
講師:種清豊(写真家・EOS学園講師) プロフィール
すぐに楽しく遊べるとっておきの撮影ネタを紹介する「タネキヨのヨキネタ」。第5回の遊びテーマは、「絶対にあり得ない花火大会」にチャレンジします。果たして「手持ち花火」だけで、本物の花火大会のような迫力ある情景は演出できるのでしょうか!?
1982年、大阪府生まれ。京都産業大学外国語学部ドイツ語学科卒業後、写真家・竹内敏信氏のアシスタントを経て独立。主に日本各地に残る明治、大正、昭和初期のクラシックな素材を求めて撮影中。また、人物撮影や、デジタルカメラ専門誌、カメラ専門誌での執筆活動も行っている。
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多重露出のテクニックを使って、手持ち花火を何度も重ねる!
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夜空を彩る満天の星空の星雲!?
この写真を撮影するための最大のコツは、背景が真っ暗ということ。それを実現するために、黒いスチレンボード(段ボールなどに黒い紙を貼って作ってもOK)を用意して立てかけ、その前で撮影すると背景を完全な黒にすることができます。
星空をイメージする火花が点状に写っているものは1/1000の高速シャッター、流れている部分(線香花火)は1/30とシャッター速度に変化をつけたものを重ねて撮影しています。
背景は真っ暗に。宇宙空間に花火を散らすイメージで撮る
手持ち花火を何度も、画面いっぱいに重ねてみました。こちらの写真もシャッター速度に変化をつけて撮影。火花が流れるイメージで1/15~1/60の間のシャッター速度で撮影しています。
ライブビューで確認しながら花火をどの位置に入れるのかを決めて、ピントはすべてマニュアルで撮影しています。わざとフォーカスをずらしてボケをつくるなど、偶然の要素も取り入れました。まさに「遊び心」で撮った花火写真です。
どの写真もそうですが、花火の出方は予測をつけにくいので、何よりシャッターを切るタイミングが非常に難しい撮影でした。また、一人での撮影は困難ですので、三脚や脚立、ライトスタンドなどを駆使しスタッフの手を借りての撮影でした。皆さんも家族や仲間と一緒に取り組んでみてください。
速い・遅い「シャッター速度」の変化をつける
<花火撮影に際しての注意>
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あらかじめ撮影しておいたスカイツリーの画像(当日、暗くなってから撮影しました)に、手持ち花火を「多重露出」※で重ねてみました。なるべく夜空の暗い部分が花火で埋まるように重ねるのがコツ。この写真の場合、7回ほど重ねています。また、花火の噴出し口や柄の部分が写らないように(火花のみが写るように)注意して撮影しました。
手持ち花火は種類によって火花の散り方に特徴があるので、数種類の花火を組み合わせるのがオススメ。撮影機材としては花火から距離を保てる望遠レンズ(フルサイズ換算で70~300mm相当)を推奨します。
※多重露出の設定は「加算」にセットして撮影。「加算平均」にセットすると最初に撮影して画像から重ねるごとに薄くなってしまうので注意しましょう。
※多重露出撮影についてはこちらをチェック(EOS 80D製品紹介ページ「多彩な機能」の中程に掲載)