写真・プロの一手 第23回 - プロが教える「流し撮り」の極意。スピード感を出すなら「○○」がポイント。

写真・プロの一手 渾身の一枚から学ぶ「プロの一手」! 講師

プロが教える「流し撮り」の極意。
スピード感を出すなら「○○」がポイント。

プロが教える「流し撮り」の極意。スピード感を出すなら「○○」がポイント。 ©TAKAHITO MIZUTANI

EOS-1D X Mark II・EF200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4×(焦点距離:400mm)・F4・1/125秒・ISO200・ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)・ピクチャースタイル:ユーザー設定(ピクチャースタイルエディターにて作成)

猛スピードでコーナーに突っ込んでくるマシンの動きに合わせてカメラを動かす「流し撮り」。スピード感や躍動感を演出するために必須のテクニックです。シャッタースピードやカメラの振り方によって、写真の仕上がりに変化が生まれるのが流し撮りの特徴であり、楽しみでもあります。
流し撮りに興味を持っている方は多いのですが、伝授するのは簡単ではありません。単純に「シャッター速度を遅く設定すればOK」というものではないからです。
では、スピード感のある流し撮りを成功させるコツとして、私が重要視しているものがあります。それは何でしょうか?

プロの一手、その答えは・・・

Answer背景の描写

流し撮りのスピード感は
「背景」の描写で決まる!
流し撮りで被写体のスピード感を出す重要ポイントは、被写体とともに流れる「背景」を画面に多く取り入れること。メインの被写体がピタリと止まっていること、背景がきれいに流れていること。この2つのコンビネーションによって流し撮りのスピード感が生まれるのです。
もし背景が真っ黒なものだったら、いくらうまく流し撮りをしても背景は真っ黒のままでスピード感は感じられません。背景がどれくらいブレるか。きれいに流れて被写体を浮かび上がらせることができるか。その効果は偶然が左右する部分も大きいのですが、背景の仕上がりを想定しながらメインの被写体をカメラで追うことが、きれいな流し撮りのコツです。
つまり、撮影するポイントでカメラを構えたときには、メインの被写体を写し込む位置から背景のブレ具合まで、全体の構図をイメージしておくのです。
「Rのギモン」第4回

流し撮りのポイントの1つが、遅めのシャッター速度で背景をぶらすこと。可変式のNDフィルターがあれば、シャッター速度による芸術を思うままに! こちらの記事では、EOS Rの大注目アクセサリー「ドロップイン 可変式NDフィルター A」の実力度を写真家が検証しました。ぜひチェック!

「ピントの芯」をとらえて
メインの被写体をシャープに。
流し撮りしながらメインの被写体のどこか1点にピントを合わせた状態を「ピントの芯がある」といいます。
横移動する被写体を流し撮りする場合、被写体が大きく上下するものや、不規則に速度変化するものは適していません。一定の速度で水平移動する被写体がベター。例えばレールを走る鉄道や、舗装路を走る自動車やバイクなどであれば、ピントの芯をとらえやすいでしょう。
また、カメラとレンズは被写体に対して平行に、同じ速度で追従するように振り切ります。スーッときれいな動きで被写体を追うことがポイント。斜め移動や不規則な動きの被写体でピントの芯をとらえるのは困難です。
また、サーキットを高速で突っ走る被写体の場合は、シャッタースピードを極度に遅くする必要はありません。速い被写体を追従する場合、カメラとレンズも同等に速く振る必要があるので、1/125秒ぐらいのシャッタースピードでも流し撮りの効果は十分に得られるでしょう。
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コラム
流し撮りをするとき、一脚を使わないのが水谷流。どんなシーンでも、どんな望遠レンズを使っていても「肉体一脚」です(笑)。つまり、手持ちでカメラを構えて振っています。でも、なるべく上下のカメラブレを防いで流し撮りするには、一脚の使用をお勧めします。よほど訓練しないと、手持ちでは上下のブレが出てしまうからです。
もうひと言。プロの写真家でも流し撮りで納得がいく作品を撮るのは難しいものです。何百、何千、何万回とシャッターを切りチャレンジしても、満足のいく域に達する作品になるのは1割にも満たないのです。ですから皆さんも、何度も撮影現場に通って、イメージどおりの作品がモノにできるまで諦めずに取り組んでください。