ドラマチック!「鉄道風景写真」入門 第3回

ドラマチック!「鉄道風景写真」入門

  • 第3回〈月1回・全3回更新〉
  • 講師:山﨑友也(鉄道写真家・EOS学園講師)
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基本テクニック講座

鉄道写真をもっと楽しむための撮りテク

撮りテク3ようこそ「夜感鉄道」の世界へ

ボクのライフワークは、夜の鉄道写真です。日没から日の出までのあいだに撮った鉄道写真を「夜感鉄道」と命名し、作品を発表しています。
夜の鉄道写真の魅力は、肉眼では見えていないものが写り、見えているものが写らないことです。
写真はもともと光が乏しいと撮れないのですが、デジタルカメラの出現と技術の進歩によって、現在では夜でも撮れるようになってきました。
夜感鉄道を撮るうえでおすすめの時間帯は、日が沈んで空が真っ暗になる前です。「ブルーモーメント」とも「マジックアワー」とも呼ばれるこの時間帯が、もっともドラマチックに撮れるのではないでしょうか。

秩父鉄道上長瀞駅~親鼻駅間

MAP

EOS 7D Mark II・EF-S10-22mm F3.5-4.5 USM・0.5秒・F7.1・ISO100・WB太陽光
撮影地情報:秩父鉄道上長瀞駅~親鼻駅間

秋に撮った一枚。同じ列車を夏や冬にねらっても、空の明るさはまったく異なります。

しかしながら、そこでまた問題が生じます。空が青い時間というのは、日没して大体20~30分後のわずか10分間ぐらいしかありません。ところが、その時間帯にカメラを構えていても、列車が走ってこなければ意味がありません。
単純な風景写真であれば、その時間帯になるまで待っていればよいのですが、列車を撮る場合にはそうはいきません。列車が走っている時間に撮り手が合わせなければならないのです。こう考えると鉄道写真というのは、つくづく厄介なジャンルなのですね。

夜感鉄道の機材と道具

夜間に光量の少ない場所で撮影をするので、ブレないための三脚とレリーズは必需品です。また、懐中電灯もしくはヘッドランプも欠かせません。
道路を歩く場合には、ドライバーに自分の存在を分からせるよう、反射材の入ったものを身につけると安全です。できれば単独行動は避け、危険のないよう楽しく撮影するようにしたいですね。

  • 三脚とリモートスイッチ

    三脚とリモートスイッチ(RS-80N3)は
    「夜感鉄道」の必需品です。

    キヤノンオンラインショップへ

  • 反射材の入った「安全ベスト」

    反射材の入った「安全ベスト」を着用して
    撮影に挑むボク。

撮りテク4気ままに撮ろう「鉄道スナップ写真」

「鉄道スナップ写真」は旅写真の延長です。鉄道や車両への興味や知識がなくても、スナップ写真であれば誰でも楽しめます。車両を主題として撮ることだけが鉄道写真ではなく、あえて車両を脇役とするのです。
旅写真の延長として、駅や車内などで自由にスナップしてみましょう。ただし、人を撮らせてもらうときには必ず声をかけ、許可を得るよう心がけましょう。
鉄道スナップ写真のポイントですが、「あっ!」と思ったら、すぐに撮ることです。目の前の光景は二度と同じように現れません。気になったら、目についたら、そのチャンスを逃すことなく、どん欲に撮りましょう。

鉄道スナップ写真・都電荒川線

MAP

EOS 7D Mark II・EF16-35mm F2.8L II USM・1/30秒・F3.5・ISO200・WB太陽光
撮影地情報:都電荒川線熊野前電停~宮ノ前電停

いまでは懐かしくなった蝋細工。おいしそうな食べ物の向こうをのんびりと都電が横切ります。

鉄道スナップ写真・海水浴場で遊ぶ子供たち

MAP

EOS 70D・EF16-35mm F2.8L II USM・1/250・F9・ISO200・WB太陽光
撮影地情報:伊豆急行片瀬白田駅~伊豆稲取駅間

海水浴場で楽しそうに遊んでいるチビッコたちをパシャ。
笑顔を引き出すのも腕のうち!

撮りテク5車両がなくたってイイじゃないか

さて、いよいよこの講座もクライマックスです。最後は車両のない鉄道写真を撮ってみてはいかがでしょうか。
「車両が写っていないのに鉄道写真?」と思うかもしれませんが、鉄道スナップ写真の応用です。線路や駅、踏切など、どこかに「鉄道」の存在を感じさせることができればいいのです。
じつは、いまボクが取り組んでいるテーマが、これなのです。あえて車両を写さないで旅情や郷愁感を表現する。いわば究極の鉄道写真でしょう。みなさんも自らの感性を研ぎ澄ませて、渾身の一枚を目指してみてください。

秩父鉄道上長瀞駅~親鼻駅間

EOS-1D X・EF16-35mm F2.8L Ⅱ USM・1/4・F22・-0.7補正・ISO200・WB太陽光
撮影地情報:秩父鉄道上長瀞駅~親鼻駅間

走り去る列車の窓からスローシャッターで疾走感を表現。あえて雨の日をねらい、
窓についた雫をアクセントに加えてみました。

関西本線月ヶ瀬口駅間

MAP

EOS 5Ds R・EF16-35mm F4L IS USM・1/800・F7.1・ISO100・WB太陽光
撮影地情報:関西本線月ヶ瀬口駅間

空を背にした駅。露出をアンダーにして太陽の光芒も写し込みました。
ホームに歩く人を入れたのがポイント。

風景写真に鉄道が加わることで、写真がドラマチックに──。そんな「鉄道風景写真」の世界を3回にわたってご紹介してきました。「鉄道がモチーフだけれど、写真的にドラマチックで素晴らしいね!」と言ってもらえたら、それはボクにとって最高の賞賛です。そんな写真を目指して、一緒に切磋琢磨していきましょう。

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ありがとうございました。
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