- 講師:並木隆(写真家)
- 第1回〈月1回・全3回更新〉
クローズアップ用のアクセサリー実験
クローズアップレンズにはどのくらいクローズアップする
パワーがあるのか、その実力を試してみましょう。さあ、実験開始!
「クローズアップレンズ」というのは、「クローズアップ撮影用の虫眼鏡」だと思ってください。装着前よりも被写体に近づいてピントを合わせられるようになります。
フィルターと同じ要領で「ねじ切り」にくるくるはめ込んでレンズ前面に装着します。簡単でしょう?
カメラ「EOS 80D」にレンズは「EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM」。
そのレンズ先端に装着したフィルターのようなアクセサリーが「クローズアップレンズ」です。
今回、撮影に使用した標準ズームレンズのEF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STMは、キットレンズとはいえ甘くみてはいけません。近づいてピントを合わせられる距離「最短撮影距離」が、わずか0.25m。標準ズームレンズとしてはかなり優秀な性能を備えています。
では、このEF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STMに「クローズアップレンズ」を装着すると、どれくらい大きく写せるようになるのか、実際に撮り比べてみました。
クローズアップの度合いがわかりやすいように、被写体は1cm程度の小さな花を選びました。さあ、見ていきましょう。
EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STMだけで撮影。望遠側・最短撮影距離でクローズアップできる限界が、このくらいです。もうちょっと大きく撮りたいですよね。
レンズに「クローズアップレンズ500D」を装着しました。グッと大きく写せるのが分かりますね。
レンズに「クローズアップレンズ250D」を装着しました。花びらの形、花心まで迫って撮れました。さらにもうひとまわり大きくフレーミングできます。
ここで紹介した「クローズアップレンズ250D」「クローズアップレンズ500D」ですが、250、500が示している数値は、被写体からレンズ前面までの距離(mm)を示しています。この距離のことを「ワーキングディスタンス」といいます。
レンズ先端からのワーキングディスタンスは、250Dが250mm、500Dおよび500が500mmです。つまり、数字の少ないクローズアップレンズ250Dのほうが、よりクローズアップして撮れるというわけです。
「ワーキングディスタンス」はクローズアップやマクロ撮影では重要なキーワードです。下の図で「最短撮影距離」といっしょに覚えてくださいね
レンズの先端から被写体までのおおまかな距離 (間隔)を「ワーキングディスタンス」と言います。仮に同じ大きさで写すことができるなら、近づかないと大きく撮れない広角レンズほどワーキングディスタンスが短くなり、逆に離れても大きく撮れる望遠レンズほどワーキングディスタンスが長くなります。
そのレンズでもっとも近づいてピント合わせができる距離のことを「最短撮影距離」と言います。カメラの撮像素子(センサー)がある面からピント面までの距離です。レンズによって最短撮影距離には違いがあります。なかなかピントが合わない場合、この「最短撮影距離」以上に被写体に近づいていないかどうか確認してみましょう。
「エクステンションチューブ」とは、カメラのボディとレンズの間に装着して、レンズの胴体を少しだけ長くするチューブ状のアクセサリーです。前に述べた「最短撮影距離」が短くなる分だけ、撮りたいものにもっと近づいて大きく写せるのです。
厚みの違う2種類がラインアップされていますが、厚みのあるほうがピントを合わせる距離が縮まります。また、エクステンションチューブを2つ重ねて、よりクローズアップをねらうことも可能ですよ。
カメラEOS 80DとレンズEF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STMの間にはさんでいる
チューブ状のアクセサリーが、「エクステンションチューブ」です。
EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STMに、エクステンションチューブを組み合わせると、どれくらいクローズアップができるのか、実際に撮り比べてみましょう。
EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STMだけで撮影。先ほどと同じ画像です。エクステンションチューブを使うと、どれくらいクローズアップできるでしょうか。
カメラとレンズの間に「エクステンションチューブEF12Ⅱ」を装着しました。かなり大きく撮ることができますね。背景のボケもイイ感じ。
「エクステンションチューブEF25Ⅱ」を装着しました。標準ズームレンズにアクセサリーを加えるだけで、ここまでクローズアップできるのです。なかなか楽しいでしょう?
クローズアップレンズやエクステンションチューブの効果はいかがでしたか?
お手持ちのレンズでもクローズアップ撮影できることが、実験によって明らかになりましたね。
カメラバッグに入れておけば、とっさのときの花撮影などに役立ちますよ。
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