ドラマチック!「鉄道風景写真」入門 第3回

ドラマチック!「鉄道風景写真」入門

  • 第3回〈月1回・全3回更新〉
  • 講師:山﨑友也(鉄道写真家・EOS学園講師)

基本テクニック講座

鉄道写真をもっと楽しむための撮りテク

撮りテク1「流し撮り」でスピード感に挑戦

「流し撮り」という撮り方では、列車の動きに合わせてカメラを振りながらシャッターを押します。列車の動きとカメラがうまくシンクロすれば、列車は止まって写りますが、背景は流れて写ります。背景が流れるので、まるで列車が実際に走っているように見え、スピード感や疾走感のある写真に仕上げることができます。

  • 撮りテク1「流し撮り」作例解説

    カメラを振らずに固定して撮ると、列車も背景も止まって写ります。

  • 撮りテク1「流し撮り」作例解説

    カメラを振って流し撮りをすると、背景が流れるのでスピード感が出ます。

流し撮りは、シャッター速度と密接な関係にあります。シャッター速度が遅ければ遅いほど、カメラを振っている時間が長いので、そのぶん背景が流れます。逆にシャッター速度が速いと、背景はあまり流れません。
そうだとすると、「カッコ良く撮るには、遅いシャッター速度にすればイイじゃん!」と思われるかもしれませんが、そうは問屋が卸しません。
シャッター速度が遅いということは、シャッター幕が開いている時間、すなわちファインダー内が真っ暗で、何も見えない時間が長いということ。列車の動きに合わせてカメラを振るのが難しくなるのです。
列車の速度にもよりますが、初心者の方は、まずは1/125秒くらいから撮り始めてみるとよいでしょう。列車をバッチリ止めて撮れるようになったら、1/60秒、1/30秒と、一段ずつシャッター速度を遅くしていきます。

〈 シャッター速度による背景の流れの違い 〉

  • 1/125秒

    撮りテク1 シャッター速度1/125秒の写真鉄道写真
  • 1/60秒

    撮りテク1 シャッター速度1/60秒の写真鉄道写真
  • 1/30秒

    構図のコツ1 ジョージア国旗構図作例解説撮りテク1 シャッター速度1/30秒の写真鉄道写真

効果的なブレを演出しよう!

流し撮りをするときは、ライトや運転席など車両のポイントとなる部分にピントが合い、止まって写っていれば基本的に成功です。しかし、シャッター速度を遅くしていくと、列車の見え方や大きさが変わっていくので、物理的に止まって写すことが不可能になってきます。
多少止まって写っていなくても、スピード感のほうが上回っていれば、それは写真としては「成功」と言えるでしょう。ただし、そのブレやにじみをあらかじめ想定して撮らなければ、ただの「まぐれ」にしかすぎません。

効果的なブレの演出 作品例1

EOS-1D X・EF16-35mm F2.8L II USM・1/8・F6.3・ISO100・WB太陽光

これくらいのブレなら問題ありません。疾走感があり迫力も出ています。

効果的なブレの演出 作品例2

EOS-1D X・EF16-35mm F2.8L II USM・1/8・F7.1・ISO50・WB太陽光

列車とカメラの動きがシンクロせずブレボケの写真に。現代アートと言い張ればOK!?

流し撮りに流されるな!

ボクの鉄道写真に対するポリシーは、「走っている列車は、走っているように撮ること」です。そのために「流し撮り」は有効な手段ではあります。
ところが、デジタルカメラの時代になり写真が身近になった影響でしょうか、ただ流し撮りをするだけで、写った写真が作品っぽくなると勘違いされる風潮があるようです。ボクは流し撮りにも、そこに撮り手の明確な意志と、流して撮る必然性がなければダメだと思っています。
「困ったときの流し撮り」という言葉もあるように、単純に流しただけの写真は、作品ではありません。それっぽく写っているだけです。
やはり、あらかじめ流れの効果や仕上がりを頭の中で想像しておき、そのイメージどおりに撮らなければ「作品」とは言えないと思っています。

流し撮り作例:東北新幹線一ノ関駅~水沢江刺駅間

MAP

EOS 5D Mark III・EF16-35mm F2.8L II USM・1/4・F2.8・ISO12800・WB太陽光
撮影地情報:東北新幹線一ノ関駅~水沢江刺駅間

夜はパンタグラフのスパークが激しく写り、
川面にもその光が反射するのではないかと予想して撮影しました。

撮りテク2あえて「逆光」でねらってみよう

初心者の方は、「逆光はダメ」と思っているのではないでしょうか。そんなことはまったくありません。ボクは順光よりも逆光のほうが大好きです。その理由は、逆光の方がドラマチックに写るからです。
朝焼けや夕日を入れた美しい写真は、すべて逆光で撮られています。新緑や紅葉も、逆光で撮ると葉がきらめいて鮮やかに写ります。
ただし、逆光で撮る場合は、「プラスの露出補正」をしてあげることがコツです。逆光の場合は、基本的にカメラが「明るい」と判断してしまうので、そのまま撮ると、見た目のイメージよりも暗く写りがちです。この講座の第1回目で学んだ「黒シメ白アケ」と同じ理論ですね。
逆光での撮影では、とりあえず露出補正「プラス1段」を目安に試し撮りをし、その結果を踏まえて微調整すればよいでしょう。

逆光作例・田沢湖線赤渕駅~田沢湖駅間

MAP

EOS Kiss X5・EF16-35mm F2.8L II USM・1/6・F29・ISO100・WB太陽光
撮影地情報:田沢湖線赤渕駅~田沢湖駅間

新緑のきらめく緑のなかを行く「こまち」。先頭部の反射は逆光ならでは。

逆光作例・奥羽本線高畠駅~赤湯駅間

MAP

EOS 5Ds R・EF11-24mm F4L USM・1/2500・F4・+1/3補正・ISO400・WB日陰
撮影地情報:奥羽本線高畠駅~赤湯駅間

夕暮れの美しい空模様も逆光でしか表現できません。プラスの露出補正を忘れずに。

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