ドラマチック!「鉄道風景写真」入門 第2回

ドラマチック!「鉄道風景写真」入門

  • 第2回〈月1回・全3回更新〉
  • 講師:山﨑友也(鉄道写真家・EOS学園講師)

基本テクニック講座

鉄道風景写真をうまく撮る「構図」のコツ

鉄道風景写真の世界では、鉄道が「主題(メイン)」だとすると、背景などの風景は「副題(サブ)」の関係になります。メインとサブをどのように配置するか。それを決める作業が「構図」づくりです。では、鉄道風景写真の主題である列車は、画面のどこに置くとバランスが良くなるのでしょうか?

構図のコツ1「ジョージア国旗」の構図で撮る

被写体が画面の真ん中にある写真のことを、日本の国旗にたとえて「日の丸構図」と呼びます。写真の世界では、「日の丸構図」はあまり良くない構図とされています。なぜなら、撮る人の意識が真ん中の被写体にばかり集中してしまった結果、「日の丸構図」になっているケースがほとんどだからです。

  • 構図のコツ1 日の丸構図作例
  • 構図のコツ1 日の丸構図作例解説

画面中央しか見ていないと、日の丸構図になってしまいます。画面の隅にまで気を配ることが大切!

では「日の丸構図」が良くないというなら、いったいどんな構図がよいのでしょうか。その答えを見つけるべく、ボクは世界各国の国旗と1時間以上にらめっこしていました。そしてついに鉄道風景写真にピッタリの国旗を発見したのです。その国こそが、そう、「ジョージア」なのです!

ジョージア国旗

ジョージアの国旗。これがあなたの構図を劇的に変えてくれる!

黒海に面しトルコとロシアとの間に位置するジョージアは、昨年まで日本では「グルジア」と呼ばれていました。では、そのどこが鉄道風景写真向きなのでしょうか?
上のジョージア国旗をご覧ください。大小5つの十字が描かれているのがおわかりいただけると思います。ジョージア国旗に重ねるように構図をつくるのがコツ。国旗の4隅にある小さい十字のあたりに列車を置き、中心にある大きい十字の位置は避けるのです。そうすれば、あら不思議。必然的にバランスの取れた構図ができあがるではありませんか! みなさんもだまされたと思ってジョージアの国旗を脳裏に焼きつけ、現場で試してみてください。

  • 構図のコツ1 ジョージア国旗構図作例
  • 構図のコツ1 ジョージア国旗構図作例解説

小さい十字の位置に列車をおけば、ハイこのとおり。

構図のコツ2「対角線」を意識しよう

写真の主題とは、みなさんが写真の中でもっとも撮りたいもののことで、副題とは2番目以降に撮りたいものとも言えます。では副題がひとつの場合、主題との位置関係はどのようにすれば、いい構図になるでしょうか。
まず大前提として、主題も副題も「ジョージア構図」にすることには変わりありません。つまりどちらも小さい十字の位置に配置するのです。
問題は4つある十字のうち、それらをどのように置けばいいのかということです。そこでポイントとなるのが対角線です。四角形の対する頂点を結ぶのが対角線ですね。つまり列車を置いた対角線上にある十字の位置に副題を置くのです。
列車と同じ側にある十字の位置に副題を置いてしまうと、そちら側のボリュームが重い写真になってしまいます。あらまあ、なんて簡単なことなんでしょう。みなさん、このページを読んで本当に得をしましたね!

  • 構図のコツ2 対角線構図作例
  • 構図のコツ2 対角線構図作例解説
  • 構図のコツ2 対角線構図作例(悪い例)
  • 構図のコツ2 対角線構図作例(悪い例)解説

主題と副題を対角線上に置くとバランスが良い。下の写真は主題も副題も左に寄っているため、
画面左のボリュームが重くなってしまっています。

構図のコツ3副題の「引き算」で主題を引き立てる

青い海に澄んだ空、白くポッカリと浮かぶ雲。草原には花が咲き乱れ、木立の雰囲気もなかなか……。そんな素晴らしい光景を目の前にすると、ついうれしくなってしまい、すべての要素を写し込もうとしてしまいます。
ブッブ~ッ! ほら、それがダメなのですよ。「いいな」と思った対象をすべて取り入れて写してしまうと、見る人にはあなたが何を撮りたかったのか伝わりにくくなってしまいます。

構図のコツ3 副題の「引き算」作例(悪い例)1

山並み、高原、川、田んぼ、集落、左下に小さく列車……。あれもこれも写し込んだため、 とても鉄道風景写真とは言えなくなってしまいました。

写真とは、いろんな副題を取り入れていく「足し算」ではなく、ある景色からいくつもある副題の要素を切り捨てる「引き算」なのです。足してしまうと撮りたかったものがぼやけてしまうので、心を鬼にしてバサバサと省いていく必要があるのです。
そこである疑問がわいてきませんか? 主題は当然ひとつですが副題はいくつまで許されるのか? ボクの経験上から言うと、ズバリ2つまでです。副題が3つ以上になってしまうと副題同士が「ケンカ」(干渉)して、写真がうるさくなってしまいます。

構図のコツ3 副題の「引き算」作例(悪い例)2

左右の山々、青空、海、花など撮りたい副題が4つもあるため、
ねらいが定まらない写真になっています。

写真は算数?「直角三角形」を利用しろ!

「副題は多くても2つまで」と述べました。では、その2つの副題と主題との位置関係はどうなのでしょう。
副題が1つの場合は対角線を意識するとお話ししました。そこにもう1つ副題を加える場合、ジョージア国旗の残りの2つの十字のうち、どちらに置けばよいのでしょうか?
そこで利用したいのが直角三角形です。主題をもっとも小さい角度の位置として、対角線を使って直角三角形をつくります。つまり主題側でない直角の位置に、もう1つの副題を配置するのです。
間違えて主題側に直角をつくって副題を置いてしまうと、そちらのボリュームが重い写真になってしまうので注意が必要です。
対角線やら引き算やら直角三角形……。こう考えると写真って、まるで算数のようですね。

  • 直角三角形構図作例
  • 直角三角形構図作例解説

主題である列車側ではないほうに副題をまとめて直角三角形を作ろう。 

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