写真・プロの一手 第24回 - アーティスティックな「菜の花」作品。この奥行きを作り出すテクニックとは?

写真・プロの一手 渾身の一枚から学ぶ「プロの一手」! 講師

GOTO AKI

1972年、神奈川県生まれ。上智大学経済学部経営学科。東京綜合写真専門学校第二芸術科卒業。1993年の世界一周の旅から50カ国以上を巡る。静謐な広がりのある世界観が特徴の風景写真家。2010年以降、日本の火山地帯をモチーフにした作品集『LAND ESCAPES』シリーズを発表。2015年版キヤノンカレンダーの撮影を担当し、第66回全国カレンダー展商工会議所会頭賞を受賞。EOS学園東京校講師。

アーティスティックな「菜の花」作品。
この奥行きを作り出すテクニックとは?

アーティスティックな「菜の花」作品。この奥行きを作り出すテクニックとは? ©GOTO AKI

EOS 5D Mark III・EF70-200mm F4L IS USM(焦点距離:70mm)・F4・1/800秒・ISO400

何気ない日常の中にも被写体はあふれています。ちょっとした工夫とカメラの設定に注目して、春を彩る菜の花を撮影してみました。風景写真の楽しみの一つは、肉眼で見るのとは違った描写の写真に仕上がること。
では、この菜の花の写真をユニークな一枚にするために、私が取り組んでみた工夫とは何でしょうか?

プロの一手、その答えは・・・

Answer「3層構造」を作ること

前景と背景のボケを利用して
写真に空間的な「奥行き」を作ろう。
この写真は、どこにでもありそうな小さな小川の土手で菜の花を撮影した一枚です。見る人を引きつける要素として私が工夫したのは、作品に空間的な「奥行き」を与えることです。具体的には、1枚の写真の中に「前ボケになる花」「主役の花」「川面」の3層構造を作り出し、菜の花が広がる空間を写真で表現したのです。
「空間を作る」というと、被写体を広く捉える広角レンズをイメージする方が多いようです。でも、標準レンズや望遠ズームレンズでも、被写体のとらえ方とカメラの設定により、平面的な写真に空間を生み出すことができます。
メインの被写体をサンドイッチするように、前景と背景を配置することがポイント。前景と背景がぼけることで写真の中に空間が生み出されます。
お持ちのレンズの開放値がF2.8の方はF2.8、F4の方はF4で撮影してみましょう。また、花が風で揺れているときはシャッタースピードを1/500秒より速くすると、被写体のブレが気にならなくなるでしょう。
カメラバッグ

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目の高さで撮るだけではなく、
新鮮な視点を探して撮ってみよう。

一つの被写体に対してちょっとした工夫をするだけで、新鮮な写真が生まれやすくなります。工夫したいポイントは、「カメラポジション」と「アングル」です。
カメラポジションとは、文字どおりカメラの位置のこと。アングルとは、被写体に対するカメラの角度のことです。それぞれ3つに分類できます。

《カメラポジション》
1 ハイポジション:アイレベルより上
2 アイレベル:目の高さ
3 ローポジション:アイレベルより下
《アングル》
1 ハイアングル:被写体から見て高い角度からの撮影
2 水平アングル:被写体から見てほぼ水平の角度からの撮影
3 ローアングル:被写体から見て低い角度からの撮影

今回の作品の場合は、土手から見下ろすような位置(ハイポジション)と、背景が川面だけになるようにした角度(ハイアングル)からの撮影でした。
皆さんは菜の花を立ったままの姿勢で撮ることが多いと思いますが、1枚撮影したら普段の自分の視点からちょっと離れて、低い位置や高い位置から、右や左から、さらにアングルを組み合わせて撮影してみましょう。新鮮な写真が生まれやすくなるでしょう。

会員作品ギャラリー イメージ

今回、菜の花の作品でGOTO AKIさんが使用されているレンズは、「EF70-200mm F4L IS USM」。このレンズを愛用しているキヤノンイメージゲートウェイ会員の皆さまの作品ギャラリーが、こちらのページに!

コラム
ブルーの背景が川面だと気付いた方はいらっしゃいますか? 肉眼ではあまり見慣れないハイポジション、ハイアングルで撮影したので、非現実感のある写真に。ピクチャースタイル「風景」で彩度を強く、色彩を鮮やかに描写したことも、この作品のちょっと「不思議な感じ」の演出に影響を与えているかもしれません。