Q RAW現像質問箱

RAW現像に関する疑問・質問・お悩みに、写真家・出水惠利子先生がお答えするコーナーです。

今までJPEGで撮っていますが、本当にRAWでなければダメなのでしょうか?

Q

JPEGはカメラ固有の色や、ピクチャースタイルが選択され、カメラがそれなりの絵づくりをしてくれます。それで満足できるなら、JPEGでも素晴らしい写真が撮れます。ただ、たとえばJPEGだと「そこまで色を誇張しなくてもいいのに」というとき、やや派手な色に転んでしまったり、ハイライト、シャドーが多い画像の場合、細部が少々省略された画像になってしまうことがあります。被写体によってはRAWで撮影すると、階調豊かなデータが得られますので、RAWで撮影するメリットを実感できるはずです。

カラーマネージメントのマッチング方法を教えてください。
「相対的」「知覚的」の2とおりがありますが、私は通常「相体的」を使用しています。

Q

使用する機種、使用目的によって異なりますが、PIXUS PRO-100、PIXUS PRO-10をお使いいただいているとしたら「相対的」で合っています。「知覚的」は色域外の色が多く含まれる写真に向いています。たとえば、朝夕の空の色などです。「相対的」は、再現できない色を近い色に近づけます。被写体を見たまま忠実に再現することを前提で考えますので「相対的」がいいですね。以前は「知覚的」を推奨しましたが、デジタル技術は日進月歩です。新しい機種では、最新の方法を選ぶことで思いどおりの仕上がりが期待できるでしょう。「カラーマネージメント」についてはこちら

DPPで細心の注意を払ってRAW現像しても、パソコンのディスプレー上の色と実際プリントしたときの色のズレが気になります。

Q

よく聞く話ですね。基本的に、完璧に色が合うことは不可能です。なぜなら、モニターは透過された画像であって、プリントは反射物だからです。お使いになるモニターによって見え方が違いますし、見るときの周囲の環境光も影響します。お使いのプリンターがきちんと色を出しているか、モニターとの誤差はどうかを簡単に確認する方法としては、カラーチャートまたは、グレーチャートを順光で撮影します。そのときピクチャースタイルは「忠実設定」にします。そうして撮影したカットを「ストレートプリント」して、モニターと見比べてみると、違いのズレがわかります。

キヤノンのRAW現像ソフト「Digital Photo Professional(DPP)」で現像してからプリントという流れを紹介されていますが、プラグインソフト「Print Studio Pro」を使用してRAW画像のまま、PIXUS PRO-100でプリントしています。それは間違っていますか?

Q

大丈夫です! RAWで撮影したからといって、必ずしもDPPで画像調整しなくてはならないわけではありません。撮影露光で露出を追い込んでいるなら、そのまま、ストレートプリントで良いですよ。「Print Studio Pro」は、プロのワークフローを意識した機能を数多く搭載した、新プラグインソフトです。「DPP」や「Adobe Photoshop」などの画像編集ソフトと連携。従来の「Easy-PhotoPrint Pro」の機能がさらに進化し、より効率的に作品を仕上げられます。「Print Studio Pro」についてはこちら

色の濃さを調節する場合、特に赤系は諧調を失わないように調節をしたいのですが、どうしてもコントラストを高く仕上げてしまいがちです。最初からアンダーに撮ってRAWで仕上げる方向に持っていったほうが良いのでしょうか?

Q

コントラストがかなりきつめに入っている写真を良く見ます。単一色は色飽和しがちで、アンダーに撮るとよいと考えがちですが、光の角度と露出が重要になります。プリントサイズはどのくらいにするかによって調整は異なります。A4サイズ以下であればコントラストは、やや強めでも構いませんが、A4以上でプリントする場合は、コントラストやシャープネスは控えめにするといいでしょう。

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講師 出水 恵理子 先生

1971年、東京都生まれ。東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ)卒業。
広告を中心にフリーランスで活動中。海やテトラポッドの作品をライフワークとしている。EOS学園講師としても活躍中。