
鉄道写真家山﨑友也
鉄道写真家山﨑友也
では、今回ボクが選んだ8作品を発表します!
※作品をクリックすると講評を閲覧できます。
風景をからめて鉄道を撮る。
そんな世界をご紹介した撮り方講座「ドラマチック!鉄道風景写真入門」の読者の皆さんから、たくさんの作品が届きました。
結果はとてつもないものでした。というのも、はっきり言ってクオリティが高すぎました。
レベルが拮抗しすぎていて作品を選ぶのにこんなに苦労したのは初めてです。
ですから、今回選ばれなかったからといってガッカリする必要はありません。また次の機会に、ぜひ応募してほしいと思います。
とはいえ作品のなかには、明らかに危険な場所から撮ったと思われる作品も見受けられました。
鉄道ファン全体の印象を悪くすることにもつながりますし、ひいては好撮影地がなくなってしまうことにもなりかねません。
ルールを守ってマナーよく、そしてみんなが楽しく撮影できるよう心がけてください。
ともかく皆さんの感性、そして技術の高さには恐れ入りました。
おそらくアマチュアの鉄道写真界では、CANON iMAGE GATEWAYの会員さんたちは日本でトップに君臨している
と言ってもいいでしょう!
EOS 5Ds R・EF24-105mm F4L IS USM・2秒・F8・ISO100・WB オート(茨城県守谷市)
EOS 5D Mark II・10秒・F13・-0.5補正・ISO200・WB マニュアル(滋賀県米原市)
照明を反射して線路が輝いているため、かなりドラマチックな作品に仕上がっていますね。その輝きと照明自体の色ですが、ホワイトバランス(WB)の設定が「マニュアル」になっているので詳しくは分かりかねますが、結果的に良かったと思います。WBを「オート」にしてしまうと照明が真っ白い色になってしまうため、臨場感に欠けてしまうからです。加えて絞りをF13まで絞ったことで照明が光芒のようになり、印象的な一枚になりました。
山﨑友也
EOS 7D・EF70-200mm F2.8L IS USM・1/800・F7.1・ISO1000・WBオート(栃木県栃木市西方町)
写真を印象づけるためのテクニックとして、反射はよく用いられますしボクも大好きです。この作品では田植えの終わった田んぼの水面に反射した「スペーシア」を撮影し、わざと天地を回転させて正像のように表現しています。
際立っているのは、普通は反射した列車そのものにピントを合わせるのですがあえて稲に合わせ、列車をぼかしているところです。そのあたりに作者の突出した感性を感じました。
山﨑友也
EOS 60D・EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS・1/250・F10・+1/3補正・ISO200・WB日陰(一畑電車・高浜駅-遙堪駅間)
赤い鳥居が連なっている有名な撮影ポイントですが、その光景を捨てて列車に手を振る園児に焦点を当てたことは大正解でした。しかしながら、やはり園児と列車では大きさにかなりの差があるため、列車が目立ってしまうのが難点です。そこで神社の屋根の上でカットしてしまえば、列車は一部しか画面に入らないので存在が薄まるうえ、園児たちがもう少し大きく写り、主題としてもっとアピールできたのではと思います。
山﨑友也
EOS 7D Mark II・EF70-200mm F4L IS USM・EXTENDER EF1.4×III・1/125・F5.6・-1/3補正・ISO100・WBオート(宮崎県)
光っているわけでもなく、なにげないホームの出発標識ですが、撮影した時間帯と背景に信号機を入れたことで「旅情感」がグッと増しています。
ただ、雪の表現が中途半端でした。ハラハラと舞い落ちているくらいでしたら軌跡の方向が一定でないので、このようにブラさず、もっと速いシャッター速度で雪を止めて撮るべきでしたね。とはいうものの写真自体のセンスは素晴らしく、ジェラシーを覚えるくらいです。
山﨑友也
EOS 7D・EF24-105mm F4L IS USM・1.6秒・F4.5・ISO2500・WB白色蛍光灯(札沼線・豊ヶ岡駅)
駅に停車している列車を撮っていますが、シチュエーションや気象条件などを最大限利用した作品ですね。舞い落ちる雪に対してストロボを発光させて「前ボケ」として写し込み、とても幻想的になりました。ただ、厳しく言うならば、ISOは2500まで上げる必要はなかったでしょう。もっと低くして画質面を優先したうえで、ストロボは2、3回マルチ発光(露光中、ストロボを一定間隔で連続発光させる機能)させれば雪も2倍3倍に写るので、さらに幻想感は増したかと思います。
山﨑友也
山﨑先生の作品掲載! キヤノン発行 写真誌の鉄道特集号(2015年9月号)
EOS 7D Mark II・EF-S15-85mm F3.5-5.6 IS USM・1/60・F7.1・-2/3補正・ISO200・WB太陽光(大井川鐵道・井川線・奥大井湖上駅)
写真を撮るとき、太陽が出ている晴れの日を求めがちです。ところが雨には、雨なりの良さもたくさんあります。この一枚がそのことを教えてくれています。印象的な写真は光や輝きが創りあげるだけではありません。このように雲が低く立ちこめ画面全体を覆うかのような写真は、雨だからこそです。「悪天候こそ印象的な写真が撮れる」というのがボクの信条でもあります。苦労した甲斐あって、この一枚はまさにそれを物語っているではありませんか。
山﨑友也
EOS-1D X・EF16-35mm F4L IS USM・1/80・F4・ISO160・WBオート(鎌倉御霊神社)
アジサイも咲き誇る御霊神社は、江ノ電沿線の好スポットです。境内に絵馬をかける場所があるのですが、作者はよくもまたこの願いを書いた絵馬を見つけられましたね!思わず選んでしまいました(^^;) 単純に絵馬を撮ったのではなく、背景の電車を電車と分かるくらいのF値を選んだところが勝因です。しかしこの絵馬、筆跡といい、送りがなを間違えているところといい、まさかひょっとして本人がネタのために仕込んだ!?
山﨑友也
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初めてEOSを購入した初心者の方から、さらにレベルアップを目指している方まで、写真を学びたい多くの方々にご満足いただける写真教室です。丁寧でわかりやすい講義と、実践的で楽しい撮影実習の両面から写真の上達を目指します。
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踏切の警報機と走り去る列車の表示灯やテールライトの赤が鮮烈で、とても印象的な作品ですね。日没後にわずかに見られる、空が青い時間帯での撮影ですので、その赤とのコントラストも良かったです。ただし踏切の特徴でもある、上のバッテン(踏切警標)が画面に写っていないのが残念です。露出やシャッター速度も良かっただけに、ちょっと惜しい気がしました。
山﨑友也