写真・プロの一手 第9回 - PLフィルターを使って夏空を撮るとき、プロなら回避するNG現象「○○○」とは?

写真・プロの一手 渾身の一枚から学ぶ「プロの一手」! 講師

工藤智道

1969年、横浜生まれ。日本写真芸術専門学校卒。卒業後、風景写真家の竹内敏信氏に師事。4年間のアシスタントを経て独立。日本の自然風景、都市風景を撮り、夜景や花火の撮影もこなす。写真専門誌で撮影、執筆も数多くパソコン誌、デジタルカメラ専門誌でも活躍。日本写真家協会会員。EOS学園東京校講師。

PLフィルターを使って夏空を撮るとき、
プロなら回避するNG現象「○○○」とは?

PLフィルターを使って夏空を撮るとき、プロなら回避するNG現象「○○○」とは?

EOS 5D Mark II・EF24-70mm F4L IS USM・絞り優先AE(F8・1/320秒)・+2/3補正・ISO200・ホワイトバランス:太陽光・ピクチャースタイル:風景

夏本番ともなれば、海や山へレジャーに出かける機会も多くなります。夏らしい季節感のある被写体といえば、青い空と白い雲ではないでしょうか。もくもくと湧き上がる入道雲などは、まさに夏そのもののイメージ。夏の雲を引き立てる青空もきれいに写してみたいですね。
さて、青い空と白い雲をクリアに撮るためのアクセサリーといえば「PLフィルター」です。PLフィルターを使うとき、「そうなってしまうと残念だから避けたいNG現象」があります。さて、そのNG現象とは?

プロの一手、その答えは・・・

AnswerPLフィルターの「片効き」

PLフィルターの「片効き」に注意!
夏の雲を引き立てるために必要なのがPLフィルター(サーキュラータイプ)です。効果的に使うと青空を色濃く色彩コントラストを高め、夏雲が際立つようにすることができます。PLフィルターはフィルター枠が二重になっていて、フィルター自体が回転するように作られています。ファインダーをのぞきながらPLフィルターの枠を回し、効果を調整します。
PLフィルターの効果は、カメラを向けた方向に対して90度(直角)の位置に太陽があると効果が最大になりますが、太陽の位置、光の方向に注意しないで撮影すると「片効き」という状態になることがあります。特に広い範囲を写す広角レンズでは注意が必要です。カメラを向けた方向に対して横に太陽があると、太陽に近い空はPLフィルターの効果が弱く、太陽から遠い反対側の空にはPLフィルターが強く効くため、ムラのある不自然な空になってしまいます。これがPLフィルターの「片効き」といわれる現象です。
片効きを避ける対策は次のとおりです。
  • ・PLフィルターの効果を調節して(弱めて)撮影する
  • ・太陽が横にくる時間帯を避ける
  • ・撮りたいアングルが決まっている場合は、太陽が高い位置に来る時間帯に撮影する
空に不自然なムラができないように注意して、気持ちのいい夏空を撮りましょう。
PLフィルター

PLフィルターとはPolarized Light(偏光)フィルターの略。夏雲など印象的な一枚を撮るのに最適なアイテムです。レンズのフィルター径に合ったものを購入しましょう。

青空に映える「夏雲」は
素早く撮る
夏の雲はもくもくと湧き上がるように成長し、常に形を変えています。このため、いい形の雲に出会ったら、素早く撮影する必要があります。常に太陽の位置や順光方向の空に注目して、いい形の夏雲に注目しておくといいでしょう。また、PLフィルターの効果を確認しながら調整するときは、液晶モニターではなくファインダーを見るのがベター。ライブビュー撮影は便利ですが、天気のいい夏の日中では液晶モニターが見づらく、PLフィルターの効果は確認しにくいためです。ただ、「モニタールーペ」を使えば明るい場所でもモニターが見やすくなるので、持っていると便利です。
防湿庫

じめじめした高温多湿な気候は、カメラやレンズの「天敵」です。適切な湿気対策をしないと、大切な機材にカビが生えてしまうかもしれません。そこでおすすめしたいのが防湿庫です。

コラム
春は桜、秋は紅葉、冬は雪景色。それに比べて夏は、季節感の表現が難しい季節です。ただ、夏の日差しが作り出すコントラストの強い景色は、この季節にしか撮れません。ぜひ「夏らしさ」を見つけて撮りましょう。
暑くて撮影はたいへんですが、夏は暑いところに行ってこそ、夏らしい写真が撮れます。小まめな水分補給を心掛けて、夏の撮影を楽しみましょう。