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センスアップ!
写真のキメ手は表現力

講師 : 川合麻紀 (写真家・EOS学園講師)>プロフィール

太陽の輝きを生かした表現

写真家・川合麻紀先生

今回は、真冬の時期を想定して「太陽」と「早春の花」を取り上げてみました。冬は撮るものがないと感じている方は、太陽や空を被写体にしてみてはいかがでしょう。冬は空気が澄んで空がきれいなので、空、太陽、星などの撮影に適しています。
1月、2月と寒い日が続きますが、間違いなく春が近づいてきています。この時期にだけ楽しめる早春の花も撮り逃さないように、お出かけしましょう。

写真家・川合麻紀先生

川合麻紀

彩り写真家。さまざまな被写体を独特の色彩感覚で切りとる。女性限定写真教室Atelier Kawaiiphoto主宰。EOS学園、クラブツーリズム、TVなどでの講師実績、展示会での発表多数。書籍「露出を身につければ写真が変わる! 光と色の撮り方教室(朝日新聞出版)」など。公益社団法人日本写真家協会、公益社団法人日本写真協会会員。

太陽の力強さを生かす

落日にオオワシのシルエットを重ねた強さのある表現

太陽の力強さを生かす

EOS 7D Mark II・EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM・EXTENDER EF2×III・絞り優先AE(F9.5・1/1500秒)・+1補正・ISO800・ホワイトバランス:オート・ピクチャースタイル:風景

立ち枯れの木にはオオワシが2羽止まっています。そのオオワシたちを燃えるような夕日に閉じ込めてみました。背景が明るい丸型で囲まれるため、目線がその中心に行きやすく、鳥たちのシルエットがくっきりと浮かび上がりました。構図自体も、主役を画面の中心付近にし、落ち着いて静かな、それでいて強い感じを出しています。
今回は太陽を大きく表現したかったので、レンズEF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMにエクステンダーを併用して「556mm相当」で撮っています。カメラはEOS 7D Mark IIなので、フルサイズ換算ですと約890mm相当の超望遠です。
この大きさですとフレーミングした太陽はあっという間に動いていきます。枯れ木と太陽を重ねて撮り続けるために、右側に移動しながら沈んでいく太陽の動きに合わせて、左へ左へとカメラポジションを変えています。結構忙しい撮影でした。

こんなふうにも撮ってみよう

太陽の撮り方バリエーション

逆光の被写体を適度に浮き上がらせる露出補正を探る

逆光の被写体を適度に浮き上がらせる露出補正を探る

EOS 7D Mark II・EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM・絞り優先AE(F8・1/1000秒)・+1補正・ISO1600・ホワイトバランス:オート・ピクチャースタイル:風景

日の出に合わせ、オジロワシやオオワシを撮るため船に乗りました。陽が昇るときなど光の変化が激しい時間は、ドラマチックな写真になります。「目覚め」「朝の始まり」といったイメージです。
太陽がとても明るく、反面、流氷は暗い状況。逆光になるオジロワシはつぶれてしまいそう。全体の光の差が激しい状態でした。全体をすべてちょうどよく表現するのは難しいので、今回は+1補正により、ぎりぎりオジロワシが見える程度、流氷もつぶれない明るさで撮ることにしました。幸いにも逆光で羽が少し光ったため、流氷から少し形が浮き上がりました。
1枚目の写真とは違い、距離が少し近めの被写体なので、太陽は背景にぼけて大きめに写ります。今回は太陽とオジロワシの組み合わせでしたが、太陽と花、太陽と葉っぱなどで試してみても面白いと思います。

風景の質感を強調する日没間近の斜光線

風景の質感を強調する日没間近の斜光線

EOS 5D Mark II・EF16-35mm F2.8L II USM・絞り優先AE(F16・1/180秒)・-1 1/2補正・ホワイトバランス:太陽光・ピクチャースタイル:風景

