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レッスン3

Exifを読み解いて写真上達|フォトテク・レッスン

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デジタルフォトに記録されている「Exif情報」には、思いどおりに写真を撮るためのヒントが隠されています。
Exif情報を読み解けるようになるのが、写真上達への近道!
この企画では、Exif情報※の一部を空欄にした“パズル”を題材に、フォトテク・ティーチャーの出水惠利子先生が優れた作品の背後にあるExif情報の秘密を解き明かしていきます。

フォトテク・ティーチャー 出水惠利子先生|1971年、東京都生まれ。東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ)卒業。広告を中心にフリーランスで活動中。海やテトラポッドの作品をライフワークとしている。EOS学園講師としても活躍中。

※Exif情報とは…デジタルカメラで撮影した画像に含まれている情報のこと。撮影日時、カメラやレンズの機種、ISO感度、
絞り値、シャッター速度、ホワイトバランスなどの各種設定が記録されています。

2014.12/4 更新

Let's TRY!Exifパズル フォトテクの秘密を解き明かす「パズル」にチャレンジ!

Q
幻想的な海の風景を作り出す“シャッター速度”は?富士山のシルエットが映える海辺の風景。夕陽が沈み切った空が、濡れた岩場を光らせていました。この幻想的なイメージを表現するために、荒々しく打ちつける波で「静寂感」を表現してみたいと考えました。そこでこだわって設定したシャッタースピードは、次の4つの選択肢のうちどれでしょう?
  1. 「1/125」
  2. 「1/30」
  3. 「1/8」
  4. 「30秒」

画像サイズ(ピクセル)
3000×2000
ファイルサイズ
3.2MB
撮影日時
2010/01/10 17:20
カメラ機種
Canon EOS 5D Mark II
Tv(シャッター速度)
?
Av(絞り数値)
10.0
露出補正
0
レンズ
EF24-105mm F4L IS USM
焦点距離
50.0mm
ストロボ
非発光
ホワイトバランス
マニュアル
ISO感度
200

Exif情報から読み取る!問題を解くカギ
ISO感度を見ると「200」と低感度に設定しています。絞り数値は「10.0」と絞り込んでいます。となると、露光時間はかなり「長め」と予測できそうですね。

これがヒント!

速いシャッター速度で撮れば、波の動きをピタリと止めて撮ることができます。この作品では、波の動きがすっかり消えて、まるでフンワリと海を覆い尽くす“雲海”のように描写されています。どういうシャッター速度なら、このような写り方になるのでしょうか。
まずはExif情報の確認をしてみましょう。撮影日時を見ると真冬の1月、時刻は17時20分なので、夕陽が沈みきった時間帯。かなり暗いはずなのに、ISO感度は低めのISO200に設定しています。また、このような低感度にもかかわらず、絞りはF10まで絞り込み、光が足りないはずなのに、シャドー部までしっかりと再現されています。 また、岩場に打ちつけているはずの波しぶきが、すっかり消えています。ということは、シャッター速度はかなり遅かったはず……と考えていくと、答えに近づいてきますね。

パズルの答え合わせ

選択肢1の「1/125」は、手持ちでの撮影が可能なシャッター速度ですが、波の描写から考えると、そんなに速いわけではなさそうです。
選択肢2の「1/30」は手持ちで撮影できるギリギリのシャッター速度ですが、波の動きはある程度まで止めて撮れるはずです。
選択肢3の「1/8」は、波を流れるように表現するにはほどよいシャッター速度ではありますが、この作品のようにすっかり波の動きが消えるほどではありません。
したがって、正解は……。

A
「30秒」選択肢4「30秒」が正解です。ISO感度を低く、露光時間を30秒に設定して、波の原形をとどめないで海の表面をなだらかに表現しました。「静かな海」をイメージして撮影した作品です。幻想的な世界が広がっていますが、目では確認できても撮影するには写しにくい時間帯で、撮影終了後には、真っ暗でした。
このような「スローシャッター」による長時間露光では三脚が必需品ですが、シャッター速度を変えることによって、波や滝、渓流などの水の動きの「流れ」を表現することができます。スローシャッターの目安としては、1/8秒以下に設定することです。
 
[人気モチーフである滝の作例で比較してみましょう]〈シャッター速度の違いで変わる水の表情〉水の流れなどを表すとき、ハイスピードで水しぶきを止めることで躍動感を表現することもありますが、川や滝などスローシャッターで撮れば「流れ」を表現することができます。水量や、勢いによって適切な速度は異なりますが、一般的に1/8秒以下にすることで「流れ」が表現しやすくなります。
水流の幻想的な表現は“スローシャッター”を極めよ!

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