
講師:種清豊(写真家・EOS学園講師) プロフィール
写真家・種清豊先生が、すぐに使えるとっておきの撮影ネタを紹介する「タネキヨのヨキネタ」(←回文)。第1回は「さかさま写真」。さて、どんな写真でしょうか?まずは、キヤノンイメージゲートウェイ会員・ひろさんの作品から紹介していきましょう。
1982年、大阪府生まれ。京都産業大学外国語学部ドイツ語学科卒業後、写真家・竹内敏信氏のアシスタントを経て独立。主に日本各地に残る明治、大正、昭和初期のクラシックな素材を求めて撮影中。また、人物撮影や、デジタルカメラ専門誌、カメラ専門誌での執筆活動も行っている。
ひろさん「青い惑星」
「ウィークリーフォトコン」応募作品からピックアップさせていただきました。ご協力に感謝いたします。
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上下さかさまにするとわかるでしょう。
空の写真なのです!
青い惑星の正体は「空」でした。雲が出ている青空を「さかさま」にしたら、宇宙から見た地球のように見える…という、ひろさんの発想が素晴らしいです!
コントラストを高めにすることで、空の青さと雲の白さを際立たせ、衛星写真のような仕上がりにしているのもいいですね。もうひとつのポイントは、惑星を思わせるカーブした水平線。
魚眼レンズを使って歪ませて、一層の「惑星」らしさを演出しています。
いつも上にある青空を下にすると「空」だと認識できなくなる。この常識が混乱する感覚が「さかさま写真」の面白さです!
クリエイティブフィルター「魚眼風」
を使用し、逆さまにした写真
EOS内蔵のクリエイティブフィルター「魚眼風」で空の写真を撮ってみました。魚眼レンズを持っていなくても、「青い惑星」のような「さかさま写真」にチャレンジできますよ。ライブビューで効果を確認しながら遊んでみてくださいね。
右の写真は、EOS 8000D+EF-S18-55mmの広角側(18mm)で撮影。クリエイティブフィルター搭載カメラをお持ちなら、チャレンジしよう!
どんなものを「さかさま」で見せるか。センス次第で面白くなる!
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「さかさま写真」バリエーション
無機質、シンプルな素材のほうが「さかさま」に向いている
土砂降りの日、雨宿りをしていたときに撮影した、雨どいからしたたる水滴。アップにしたり、引いたり、画面に角度をつけたりと、いろいろと撮影しました。まっすぐな雨樋からしたたる水滴のカットを「さかさま」にしてみたところ、映画などで見たことのあるような奇妙な水滴写真が出来上がりました。
シャッター速度をいくつか変えて撮影していたので、水滴自体の動きが面白いものをセレクトしています。またWBを変更して写真全体に青みがかるように調整することで、現実離れした「さかさまの世界観」にアクセントをつけています。
非現実的な世界観を演出するための色やコントラストを探ってみる
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近所の公園で見つけた円形の階段。近未来的な形がとてもフォトジェニックです。広角レンズによるパースペクティブを生かして、画面中心部のカーブを強調しています。「さかさま」にしなくても素材そのものの面白さは十分ですが、あえて「さかさま」にして見えることで、不思議な世界が広がりました。
日中に撮影したカットを「さかさま」にしてみましたが、あまり面白くありませんでした。夜間に見られる人工的で無機質な照明に照らされた空間だからこそ、見慣れない「さかさまの表現」とマッチしたのかもしれません。