写真・プロの一手 第18回 - ブルーの池を "幻想的" に撮るためにプロが「わざと」行なったことは?

写真・プロの一手 渾身の一枚から学ぶ「プロの一手」! 講師

GOTO AKI

1972年、神奈川県生まれ。上智大学経済学部経営学科。東京綜合写真専門学校第二芸術科卒業。1993年の世界一周の旅から50カ国以上を巡る。静謐な広がりのある世界観が特徴の風景写真家。2010年以降、日本の火山地帯をモチーフにした「作品集『LAND ESCAPES』シリーズを発表。2015年版キヤノンカレンダーの撮影を担当し、第66回全国カレンダー展商工会議所会頭賞を受賞。EOS学園東京校講師。

ブルーの池を "幻想的" に撮るために
プロが「わざと」行なったことは?

ブルーの池を "幻想的" に撮るためにプロが「わざと」行なったことは? ©GOTO AKI

EOS 5D Mark IV・EF24-70mm F4L IS USM(焦点距離:70mm)・絞り優先AE(F11・0.6秒)・ISO100

有名な撮影スポットで撮影された説明的な写真が、インターネットにはあふれています。私はそのような写真よりも、写真家の眼で発見した被写体の美しさや雰囲気、色彩、光などを写し撮りたいと考えています。
この日、淡くて透明なブルーの色彩の中で、光の反射とともに揺らめく倒木に出合い、心を奪われました。揺らいだ様子から生き物のようにさえ見えた水中の木々。そこから受けた感覚を写真で表現するために、あることを加えて撮影しました。さて、幻想的にも見えるこの作品は、どのようにして撮ったでしょうか?

  • ● ピンボケにする
  • ● 手ブレをさせる
  • ● オートで撮る

プロの一手、その答えは・・・

Answerわざと「手ブレ」をさせて撮影した。

自然の揺らぎや動きを表現するため
わざと縦方向にブレを作って撮影。
自然風景を観察していると、その日の光や風の影響で、まるで風景が生き物のように感じられることがあります。自然は、人が思っているより速いスピードで変化し続けているのではないか──。だとすれば、その動きのある表情を感じるままに写真で表現できないだろうかという思いが生まれました。
この木は、いつから水中に横たわっているのだろう? 動いていないはずなのに水面の光と揺らぎにより、水中で動いているようにも見えるのはなぜだろう……。美しい風景に出合うとゾクッとしたり心が吸い寄せられるように、私はこの池に心を奪われていました。
私が感じた「動き」を写真で再現するため、水中の木にピントを合わせて、手持ちでスローシャッター(0.6秒)を切りました。シャッターを切るのとほぼ同時に、カメラを縦にゆっくり動かして意図的にぶらし、少し不思議な表現を目指しました。
EOS R

いま注目のフルサイズミラーレスカメラ「EOS R」。写真家がEOS Rで撮り下ろした作品ギャラリーと、インプレッションムービーを公開中。GOTO AKI先生のページはこちら。EOS Rで広がる表現領域について語ります。

PLフィルターの効き具合を目視し
理想的なポイントを探ること。
PLフィルター(C-PLフィルター)は、フィルター前面を回転させることで反射光の除去の度合いをコントロールできる道具です。今回の作品の撮影では、ファインダーで効果を確認しながら適正な回転位置を探しました。
この撮影地では、水面の反射を消すと明暗が乏しくなり、写真が平面的になるようでした。逆に反射が残りすぎていると、水中が見えにくくなります。その中間的なところが不思議な印象に見えたので、PLフィルターの回転を止めてシャッターを切りました。
PLフィルターを付けたら安心せず効果を眼で確かめて、自分が感じている光の美しさが現れたところでシャッターチャンスをねらいましょう。
トートバッグ

ビジネスから休日の撮影まで、シーンを選ばずに使えるキヤノンオリジナルのトートバッグです。機材を仕切れるデバイダー付きのバッグインバッグが便利。バッグインバッグを外せば大容量トートバッグとしても使えます。カメラバッグっぽくないカメラバッグをお探しのあなたにおすすめ!

コラム
今回の意図的にぶらす撮影方法は、なかなかの高等テクニック。手持ちでうまくできない方もいらっしゃると思うので、その際は「三脚」を使って練習することをおすすめします。
スローシャッターの目安となる露光時間は1〜2秒ぐらいです。長すぎるとぶれが目立ち、短すぎるとぶらすのが難しくなります。例えば露光が2秒のとき、最初の0.5秒は動かさず、残りの1.5秒でゆっくりカメラを縦に動かすようにしてみてください。すると被写体が静かに写る部分と動いている部分が、一枚の写真の中で同時に描写されるでしょう。