風景を見せながらの太陽入りカットです。太陽が低い時間帯は斜めの光になるため、立体感が強くなり、手前の岩はゴツゴツとした質感で写ります。太陽の写真というより、広角レンズを使ってワイドな風景としてねらったので、奥行き感が出ていると思います。
太陽を画面に入れると問題になるのがフレアゴーストです。風景の写真を専門とする方々にはあまり好まれませんが、スナップやポートレート写真を撮っている方々は、フレアやゴーストを「表現」として楽しまれているようです。私も絵柄によって嫌だと感じるときと、むしろ好ましいと感じるときがあります。
もしゴーストやフレアが発生した場合、ズーミングを少し変えてみたり、あるいはカメラ自体の角度を少し変えてみたりすると消えることがあります。また、画面外の太陽からのフレアなら、レンズフードだけでなく手などで光を遮ってみてもいいでしょう。

こんな表現にもトライ!

さらなるセンスアップを目指して

夕日を取り巻く雲の表情で、より印象的な夕景に

夕日を取り巻く雲の表情で、より印象的な夕景に

EOS 5D Mark III・EF16-35mm F2.8L II USM・絞り優先AE(F19・30秒)・+1補正・ISO800・ホワイトバランス:オート・ホワイトバランス補正(A9, M9)・ピクチャースタイル:風景・NDフィルター使用

夕日を撮りに行ったのですが、雲の動きの速さが面白いと感じて撮影した一枚です。かなり強めのNDフィルターを使い、雲の動きを30秒の長時間露光によって表現。水面は滑らかになり、そのギャップで空の表情がより際立ちました。長時間露光で雲を動かしたことで、太陽自体は見えなくなりましたが、私が好きなトーン(色調)を生かした夕景のイメージにできました。
下の写真は、シャッター速度1/60秒で撮影したものです。シャッター速度の違いにより、かなり見た目も印象も違うことがわかります。

雲の動きを30秒の長時間露光によって表現

EOS 6D・EF24-70mm F4L IS USM・絞り優先AE(F16・1/60秒)・ISO200・ホワイトバランス:オート・ホワイトバランス補正(A9, M9)・ピクチャースタイル:オート

靄(もや)や雲で見え隠れする太陽光の変化を見逃さない

靄(もや)や雲で見え隠れする太陽光の変化を見逃さない

EOS 5D Mark II・EF16-35mm F2.8L II USM・絞り優先AE(F16・1/500秒)・+1補正・ISO200・ホワイトバランス:オート・ピクチャースタイル:風景

厳冬期の風景を青空と太陽で爽やかに表現してみました。ズームレンズの広角側で広がりのある景色に。その空に太陽の光芒を配しています。絞りをF8以上に絞れば、宝石のように輝く光芒となります。
太陽が写り込んでいるということは、逆光ということ。樹氷の手前左にしっかりと影が伸び立体感が出て、一つ一つの形をしっかりと見せることができました。
このときは靄の状態がどんどん変化し、太陽が見え隠れするので、刻々と違う雰囲気の写真になりました。撮っていてとても楽しかったことを思い出します。

ポイントまとめ

  • 太陽の中にシルエットを封じ込めて視線を集中させる
  • 広角側で太陽を画面に入れて風景全体の立体感を出す
  • あえて太陽を見せず、雲の表情で朝景・夕景を表現する

太陽を撮るとなると、朝日・夕日の時間が一番美しくドラマチックな写真になります。太陽自体を撮るなら、完全なお天気がいいわけでもなく、場合によっては薄雲があったりしたほうが、画面の中で太陽が明るくなり過ぎず、きれいに見えるでしょう。完全な快晴時など、太陽が明るすぎるようなら、太陽が出るちょっと前、沈んだ後をねらうほうがいいことも。臨機応変に考えましょう。
太陽だけを画面いっぱいに捉えるよりは、地上の被写体と組み合わせて、その大きさや美しさを際立たせる撮り方のほうが私は好きです。

※太陽の撮影の仕方によっては、CMOSセンサーへのダメージや目への影響の可能性もありますのでご注意ください。

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ありがとうございました。

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