「美しい」と感じたものを写真で表現することが大切。
被写体や撮り方は自由。マクロレンズで遊んでほしい!
それでは、今回選んだ応募作品を見ていきましょう!
※作品をクリックすると講評を閲覧できます。
EOS 5D Mark III・EF100mm F2.8L マクロ IS USM・1/160・F2.8・ISO400
EOS 5D Mark III・EF180mm F3.5L マクロ USM・1/640・F3.5・-1/3補正・ISO100・WB太陽光
「コスモスの花びらの曲線が非常にきれいに見えたので、そのラインにピントを合わせました」とは、作者H.Shimaさんのコメント。作品を見ただけで、その意図が伝わってきます。被写体をじっくり観察して、きれいだと感じる部分を見つけているから撮ることができたのですね。背景が暗くなる場所を選んだことで、ピンク色の花びらだけが浮かび上がりました。
花びらに対してレンズの向きをもっと変えてみたり、高倍率時の浅い被写界深度を加えてみたりすると、さらに見え方が変わってきますよ。今後もこの感覚で、チャレンジしてみましょう!
並木隆
EOS Kiss X4・EF-S60mm F2.8 マクロ USM・1/13・F5・ISO400・WBオート
角度を変えると色が変わるホログラムシートを背景に使うことはあっても、そこに被写体を写り込ませることまでは考えつきませんでした。その視点に脱帽しただけでなく、立派な作品に仕上げているところが素晴らしいですね。明るめの露出も爽やかです。
映り込ませる花はシンプルでいいので、いろいろな色や花、ホワイトバランスなども変えながら、yairin-mamさんの「ホログラムシリーズ」を追求してください。
並木隆
「光るマクロレンズ」EF-M28mm F3.5 マクロ IS STM をチェック
EOS 7D・EF100mm F2.8L マクロ IS USM・1/500・F2.8・+1補正・ISO200
バランスのとれたフレーミングに仕上がっているのは、チューリップの形だけでなく、背景の色味も左右対称になっているからですね。屋外ではこういうシチュエーションは、ありそうでないものです。よくこの状況を見つけて活かしましたね。
茎にピントを合わせて「主題」にされたのでしょう。でも、花びらと茎が2分割され、花びらのボケが少ないため茎に視線が行きにくいですね。茎の割合をもう少し多くしてもいいですし、逆に少なくして、色の違いで茎の部分を強調していたら、もっと素晴らしい作品に仕上がっていたでしょう。
並木隆
EOS 5D Mark III・MP-E65mm F2.8 1-5×マクロフォト・1/160・F2.8・ISO1600・WBオート
水滴の作品はたくさん応募がありましたが、なかでも完成度の高かったのがこの作品。水滴には魚眼レンズのようにかなり広い範囲が映り込み、余計なものが入りやすいのが難点です。ここにあってほしい場所に、なかなか水滴がありません。そこで、屋内でセッティングして撮影することもあります。でもこの作品は屋外で、しかも自然のものであることが素晴らしいですね。
映り込みの花がちょっと傷んでいたり、花の周囲がゴチャゴチャしたりしているなど、指摘したい部分はありますが、やっぱり自然のなかで撮った映り込みはきれいです。これからも頑張って、こんな場面を探してください。
並木隆
EOS 7D Mark II・EF100mm F2.8L マクロ IS USM・1/1600・F2.8・+1/3補正・ISO100・WB太陽光
昆虫の生態、つまり「動き」を予測できないと撮りたいタイミングでシャッターを押せないのが昆虫撮影の難しさでしょう。ホバリングで動きが止まる瞬間をバッチリとらえているのは、動きが読めているからこそ。また、花を撮っていたら急に昆虫が飛んできた……というパターンが多いのですが、この作品は最初から昆虫をねらっているフレーミングです。その証拠に、どの花にもピントが合っていませんね。目的がはっきりしているだけでなく、完成度も高い! とっても素晴らしい作品です。
並木隆
秋の花がシーズンイン! ヒガンバナ、コスモスなど被写体別の撮り方も見ておこう!
EOS 70D・EF100mm F2.8L マクロ IS USM・1/125・F2.8・+2補正・ISO100・WB太陽光
+2の露出補正をされていますね。露出補正なしなら上からの光が強すぎて、花びらの表面は白く反射し、光のあたり方が弱い部分は見た目より暗くくすんだ黄色になっていたでしょう。このイメージを思い浮かべて、光の条件や被写体を選んで露出設定したのなら……かなりハイレベルな作品です。
また、ピント位置を花びらの集まる中心部ではなく、手前の花びらの先端に合わせたのもよかったですね。花の中心に合わせていたら平凡に見えるだけでなく、白く輝く花びらの先端が邪魔な存在になっていたでしょう。
並木隆
EOS 70D・EF-S60mm F2.8 マクロ USM・1/125・F2.8・+2/3補正・ISO100・WB太陽光
写真で大切なことは、被写体を見て「きれい!」と思う気持ちです。その気持ちがあれば、花ではなく葉でも、どんな被写体でも作品になります。そのお手本となる作品ですね。
薄曇りの光の柔らかい条件なので、若葉の淡い色やグラデーションがしっかり再現できています。光の使い方が素晴らしい! このような場面では葉の向きがそろっていないとゴチャゴチャした印象になってしまいます。葉の向きがさらにきれいにそろっている、もしくは重ならないよう放射状に広がっているような部分を切りとると、さらにスッキリ見えますよ。
並木隆
この記事は気に入りましたか?
初めてEOSを購入した初心者の方から、さらにレベルアップを目指している方まで、写真を学びたい多くの方々にご満足いただける写真教室です。丁寧でわかりやすい講義と、実践的で楽しい撮影実習の両面から写真の上達を目指します。
キヤノンが発行する写真誌 (右写真)を毎月お届けする「キヤノンフォトサークル」。カメラや写真の知識・テクニックを学べる記事、著名写真家の作品、新製品やキャンペーン情報などを掲載。カメラやレンズのモニター貸し出しや、鉄道を撮りたい仲間がリアルに集って撮影を楽しみ学べる「部活」などのイベントも充実!カメラ修理時の割引もございます。
写真の撮り方アーカイブ![]() 被写体別の撮り方テクニック集。バラ、ウメ、コスモス、ツバキ など、撮りたいシーンの撮り方が早わかり! |
花・クローズアップ!
|
プロフェッショナル・ギア![]() プロフェッショナルな写真家が実際に使用しているカメラやレンズ、そのジャンルならではの装備などを紹介! |
その他にも、さまざまなコンテンツが満載
葉の先端の滴のみにピントが合っているのは、葉に沿うようにレンズを向けているからですね。また、滴の中の映り込みは、背景の明るい部分ではなく葉のグリーンなので、背景に溶け込んでいません。
フレーミングも葉の向いている方向ではなく、滴の落ちる下側にスペースを多く空けているので、大きな葉のボケに負けることなく滴が目に飛び込んできます。何もかも完璧で素晴らしい作品です!
並木隆