
講師:種清豊(写真家・EOS学園講師) プロフィール
すぐに楽しく遊べる、とっておきの撮影ネタを紹介する「タネキヨのヨキネタ」。第8回の遊びテーマは、七色に輝く虹(レインボー)をあやつる写真遊びです。虹といえば雨上がりの空にかかるもの……だけとは限りません。虹をつくり出すレインボー・マジックを使いましょう。その方法は、このあと解説!
1982年、大阪府生まれ。京都産業大学外国語学部ドイツ語学科卒業後、写真家・竹内敏信氏のアシスタントを経て独立。主に日本各地に残る明治、大正、昭和初期のクラシックな素材を求めて撮影中。また、人物撮影や、デジタルカメラ専門誌、カメラ専門誌での執筆活動も行っている。
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LED光によってCD盤面が虹色に変わる!
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虹色に輝くのはガラス玉?
その正体は意外なモノ
こちらもCDの盤面(記録面)に浮かんだ「虹」を捉えた写真です。LEDの鋭い光源が見せるキレイな放射状の光ではなく、40~100ワットの白熱電球を3灯使用して撮影しました。また、レンズの絞り具合によって現れる「虹の幅」に変化が出ることもわかりました。
水滴に見えるものは、じつは機械油です。おはじきのような平べったい球体が、盤面を滑っていくようにも見えます。例によっていろいろな液体を試しましたが、粘度や液体の色によって輝き具合に変化が出ました。
ポイントは電球の位置を移動させながら最適な位置に虹をつくること。その際、必ず撮影位置から虹の出方を確認してください。
虹の現れ方を見ながら光源のベストポジションを見つける
海底に沈んだガラス瓶と長い歳月が
つくり出した奇跡の輝き
不思議な光を放つこれらの瓶は、通称「銀化瓶」と呼ばれるもの。海に沈んだガラス瓶が何年もの歳月(一説には30~50年以上とも)をかけて経年劣化し、条件によっては美しいきらめきを発するようになるのです。
見る角度によって虹のような色が浮かび上がる「銀化瓶」をどうすればキレイに撮影できるのかチャレンジしてみました。屋外室内といろいろな光源のもとで試し、今回は「昼光色蛍光灯」&「レースのカーテン越しの柔らかい外光」で撮影しました(ちなみにカメラのホワイトバランスは太陽光に近い〈5600K〉に設定)。
また、つや消しの黒布を背景にして撮影すると、虹色に輝く美しい模様が観察しやすくなりました。被写体をよく観察し、ベストな状態を探る難しさと楽しさを感じた撮影でした。
光源の種類や位置にこだわり被写体の美しさを引き出す
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いまにもトンネルから出てきそうな機関車、じつは精巧な鉄道模型(Zゲージ)です。では、トンネル状の虹の正体は……?
これ、皆さんのご家庭にもある「CD」なのです。CD盤面をトンネルの出口に見立てて「虹のトンネル」をつくりました。では、どうやって虹色を出現させたのか。
LEDなどの光をCDの中心に向かってかざすと、盤面に放射状の模様が反射します。光源の位置や向きにより、鮮やかな虹のような模様が現れるのです。
写真にその光源が写りこんでしまってはNG。たいへんだったのはキレイな虹をCDに映し出すこと。露光時間は10秒。その間、レンズのまわりに円を描くように絶えず光源をゆっくり動かすことで、光源を写り込ませることなく虹を出現させることができました。