愛知県生まれ。医療ソーシャルワーカーとして精神障害者のケースワークに従事。その後、自然写真家として独立。身近な自然から風景・オーロラと幅広いジャンルを手がけ、繊細で力強い独創的な作風を特徴とする。オーロラと風景を組み合わせた一連の作品は海外からも高く評価され、カメラ誌・アウトドア誌・カレンダーなど多くの媒体に作品を発表している。
日本写真家協会・日本自然科学写真協会 各会員
それでは、今回選んだ応募作品を見ていきましょう!
※作品をクリックすると講評を閲覧できます。
応募作品はいずれもバリエーションに富み、冬景色の美しさや面白さ、被写体の豊かさを改めて感じさせてくれました。今回は純粋な風景だけでなくスナップ的な要素を含んだ作品も幅広く選びました。この原稿を書き上げるタイミングにも続々と応募が集まってきています。次回のセレクションが楽しみです。ふるってご応募ください。
EOS 6D・EF24-70mm F4L IS USM・F18・1/4秒・+2/3補正・ISO100・WBオート
EOS Kiss X7i・EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM・F13・1/30秒・ISO400・WBオート
紅葉と雪の風景は、なかなかねらうことのできないシーンです。この作品も紅葉撮影に出かけて遭遇したのではないでしょうか。白い世界に色が残る絶妙のタイミングです。大きな牡丹雪は、あっという間に雪が紅葉を隠します。残された落ち葉の色とモミジの赤が印象的です。この色添えは効果的なのですが、色の濃さには注意が必要です。とくに赤は目立ちすぎる傾向があるので全体に色の濃さを控えめにすることで、雪の印象がより効果的になったでしょう。
田中達也
EOS-1Ds Mark III・EF24-70mm F2.8L USM・F18・1/800秒・-1補正・ISO400
ゲレンデでソリ遊びする親子。「ワァー」「キャーッ」といった笑い声が聞こえてきそうな微笑ましい作品です。何ともスケールのある滑り台といった印象を持ちました。一見スナップ的なようですが、画面右の木立の存在や丘としての捉え方など、風景としての構図もしっかりしています。雪煙がスピード感を演出しているので、もう少し近づいたタイミングで撮れたら、さらにインパクトが増したでしょう。
田中達也
EOS 40D・EF24-105mm F4L IS USM・F4・1/6秒・-1/3補正・ISO1600・WBマニュアル
雪を抱く山から雲越しに昇った月がぼんやりと見えています。ブルートーンが凛とした空気感を漂わせています。この組み合わせは、撮影の時間帯とポジション選びがポイントです。月が白く飛ばずに前景が写る、薄暮薄明の限られた時間帯の見極めがカギです。簡単なようで、意外に難しい風景です。少々残念なのは月の位置です。撮影ポジションを右に移動して雪山との距離を詰めたほうがよかったです。
田中達也
IXI DIGITAL 25 IS・F8・1/1500・ISO200
雪原に残された足跡をメインに、遠くの木立を望んでいます。よく見れば木立周辺は人の足跡だらけで、この場所が人気の撮影地ということがうかがえます。緩いカーブを描く足跡を上手く構図にレイアウトしています。できれば画面上部左の煩雑な足跡を目立たせない工夫があれば、さらに良かったと思います。通常、風景撮影では動物の足跡をねらうことが多いのですが、人の足跡となるとスナップ的な要素が強くなります。
田中達也
EOS 7D・EF24-105mm F4L IS USM・F8・1/200・+1補正・ISO4000・WBオート
茅葺きと雪の組み合わせは、日本の原風景を彷彿とさせる風物詩的な被写体で人気のある対象です。降る雪がフィルターとなり、柔らかな描写を演出しています。この作品は茅葺きの三角形を画面いっぱいに捉えた構図で安定感がありインパクトもあります。しかし、背景をひとまわり広めの構図にすることで、風景としての趣が強くなります。空間に余裕が生まれ、この地の雰囲気が一段と伝わると思います。
田中達也
EOS 70D・F3.5・1秒・ISO500・WBオート
降る雪にストロボを当て、背景の建物や木々をのぞかせた、とてもメルヘンチックな作品です。降雪の条件もよかったのでしょう、大中小の丸ボケが均一に画面に映り込んでいます。ストロボ光だけでなく近くの街灯からオレンジ光の色添えも加わったことが効果的で、近景の木立の存在がよりイメージを高めています。大荒れの翌朝に出会った光景とのことですが、とてもラッキーなチャンスでした。
田中達也
降りしきる雪を止めて、幻想的に撮る! おすすめのストロボは?
EOS 5D・EF17-40mm F4L USM・F4・1/320秒・+2/3補正・WBオート
雪原から顔を出した枝先に、スポットライトが当たり影を伸ばしています。露出選びの難しいシーンですが、ハイライトを重視した露出設定が最適でした。これによって背景が暗く落ち、被写体をより印象的に見せています。無駄のない構図でシャープに仕上げられた作品からは、作者の腕の確かさが見てとれます。この様子を肉眼で眺めても、これほどコントラストの高い印象感は得られません。写真だからできる表現です。
田中達也
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冷え込んだ渓谷の夜明けに靄が立ち込める様子を捉えた美しい作品です。寒い朝のはずですが、滝が淡いブルーに再現されていることから、爽やかなイメージも感じます。引き気味の構図がうまく光と影の広がりが美しい情景を演出しています。ところどころに残る雪の存在と靄の奥に忍ぶ2本の滝が、どこかもの寂しさの漂う冬の情景を伝えています。
田中達也