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センスアップ!
写真のキメ手は表現力

講師 : 川合麻紀 (写真家・EOS学園講師)>プロフィール

小さい秋の世界を表現

写真家・川合麻紀先生

気候はすっかり秋の気配。お住まいの地域の気候によっては、まだ秋をイメージしにくいかもしれませんが、秋の気配を早めに察知しないと、繊細な季節の変化を撮り逃してしまうこともあります。今回は、秋を代表するコスモスの花と、小さな秋の実りを取り上げてみます。気分を秋モードに切り替えて、写真を楽しみましょう。

写真家・川合麻紀先生

川合麻紀

彩り写真家。さまざまな被写体を独特の色彩感覚で切りとる。女性限定写真教室Atelier Kawaiiphoto主宰。EOS学園、クラブツーリズム、TVなどでの講師実績、展示会での発表多数。書籍「露出を身につければ写真が変わる! 光と色の撮り方教室(朝日新聞出版)」など。公益社団法人日本写真家協会、公益社団法人日本写真協会会員。

小さな秋のモチーフを見つけて表現

小さな秋のモチーフを見つけて表現

EOS 7D・EF100mm F2.8L マクロ IS USM・絞り優先AE(F2.8・1/350秒)・+1/2補正・ISO400・ホワイトバランス:オート・ピクチャースタイル:風景

童話に出てきそうなキノコを足元に見つけました。地面ぎりぎりまでカメラを下げてねらうことで、白雪姫の小人の目線で見たような世界にしてみました。
キノコは数個あったので、どのキノコを主役にするかでかなり雰囲気が違いましたが、最終的にはまだ開ききっていない模様のはっきりわかるキノコを主役と考え、ピントを合わせ、手前左に傘が大きく開いたキノコを入れて前ボケにしてみました。ちょうど少し逆光で、キラキラした感じになりました。キノコや落ち葉などが秋らしい色合いになり、かわいく撮れたと思います。

こんなふうにも撮ってみよう

小さな秋のバリエーション

主役となる色づいた落ち葉の存在感を
引き出す

主役となる色づいた落ち葉の存在感を引き出す

EOS 5D Mark II・EF70-200mm F4L IS USM・絞り優先AE(F4・1/80秒)・+1 1/3補正・ISO400・ホワイトバランス:オート・ピクチャースタイル:風景

キャンプ場の緑の草むらに、数枚の色づいた葉っぱが落ちていました。紅葉した葉っぱが1縲鰀2枚あれば、それだけで秋のイメージをつくりだすことができます。
地面を撮るときには、真上から撮る俯瞰撮影や、この写真のように、地面すれすれのローアングルから撮る撮り方があります。この時は葉っぱが少なかったので、低いアングルで撮ることで、前後のボケの中に主役となる葉がちょこんとあり、それでいて存在感がしっかり出ている感じにしてみました。

オレンジ系の柔らかな秋色に包まれた情景を
描き出す

オレンジ系の柔らかな秋色に包まれた情景を描き出す

EOS 5D Mark II・EF70-200mm F4L IS USM・絞り優先AE(F8・1/30秒)・+1/2補正・ISO200・ホワイトバランス:オート・ピクチャースタイル:風景

白い幹にからみつくツタや小さな黄色い実、そして背景を彩っているオレンジの色合いなどが全体で1つの秋色の世界をつくり出していました。「美しいな」と感じた部分を素直に切りとっています。この時は、曇りでしたので、直射日光のキラキラ感やカラフルさではなく、柔らかく優しい秋色を表現できました。

比較写真

EOS 5D Mark II・EF70-200mm F4L IS USM・EXTENDER EF1.4×・絞り優先AE(F4・1/125秒)・ISO200・ホワイトバランス:オート・ピクチャースタイル:風景

太陽がしっかり出ている時には、色彩がはっきり出せるだけでなく、光と影を生かした情景を撮ることもできます。紅葉を撮るというよりは、紅葉はあくまで背景色で、葉っぱが作った影が主役と思って構図を作った1枚です。

こんな表現にもトライ!

さらなるセンスアップを目指して

森で出会った小さな実りの健気さを
表現

森で出会った小さな実りの健気さを表現

EOS 7D・EF100mm F2.8L マクロ IS USM・絞り優先AE(F4・1/1000秒)・+1/2補正・ISO400・ホワイトバランス:オート・ピクチャースタイル:風景

秋は「実りの秋」でもあります。さまざまな植物の実が色づいていますので、そんな小さな彩りにも目を向けてみました。
黄色の葉っぱの間からのぞき見るようにして赤い実を撮影しています。手前にあった黄色い葉を大きくぼかして「前ボケ」にしています。赤い実が小さくても健気に存在を主張している感じで表現したかったので、画面の中で大きくなるようにせず、あえて小さく捉えてみました。

森に現れた幾何学模様「クモの巣」を
美しく撮る

森に現れた幾何学模様「クモの巣」を美しく撮る

EOS 7D・EF100mm F2.8L マクロ IS USM・絞り優先AE(F4・1/250秒)・+1 1/2補正・ISO400・ホワイトバランス:太陽光・ピクチャースタイル:風景

紅葉の森を散策していたら、光をまとうクモの巣を見つけました。住人のクモはお留守でしたが、写真にするならクモの巣だけのほうが好都合です。
光がどの方向から当たるとよく見えるのか、どの背景がいいのかを考えました。太陽光が斜めから差し込んでいるとキラキラして見えるので、その位置からファインダーをのぞいてみると、背景の紅葉のボケもとてもきれい。背景とクモの巣の両方が美しく見えるラッキーなカメラポジションで撮ることができました。
紅葉自体にピントが合っていなくても、背景色や前ボケとして紅葉の色を入れれば、あっという間に秋のイメージになります。

ポイントまとめ

  • 何気ない場所でも、紅葉した葉っぱ1枚あれば秋の雰囲気で撮れる
  • 「背景」や「前ボケ」の彩りを利用して「秋色」を表現する
  • 風景だけではなく実やキノコなど「小さな秋」のモチーフを探す

今回の写真は、同じ場所でハイキングしながら撮影したものです。歩きながら空を見上げたり、足元を観察したり、たまに来た道を振り返ってみるのもいいですよ。出かける地域による気候や、標高などの条件により、秋の景色は長く楽しめます。どんな感じに撮りたいのか、何を見つけるのかを前もってイメージしておくと、出かけた先で素早くモチーフの存在に気づきやすくなります。
秋のイメージ全般に言えるのは、暖色系だということです。ちょっと暖かみを感じる色彩、光を探すと、イメージ豊かな秋の写真になりますよ。

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ありがとうございました。

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