
講師:種清豊(写真家・EOS学園講師) プロフィール
すぐに楽しく遊べるとっておきの撮影ネタを紹介する「タネキヨのヨキネタ」。第4回の遊びテーマは、ふつうの風景がなぜかジオラマや鉄道模型、博物館の展示場などの「ミニチュア」に見えてしまう写真です。スマホの写真アプリで楽しんでいる方も多いと思いますが、EOSシリーズに搭載しているクリエイティブフィルター「ジオラマ風」を使えばバッチリです。「それにしてもどうしてミニチュアらしく見えるの?」という疑問から出発して、ミニチュア風写真のコツを研究してみました。
※「クリエイティブフィルター」を搭載していないカメラもあります。
1982年、大阪府生まれ。京都産業大学外国語学部ドイツ語学科卒業後、写真家・竹内敏信氏のアシスタントを経て独立。主に日本各地に残る明治、大正、昭和初期のクラシックな素材を求めて撮影中。また、人物撮影や、デジタルカメラ専門誌、カメラ専門誌での執筆活動も行っている。
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カメラ内蔵のフィルター効果で「ジオラマ風」に撮れる
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斜めの角度から見下ろすように撮るのがミニチュアっぽく見せるコツ! 本物の模型やジオラマを見るときの角度に近いからです。
サッカーの人形? 明るめのグリーンがちょっと「作りもの」っぽい印象で、ミニチュアらしく見えませんか?
いずれの写真も、やや高い位置から撮影されていることがわかると思います。そう、よりミニチュア感を強調する最大のポイントは、高い位置から見下ろすように、つまり俯瞰で撮影することです。
「ミニチュア」=「小さなもの」ということは、誰もが知っていることです。ですからミニチュアらしい小ささをイメージして、被写体を拡大させすぎず、やや引いた位置から被写体をなるべく小さく撮るといいでしょう。そして被写体や背景の色が鮮やかであるなど「原色」をアクセントに取り入れると一層ミニチュア効果が高まります。
斜め上から見下ろすと「ミニチュア感」を出しやすい
明るく照明されたバスケットコート。非現実的な人工光で作りものっぽさがでています。左側の列車はまるで模型!
精巧な模型のように見えるのは遊園地のアトラクション。人工光であふれている都市風景をミニチュア風写真で撮るのは楽しいですよ。
高層ビルの展望スペースから見下ろす都市の夜景。ポップな灯りが、ミニチュア風に写真を引き立たせてくれることがわかりました。もちろん夜景ならではの「色」が入ることで一層ミニチュア感もアップしています。
ミニチュアらしく見せるには、全体の色のトーンにもこだわりたいところ。撮影時や画像処理するときに、画像を少し明るめにしたり、ホワイトバランスを調節してやや現実離れした色調にしてみましょう。肉眼で見たままのリアルな夜景というより、写真ならではの作られた照明によってミニチュア感を演出できます。
なお、ここではミニチュア風に撮ることにこだわったため、高ISO感度に設定して、なるべく速いシャッター速度で被写体がぶれないようにしました。ミニチュアや模型は、静止しているものが多いからです。
※展望台などでは三脚や暗幕の使用可否など、撮影に関する注意事項をあらかじめ調べておきましょう。
現実離れした「色彩」を取り入れてミニチュアらしさを強調
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小さなものをじっと見つめているとき、焦点が合っている部分以外は大きくぼやけて見えていますよね? それが小さなものを見ているときの見え方の特徴です。このことを利用したのが、ミニチュア風写真がミニチュアに見える理由です。
写真のある特定の一部分にだけピントを合わせ、それ以外を大きくぼかすことで、現実の景色が擬似的にミニチュアのように見えるのです。いわゆる「脳の錯覚」を利用した視覚的効果です。
今回は、EOSなどキヤノンのカメラに搭載されたクリエイティブフィルター「ジオラマ風」モードを使って撮影を楽しんでみました。