ホーム > センスアップ！ 写真のキメ手は表現力 > 春の花々の表現

白い花が咲いているエリアに、ポツンと赤いポピーが少し上に飛び出した状態で咲いていたので、それを主役にしました。何となく全体を撮るのではなく、主役を引き立たせることが重要です。
主役の花を目立たせるコツは、いきなりファインダーをのぞくのではなく、目視で主役の花を探すこと。花の色や種類が違ったり、少し高く飛び出していたりすると、ぱっと目につきやすく、写真にしたときも主役がわかりやすくなります。

同じときに撮影した別カットです。こちらには前ボケを入れず、背景のボケを生かしました。逆光できらきらしている一輪のポピーを主役に、かなり遠くにある花々をぼかして撮影しています。
花を撮影するときには、緑の背景になることが多いので、背景色をどうするか、主役だけでなく背景の色のことも考えて場所選びをしましょう。

こちらは「前ボケ」を大きく画面に取り込んだカットです。レンズのすぐ近くの花でレンズの口径をほぼ全部覆ってしまうくらい、画面全体を前ボケの色で彩ることが可能です。主役以外の余計なものが入ってしまうときでも、前ボケを大きく使って隠すこともできます。
前ボケを主役にかけすぎると、ぼやっとした感じになりやすいので、主役が少し弱い印象にはなりますが、イメージとしての写真と考えれば、これもひとつの表現方法と言えます。
こんな大胆な前ボケや背景の色のチョイスを考えた結果、1 枚目の写真ができあがったのです。

エゴノキの白い花はぶら下がっている感じが愛らしいです。下から見上げるようにして撮影してみましょう。5 月は新緑も美しい時期ですので、葉っぱの緑が淡くなって優しい印象です。葉っぱの重なりから見える空の部分は、花から距離が離れていれば「丸ボケ」になりますので、リズミカルに配置します。
光のバランス的には「逆光」になるので、大胆なプラス補正をして、花がちょうどいい明るさになるようにします。今回は、なんと+3 補正です。丸ボケの部分は白飛びしてかまいませんが、花は飛ばさないようにしましょうね。

小さなお花を大きく撮るのなら、マクロレンズが使いやすいです。バラくらいの大きさなら普通のレンズでも大きくは撮れますが、マクロレンズを使うのであれば花自体というよりは、花の曲線やグラデーションを生かした撮影がステキだと思います。じっくり観察して、気になったところをクローズアップしてみましょう。
花びらのツンととがった形状がかわいかったので、そこにピントを合わせてみました。花全体を構図に入れるのではなく、花の周囲を切って花の色だけで画面構成。
印象的な仕上がりになります。