センスアップ!
写真のキメ手は表現力
講師 : 川合麻紀 (写真家・EOS学園講師)>プロフィール
センスアップ!
写真のキメ手は表現力
講師 : 川合麻紀 (写真家・EOS学園講師)>プロフィール
みなさん、こんにちは!
写真家・川合麻紀です。
「センスアップ! 写真のキメ手は表現力」は、旬のモチーフを題材に、表現力アップを目指していくレッスンページです。
冬は撮るものが少ないと思われがちですが、冬には冬にしか撮れない美しい情景があります。雪に覆われた雪原も、真っ白なだけではなく豊かな色彩を含みます。冬らしい光や色彩、自然現象を見つけると一味違う写真になります。冬の撮影を楽しみましょう。
彩り写真家。さまざまな被写体を独特の色彩感覚で切りとる。女性限定写真教室Atelier Kawaiiphoto主宰。EOS学園、クラブツーリズム、TVなどでの講師実績、展示会での発表多数。書籍「露出を身につければ写真が変わる! 光と色の撮り方教室(朝日新聞出版)」など。公益社団法人日本写真家協会、公益社団法人日本写真協会会員。
EOS 5D Mark III・EF24-70mm F4L IS USM・絞り優先AE(F16・1/350秒)・+1 1/2補正・ISO200・ホワイトバランス:白色蛍光灯・ピクチャースタイル:風景
冬の風景の撮り方バリエーション
EOS 5D Mark III・EF24-70mm F4L IS USM・絞り優先AE(F16・1/45秒)・+3補正・ISO200・ホワイトバランス:太陽光・ピクチャースタイル:風景
最初の写真と同様、一本の木が主役ではあるのですが、こちらの写真では「広い雪原に1本の木がたたずむ雪景色」というイメージで構図をつくっています。木と影は小さめに配置し、太陽が真上に来る撮影位置を探してみました。タテ位置構図としたのは、雪原の広さよりも空の高さを強調するためです。
太陽がかなり強くまぶしく、絞りを絞ったことで光芒やゴーストも出ています。それが清々しい印象になり、表現として効果的でした。
EOS 5D Mark III・EF16-35mm F2.8L II USM・絞り優先AE(F16・1/20秒)・+1.5補正・ISO400・ホワイトバランス:太陽光・ピクチャースタイル:風景
夕焼けの時間帯。この日は雲があり、残念ながら太陽が見えない日でした。それでもこの風景の変化を見ていると、空と雪の境目にうっすらと焼けた色が見えてきました。 ホワイトバランスを〈太陽光〉にし、雪が少し青みを帯びるようにしました。本来はもう少しオレンジ色の空も、ピンクっぽくなりました。ブルートーンの中の淡い暖色はほんのり暖かな印象です。真っ赤に焼けた夕景を期待していましたが、むしろ好きなイメージの写真になりました。
さらなるセンスアップを目指して
EOS 5D Mark III・EF24-105mm F4L IS USM・絞り優先AE(F16・0.7秒)・+1.5補正・ISO400・ホワイトバランス:太陽光・ホワイトバランス補正(A9, G9)・ ピクチャースタイル:風景・ストロボ使用
降っている雪を写真で表現するには、ストロボを使うのがおすすめです。雪にストロボの光が当たることで、そこだけ白っぽく、止まった状態で画面に写し込むことができます。
「ふんわり丸い雪」を写したい場合には、絞りを開放気味にし、なるべく遠くの被写体にピントを合わせてストロボを使います。つまり、雪が前ボケになる状態をつくるのです。
明るい場所ではストロボを普通に使うと、絞りが絞られてしまい「ふんわり丸い雪」になりません。そんなときはハイスピードシンクロのできるストロボを使うか、NDフィルターで光量を落とすといいでしょう。
今回の前半は、ごく少ないミニマルな(最小限に抑えた)要素で雪原をとらえる雪景色にしてみました。天候による光の状態、ホワイトバランス、ピクチャースタイル、明るさの組み合わせによって、白いはずの雪はさまざまな色彩を見せてくれます。
ストロボで雪を写し止めるには降雪量が多いときがよく、大自然だけでなく都会の風景との組み合わせも魅力的です。ぜひお試しください。
見渡す限り雪原の雪景色。ただそこに木があるだけでとても絵になります。逆光で木々の「影」が手前に長く伸びる時間をねらって出かけました。雪原と影のコントラストがねらいです。
夕方なので、本来は画面全体が赤くなる時間帯ですが、雪の表面のきらめきが美しい青のイメージにしたいと考え、ホワイトバランスは〈白色蛍光灯〉を選びました。ピクチャースタイル〈風景〉との組み合わせですと、かなり青が強くなります。
太陽の光が木々の後ろに来るように自分の立ち位置を決め、まっさらな雪に落ちる影の面積を増やすような構図をつくりました。伸びる影が主役とも言える一枚です。