RFレンズ、1本持って旅に出る!

RF85mm F1.2 L USM DS 1本で
伊豆・河津桜を撮りに行ってみた。

著者

T.M

キヤノンイメージゲートウェイ
編集部

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2020.3.20
(2月上旬撮影)

「RFレンズ」シリーズから注目の1本をチョイス。「1本シバリ」でどんな写真がモノにできるのか。あえて制約を設けて、限界突破しながら撮影を楽しんでみる企画です。いつか旅ができるようになったときの参考にしてみてくださいね。
今回の1本は、美しいボケに定評がある単焦点中望遠レンズ「RF85mm F1.2 L USM DS」。これ1本持って、さあ、どこへ行きましょうか、中西さん?

写真と語り:中西祐介(フォトグラファー)

早咲きの桜を撮る。
RF85mm「DS」1本で伊豆・河津へ!

河津にやってきた中西さん

RFレンズ1本で旅に行ってきて……と手渡された RF85mm F1.2 L USM DS。この大口径単焦点レンズで撮ってみたいと思った被写体は、真冬の2月に見頃を迎える早咲きの河津桜でした。滑らかなボケ味を実現した「DS」で撮ると、どんなボケ描写が得られるのか。ワクワクしながら新幹線に乗り込みました。

RF85mm F1.2 L USM DS とは?

RF85mm F1.2 L USM DS

RF85mm F1.2 L USM」と同じ焦点距離、
同じ開放F値の「RF85mm F1.2 L USM DS」。DS(Defocus Smoothing)とは、キヤノン独自のDSコーティングという特殊な蒸着技術の名称。通常のレンズよりもボケの輪郭が滑らかで、美しいボケ描写を実現しています。

RF85mm F1.2 L USM DS × 河津桜  旅のはじまり、河津七滝。

熱海を過ぎると、輝く海だった。

作品1 輝く海

EOS R・RF85mm F1.2 L USM DS・F8・1/8000・ISO100

朝早い新幹線で東京駅を出発。熱海で在来線に乗り換え。しばらくすると車窓に海が見えてきました。さっそく一枚。海に反射する光を主役にして撮影してみました。光が穏やかな表情で私を歓迎してくれているように見えたので、光が写真の中で生きるように露出はアンダーに。ハイライトが浮き上がりました。

今回は85mm1本しか持っていません。85mmという画角の特徴を生かそうとは考えず、ファインダーの中に見えた景色を見て、感じたままにシャッターを切っていきます。

旅に出て写真を撮るときは、いつも頭の中を空っぽにします。イメージにとらわれてしまうと、感情の動きに反応できなくなってしまうから。

85mm 1本で滝を撮る。
はじめての体験!

作品2 滝と橋

左)EOS R・RF85mm F1.2 L USM DS・F1.2・1/1250・ISO800
右)EOS R・RF85mm F1.2 L USM DS・F1.2・1/3200・ISO800

河津駅を降りて最初に訪れたのは、滝の名所「河津七滝(ななだる)」です。単焦点85mmだけで滝を撮る。初めての経験ですが、心が動いたものを撮っていきます。流れ落ちる迫力を見せたくて可能な限り滝に寄ってみました。水しぶきは一瞬一瞬で表情が違います。

吊り橋を見つけました。開放絞りでピントの合う範囲を小さくして、あえて見えない部分を作ることで写真に「奥行き」を作ってみました。この画面の「奥行き」が、写真を見る人の感情が入り込む「余地」を作り出すのです。開放F1.2のボケ味だからこそ撮れた一枚です。

知ってる?「カニ」フィルター。

カニフィルター

この旅に持参したのは、話題の「KANIフィルター」。私が持っているのは100mmの角型フィルターや円形のPLフィルターを使用できるホルダーです。使い勝手がよくフィルターの質も優秀。安心して使用できます。

かに滝とカニフィルター 「かに滝橋」前でカニフィルターと記念写真

気に入っているポイントは、防油、防水、防塵のコーティングが非常に強く、汚れが付いても容易に拭き取ることができること。ハーフNDのグラデーションがなだらかで、美しい効果が期待できます。
口径の違うフィルターを何枚も持たずに済むので、撮影旅行におすすめです。

\ さて、このへんでランチタイムです!/

《今回の旅メシ》 「かどや」の名物わさび丼

「かどや」の名物わさび丼

EOS R・RF85mm F1.2 L USM DS・F4・1/400・ISO6400

旅先でおいしいものをいただくのも、この企画の「お約束」。河津といえば、わさびですね。わさび丼で有名な「かどや」さんを訪問しました。テーブルに座ると店員さんが生わさびとおろし金を出してくれます。それを自分で下ろして、丼の上に乗せていただきます。これは本当に美味。ただ辛いだけではない、ほのかな甘みから辛みへと味の深みが感じられるんです。

食レポ写真も、RF85mm F1.2 L USM DS で勝負。料理の美しさと柔らかさが表現できるように、窓から入ってくる優しい光を生かしました。「DS」らしい滑らかで美しいボケがいい感じ。これならポートレート撮影以外でも使いたくなりますね。

RF85mm F1.2 L USM DS × 河津桜   そして桜並木へ。

桜まつり初日の桜は、ほぼ満開!

