写真・プロの一手 第2回 - 幻想的に桜を撮る! 工藤先生流のプロの一手「○○○フォーカス」とは?

写真・プロの一手 渾身の一枚から学ぶ「プロの一手」! 講師

工藤智道

1969年、横浜生まれ。日本写真芸術専門学校卒。卒業後、風景写真家の竹内敏信氏に師事。4年間のアシスタントを経て独立。日本の自然風景、都市風景を撮り、夜景や花火の撮影もこなす。写真専門誌で撮影、執筆も数多くパソコン誌、デジタルカメラ専門誌でも活躍。日本写真家協会会員。EOS学園東京校講師。

幻想的に桜を撮る! 工藤先生流の
プロの一手「○○○フォーカス」とは?

幻想的に桜を撮る!工藤先生流のプロの一手「○○○フォーカス」とは?

EOS 5D Mark III・EF70-200mm F2.8L IS II USM・絞り優先AE(F11・1/13秒)・ISO100・ホワイトバランス:太陽光・ピクチャースタイル:風景

春といえば桜! 満開の桜の眺めはとても見事で楽しい気分になります。桜の咲く、まさに「春爛漫」な光景は、誰もが写真に撮りたくなりますよね。春の日差しに包まれた桜に出会ったら、ボケの効果を生かすことを考えると、柔らかで華やいだ雰囲気の描写となり、とても春らしい写真になります。フワッとソフトな描写によって桜の優しい雰囲気や、春の日差しの暖かさを感じさせる写真になるでしょう。

さて、こちらの写真、まさに春らしく、桜の優しい雰囲気を感じさせる柔らかな描写です。どのようなテクニックで撮影した写真でしょうか。これから桜の撮影に出かける前に、フワッと幻想的に描写する撮影テクニックをマスターしておきませんか?

プロの一手、その答えは・・・

Answerピントをずらした多重合成で撮る
「ダブルフォーカス」が決め手!

この幻想的でソフトな描写のヒミツは
「ダブルフォーカス」のテクニック!
「フワッとした描写」で撮影したいとき、よく活用するのが「ソフトフォーカスフィルター」です。ただ、いつもカメラバッグにソフトフォーカスフィルターを入れて持ち歩いているとは限りません。フィルターがない場合でも、フワッとした描写の写真を撮るテクニックがあるのです。
その撮影テクニックとは、名づけるならば「ダブルフォーカス」。2枚以上の写真を1枚の写真に合成する「多重露出(多重露光)」のテクニックを応用したものです。
まず必要な道具として「三脚」を準備。カメラをしっかり固定します。そしてカメラのメニュー画面から、多重露出撮影〈する〉を選択。多重露出制御は〈加算平均〉もしくは〈比較明〉に、重ねる枚数などをセットします。
「多重露光」の撮影方法はこちら(EOS 80Dの場合)

※「多重露出」が設定できない機種もあります。

タネキヨのヨキネタ

すぐに楽しく遊べるとっておきの撮影ネタを紹介する「タネキヨのヨキネタ」。多重露出のテクニックを使って、「ありえない花火大会」の撮影にチャレンジ!

ピントを合わせた写真とピンボケ写真を
1枚に重ね合わせて生まれる絶妙描写!
さあ、撮影を始めましょう。ライブビューに切り替え、まずは桜にピントを合わせた写真を撮ります。これが1枚目の写真。そのあとマニュアルフォーカスの操作で、わざと桜にピントが合っていない写真を撮ります。これが2枚目の写真。
ピントがきちんと合った写真と、ピントがずれた写真を重ね合わせることで、フワッと幻想的な描写の写真になるのです!
  • 1枚目(ピントを合わせて撮影)

    1枚目(ピントを合わせて撮影)

  • 2枚目(ピントを外して撮影)

    2枚目(ピントを外して撮影)

三脚

工藤先生も愛用しているEF70-200mm F2.8L IS II USMは、美しいボケ味や、絞り込んだときの精緻な描写力が魅力。大胆に桜の情景を切りとれます。この春の桜撮影に、ぜひチョイスしたい一本!

コラム
「多重露出」するときはRAWモードで撮影しておき、撮影後にキヤノンの「Digital Photo Professional 4(DPP 4)」を使って、「ツール」から「多重合成」機能を使って仕上げる方法もあります。
ピントをわざとずらして撮影したコマは、ぼかす程度によって「フワッと具合」が変わります。お好みに応じてフワッと具合を調整してみてください。
この「ダブルフォーカス」のテクニックは、桜だけでなく花や夜景などにも使えるので、ぜひチャレンジしてみてくださいね!