写真・プロの一手 第12回 - 夕闇の「月景色」を演出するカメラ設定の妙技とは?

写真・プロの一手 渾身の一枚から学ぶ「プロの一手」! 講師

工藤智道

1969年、横浜生まれ。日本写真芸術専門学校卒。卒業後、風景写真家の竹内敏信氏に師事。4年間のアシスタントを経て独立。日本の自然風景、都市風景を撮り、夜景や花火の撮影もこなす。写真専門誌で撮影、執筆も数多くパソコン誌、デジタルカメラ専門誌でも活躍。日本写真家協会会員。EOS学園東京校講師。

夕闇の「月景色」を演出するカメラ設定の妙技とは?

夕闇の「月景色」を演出するカメラ設定の妙技とは?

EOS 70D・EF70-200mm F2.8L IS II USM・絞り優先AE(F16・0.4秒)・-1 2/3補正・ISO400

深いブルーに染まる夕闇の空に浮かんでいる美しい月。おとぎ話に出てきそうな情景です。この場面を撮るときに意識したのは、天体写真のように月だけを撮るのではなく、地上の風景とともに月を撮ること。幻想的で美しい月の風景写真を撮るには、いくつかの条件が必要です。同時に、このイメージを作りあげるための緻密な計算とテクニックも。さて、このような夕闇の月景色を撮るときに大きな効果を発揮する「カメラ設定」とは?

プロの一手、その答えは・・・

Answerホワイトバランス「白色蛍光灯」

「月の位置」と「空の明るさ」
ホワイトバランスの設定がポイント!
夜空に浮かぶ月と地上の風景を同時にフレーミングするには、月がまだ低い位置にあることが条件の1つです。また、風景写真として月を撮るのであれば、地上の風景が写るだけの明るさが必要です。
月は意外と明るく輝いています。すっかり夜になってから月に露出を合わせると、地上の景色は露出アンダーになり、魅力的な樹影が闇に溶け込んでしまうでしょう。
月の風景を写すベストタイムは、日没後の空がまだ明るい「残照」の時間帯です。この状態で月に露出を合わせると、残照の空は露出アンダーになり、まるで夜空のように暗く写ります。ただ、空と樹影には明暗差があるので、闇の中に樹影を浮かび上がらせることができるのです。
さらに夜空らしい雰囲気を高める「プロの一手」は、ホワイトバランスを「白色蛍光灯」に設定すること。太陽の光が残る空を色温度の差で青紫色の色合いにすることで、きれいな夜空らしさが演出できるのです。
EOSオリジナルショルダーバッグ

「EOSオリジナルショルダーバッグ」。ブラック&グレーのシックなカラー。飽きのこないデザインと優れた機動性を兼ね備えたカメラバッグです。カメラボディ1〜2台とレンズ数本を収納!

大胆なマイナス補正で
夕闇の雰囲気を演出する。
空がまだ明るい時間帯に「夜らしさ」を加える演出として、大胆なマイナスの露出補正を行うことがあります。この作品の場合は、-1 2/3(マイナス1と 2/3)の露出補正です。このようにいくつかのテクニックを組み合わせて、夜空に浮かぶ月の風景写真を演出しているのです。
月の写真というと、「月を画面いっぱいに写したい」と思いますよね。カメラで撮影できる月の大きさの目安を覚えておくとよいでしょう。
センサーサイズが35mmフルサイズのカメラの場合、月を撮影するレンズの焦点距離を約1/100にした大きさ(直径)で写ります。
焦点距離100mmなら月は直径約1mm、200mmなら約2mm、1000mmだと約10mmの月が、カメラのイメージセンサー上に像を結ぶわけです。APS-Cサイズのカメラであればフルサイズに比べて約1.6倍の大きさで写るので、月の撮影には有利ですね。
ハンドストラップ

カメラのホールディング性を向上させるハンドストラップ。とくに街中でのスナップ撮影に威力を発揮します。カメラの取り回しが良くなるので、軽快に撮影を楽しむことができるはず!

コラム
風景撮影では日の出時刻や日没の時刻を調べることがあるでしょう。このとき同時に、「月の出」や「月の入り」の時刻も調べておくといいでしょう。
太陽が昇る前や日没後の残照が残る時間に月が低い位置にあれば、地上の景色と月をからめて撮影できるチャンスです。小高い山の稜線や木々など少し高さのある被写体があれば、昇ってくる月といっしょに撮りやすいでしょう。神秘的な月と地上風景の共演をぜひ写真で表現してみてください。