解決!Rのギモン 第6回

第6回 風景写真家が実践する
EOS R カスタマイズとは?

工藤智道

工藤智道

写真家・EOS学園講師

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工藤 智道

1969年、横浜生まれ。 日本写真芸術専門学校卒。卒業後、風景写真家の竹内敏信氏に師事。4年間のアシスタントを経て独立。日本の自然風景、都市風景を撮り、夜景や花火の撮影もこなす。写真専門誌で撮影、執筆も数多くパソコン誌、デジタルカメラ専門誌でも活躍。日本写真家協会会員。

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2019.4.17

カメラ設定を買ったときの状態から変更することを「カスタマイズ」といいます。なぜわざわざ設定を変更するのでしょうか? それは風景写真を撮影するとき、ストレスなく撮影に集中できるようにしたいからです。

EOS Rで風景写真を撮影

例えば最も有名なカスタマイズといえば、「親指AF」(ピント合わせの操作をシャッターボタンではなく、親指で操作できるAF-ONボタンに変更すること)でしょう。私は新しいカメラを手にしたら、必ず親指AFに設定を変更しています。
※ EOS Rでの親指AFについては第1回で詳しく説明しています。

いま私の撮影現場でフル稼働しているミラーレスカメラEOS Rにも、やはり自分流のカスタマイズを施して使っています。これまで愛用してきた一眼レフカメラの操作に慣れ親しみ、もはや体が覚えているレベルですので、なるべく同等の操作感でEOS Rを扱いたいからです。

では、私流のEOS Rカスタマイズ設定を紹介しましょう。いままでのカメラの良い部分はそのままに、ミラーレスのメリットを生かすカスタマイズです。

風景写真家・工藤智道流 EOS R カスタマイズ設定

〈ボタンカスタマイズ〉

シャッターボタン

シャッターボタン

「測光開始」を選択

シャッターボタンを半押しすると測光開始する設定に変更。三脚使用時に不用意にAFが動かないようにするため。

動画ボタン

動画ボタン

「絞り込み」を選択

風景撮影に重要な「絞り込み」機能は、アクセスしやすい「動画ボタン」に割り当てている。絞り込んでも明るく見やすいEVFのおかげで被写界深度を容易に確認可能。

マルチファンクションボタン

マルチファンクションボタン

「AFフレーム中央戻し」を選択

不用意なAFフレームの移動を防止すると同時に、AFフレームを移動した場合でもすぐに中央に戻せるようにするため、シャッターボタン近くにある「マルチファンクションボタン」に機能を割り当てる。

表示パネル照明ボタン

表示パネル照明ボタン

デフォルト設定

暗い場所での照明として常に使用したいのでデフォルトに設定。

MODEボタン

MODEボタン

デフォルト設定

モード変更に使用。

AF-ONボタン

AF-ONボタン

デフォルト設定

「AF-ONボタン」でピント合わせ(通称「親指AF」)を行うため。
※ EOS Rでの親指AFについては第1回で詳しく説明しています。

AEロック/FEロックボタン

❇︎ボタン

「ISO感度」を選択

押しながらメインダイヤルを動かしてISO感度を変更。ファインダーをのぞきながらでも変更しやすい。

AFフレーム選択ボタン

AFフレーム選択ボタン

「EVF拡大」を選択

マクロ撮影など細かなピント合わせが要求される場合のために「EVF拡大」を割り当てる。ライブビュー時でもすぐに拡大表示できる。

十字キー

十字キー

「AFフレームダイレクト選択」を選択

動きのある被写体を撮ることが少なく、三脚を使ってじっくりと撮るため「十字キー」で確実にAFポイントを移動。

〈ダイヤルカスタマイズ〉

メイン電子ダイヤル(マニュアルモード時)

メイン電子ダイヤル(マニュアルモード時)

「Av」を選択

マニュアルモードで撮る際に、絞り値を設定するため。

サブ電子ダイヤル(マニュアルモード時)

サブ電子ダイヤル(マニュアルモード時)

「Tv」を選択

マニュアルモードで撮る際に、シャッタースピードを設定するため。
ただし、コントロールリングなしのレンズを使用する場合は、「ISO感度」に設定。

コントロールリング

コントロールリング

「露出補正(デフォルト)」を選択

「コントロールリングアダプター」などを使う場合には露出補正に割り当てる。

〈マルチファンクションバー カスタマイズ〉

マルチファンクションバー

M-Fnバー

「フレキシブルAE(項目移動)」を選択

Fvモードが操作しやすくなるため。また、Fvモード時に設定項目を変更するためにも使用する。

マルチファンクションバー 誤動作防止

M-Fnバー 誤動作防止

「無効」を選択

「Fvモード時のみ有効な機能」を割り当てているため(つまりFvモード時以外は機能しないので「無効」に設定)。

自分の撮影スタイルにフィットさせる その他の設定

  • 撮影画像の確認時間:4秒
    撮影後、少し長めに確認するため4秒に設定。
  • レンズ光学補正:全てON
    画質の向上が計れるため。
  • 高輝度側階調優先:D+2
    EOS Rで性能の上がった高輝度側階調優先はONに。屋外で撮る風景撮影の場合、輝度差が激しいことも多くいため。
  • 露出シミュレーション:ON
    撮影しながらも仕上がりを確認でき、大幅な露出補正でも結果がわかりやすいため。
  • 長秒時露光のノイズ低減:自動
    風景写真撮影では、長秒時露光をすることがよくあるため。
  • 高感度撮影時のノイズ低減:標準
    高感度にして高速シャッターで撮る場合もあるため(標準の処理で十分にきれい)。
  • タッチシャッター:しない
    ライブビュー撮影時にはタッチでAFポイントを移動することもあり、移動後に拡大してピントの微調整を行うこともあるため。
  • コンティニュアスAF:しない
    常にピントを合わせ続ける必要がないため。
  • タッチ&ドラッグAF:しない
    十字キーを使ってダイレクトに移動させているため。
  • AFフレームサイズ:
    より細かな場所にピント合わせを行うことがあるため。
  • 縦位置画像回転表示:する(PCのみ)
    カメラの背面モニターでは、撮った写真をなるべく大きく表示して確認したいため(PCでは縦位置写真は縦で表示したいので「PCのみ」に設定)。
  • ファインダー表示形式:表示2
    アイコン類が絵柄にかぶさらない状態で、フレーミングの隅々まで確認したいため。
  • ISO感度ステップ:1/1
    中間の感度に設定することがないため(100, 200, 300 …のほうが設定しやすい)。
  • 電源オフ時のレンズ収納:オフ
    星景写真などで三脚を立てたまま待機するとき、電池節約のためにいったん電源を切る場合があり、電源オフ時に無限遠に設定が変わってしまうのを避けるため。

EOS R カスタマイズのメリット

従来の一眼レフカメラでもカスタマイズ設定はできましたが、新たに登場したEOS Rほど自由なカスタマイズができるカメラはないでしょう。自分なりのカスタマイズを施すほど、さらに使い勝手のいい一台に仕上げられるカメラです。

カメラとは、写真を撮る道具。カスタマイズすることで、さらに自分と一体化するような使いやすい道具になってくれます。便利で使いやすいレベルを超えて、自然に向き合い撮影に集中できることが何よりもありがたいのです。

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  • ※ 当記事で紹介した設定は工藤智道さん個人の使用例です。EOS Rの性能・機能を保証するものではございません。