作品3 ほぼ満開の河津桜

EOS R・RF85mm F1.2 L USM DS・F5.6・1/320・ISO320

河津桜の名所に到着すると、満開の桜が出迎えてくれました。天気が良かったこともあり、とてもいいロケーション。一足先に春を満喫しました。

ここでも手にしているレンズは RF85mm F1.2 L USM DS のみ。動きまわりながらさまざまな距離、角度からシャッターを切ります。レンズの切れ味が抜群であると同時に、ボケ味のトーンは柔らかいという2つの特徴が同居しているので、これまでにない仕上がりになりそう。風景として桜を撮るというよりも、ポートレートを撮るような感覚でレンズを向けてみました。

この写真では、空のトーンを少し落としたかったので先ほど紹介した「KANIフィルター」のハーフNDを使いました。なだらかなトーンを出したいときは重宝しますよ。

第26代「ミス伊豆の踊り子」、降臨。

作品4 第26代ミス伊豆の踊り子 正面

EOS R・RF85mm F1.2 L USM DS・F2・1/640・ISO200

河津といえば川端康成の小説『伊豆の踊子』ゆかりの地。河津町観光協会にご協力いただき、「ミス伊豆の踊り子」に来ていただきました。美しい河津桜を背景にポートレート撮影です。

RF85mm F1.2 L USM DS の特徴である背景のボケ味に注目を! コーティングなしのボケ味と比べると、フォーカス部分からゆっくりと背景が溶けていくように柔らかく、温かい雰囲気が醸し出されているのがわかりますか? DSレンズを開発した理由がよくわかりますね。他のレンズではこのようにはいきません。

このボケ描写により、写真のずっと奥までストーリーが続いていくように感じられ、深みが増すと感じます。メインの被写体を主役とするならば、背景は脇役。このレンズで名脇役を作り出すことができました。

取材協力:河津町観光協会

作品5 第26代ミス伊豆の踊り子 横顔

EOS R・RF85mm F1.2 L USM DS・F3.5・1/1250・ISO200

笑顔がすてきな女性だったので表情に寄って撮影しました。春らしく、希望や明るい未来を感じ取れる写真にしたいと考えました。

柔らかい背景のボケ味が特徴的な RF85mm F1.2 L USM DS ですが、フォーカス部分の描写も素晴らしい。無理なシャープさではなくナチュラルなシャープさです。髪飾りなどの細かい質感がしっかり描写されています。ハイライトからシャドウのコントラストもいい感じですね。肌の質感も素晴らしいです。

私がポートレート撮影で一番注目するのは「目の表情」です。これも想像以上。シャープさの中に柔軟さがあって美しい目の表情をとらえることができました。

取材協力:河津町観光協会

ミスとの交流

撮ったその場で、写真をモデルに見せてコミュニケーション。撮影者の意図を伝えれば、モデルもそれに応えようと動いてくれます。ポートレート撮影では重要ですね。

旅の終わり。
夕日に照らされた河津桜。

作品6 夕日に照らされた河津桜

EOS R・RF85mm F1.2 L USM DS・F3.2・1/1000・ISO250

旅の終わりは夕日に照らされる河津桜。昼間に撮影した桜が「バストアップ」のポートレートなら、こちらは「全身」のつもりで撮影しました。

単焦点レンズの面白さは、自分の足で被写体との距離を変える必要があること。ズームレンズでは気がつかない発見があります。桜の下に菜の花が咲いていることに気がついてフレームの中に入れました。

こちらも絞りを開け気味にして、前後のボケ味を生かしながら撮影しました。ゆっくりと傾いていく夕日に照らされ、刻々と表情を変えていく姿を写真に残してみました。

「1本シバリ」の撮影を終えて…… このレンズ、どうだった?

ポートレート以外にも使っていける!
未体験のボケ味がすごい
85mmのDS。

河津桜を撮影する中西さん

たった1日の旅ですが、レンズ1本だからこそ発見できた風景がたくさんありました。

RF85mm F1.2 L USM DS って、いわゆる「ポートレートレンズ」と思っていましたが、ちょっと違いました。ポートレート撮影以外でも大きな可能性を秘めているレンズでした。

特にDSコーティングは、これまでにない背景のボケ味を見せてくれましたね。もちろんフォーカス部分のシャープさや質感描写も一級品。ポートレートだけでなく、さまざまな被写体に使ってみたいレンズになりました。最初は1本だけで不便かなと思っていましたが、これが工夫して面白さにつながり、楽しい旅となりました。

次は、1本持ってどこに行きましょうか。次回をお楽しみに!

RF85mm、私ならDSかな。中西祐介

河津の峰温泉大噴湯公園の足湯に浸って、中西さんは旅をこう振り返った。

RF85mm F1.2 L USM DS

RF85mm F1.2 L USM DS

キヤノン独自の「DS(Defocus Smoothing)コーティング」と開放値F1.2の大口径により美しいボケ描写が可能な単焦点レンズ。

EOS R

EOS R

新RFマウント採用、フルサイズCMOSセンサー搭載ミラーレスカメラ。マウントアダプターの装着により、EFレンズ・EF-Sレンズも使用可能。

いかがでしたか?
バックナンバーもぜひご覧ください!

中西祐介

中西祐介(なかにしゆうすけ)
プロフィール


1979年 東京生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業後、講談社写真部、アフロスポーツを経て2018年よりフリーランスフォトグラファー。

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