夢幻花火

花火写真の世界 & 実践的「撮り方テクニック」大公開!「夢幻花火」

撮影テクニック編

写真家 工藤智道(EOS学園講師)

工藤 智道

1969年、横浜生まれ。日本写真芸術専門学校卒。卒業後、風景写真家の竹内敏信氏に師事。
4年間のアシスタントを経て独立。日本の自然風景、都市風景を撮り、夜景や花火の撮影もこなす。写真専門誌で撮影、執筆も数多くパソコン誌、デジタルカメラ専門誌でも活躍。日本写真家協会会員。

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How to shoot?

Ⅰ.花火撮影の機材・設定

全国各地で行われる花火大会。大迫力できれいに撮りたいですよね。でも、「思うように撮れなかった」という経験をお持ちの方も多いはず。今回は、花火撮影の「フォトテク」を紹介しましょう。

point1

花火大会の下調べと撮影機材・道具の準備

花火大会には多くの見物客が訪れます。日没後は身動きがとれないほど混雑する場合も。ベストポジションから撮影するためにも、早い時間から会場入りし、撮影可能なエリアに場所を確保して、機材をセットしましょう。次のような機材があると便利ですよ。

撮影機材
  • ① カメラボディ
  • ② レンズ(標準ズームレンズ、望遠ズームレンズ)
  • ③ 三脚(がっちりと安定感があるものをチョイス)
  • ④ リモートスイッチ(バルブ撮影の必需品)
  • ⑤ ペンライト(必ず持参しましょう)
  • ⑥ うちわ(花火撮影のマストアイテムです!)
  • ⑦ 敷物(明るい色のレジャーシートがおすすめ)
  • ⑧ 飲み物(夏場は水分補給をお忘れなく)
花火撮影のマストアイテム「黒いうちわ」を作ろう!

花火撮影でもっとも重要なアイテムが「うちわ」です。忘れずに用意しましょう。うちわに黒い紙を両面テープで貼り付けると簡単に作ることができます。うちわの使い方は、このページの「Ⅱ.花火の撮り方テクニック(point1)」をチェック!

黒いうちわ
point2

カメラ設定は事前にチェック!

基本のカメラ設定は、次の5つです。B:長時間露光(バルブ)モードでレリーズシャッターを使い、約10秒~数十秒の露光を行います。

  • 〈モードダイヤル〉はB:長時間露光(バルブ)モード
  • 〈絞り〉はF11~F22(絞りで写真の明るさを調整)
  • 〈ISO感度〉は低感度のISO100
  • 〈ホワイトバランス〉はオートホワイトバランス(AWB)
  • 〈ピクチャースタイル〉は「スタンダード」もしくは「風景」
モードダイヤル「 B(バルブ)」

モードダイヤルは「 B(バルブ)」に合わせます。バルブとは、シャッターボタンやリモートスイッチを押している間 はシャッターが開きっぱなしになる機能です。長時間の露光が必要なとき設定します。

モードダイヤル「M(マニュアル露出)」

モードダイヤル に「B」がない機種では、「M(マニュアル露出)」に設定し、メインダイヤル をシャッター速度が遅くなる方向に回していくと「buLb(バルブ)」と表示 されます。

point3

ピント合わせは「MF」「置きピン」 が基本!

カメラに三脚を固定して長時間露光を行う花火撮影には、リモートスイッチ(レリーズ)は必需品です。リモートスイッチは、風景・夜景撮影、マクロ撮影などにも利用できるので、ぜひ持っていたいアイテムです。

リモートスイッチ RS-80N3。新リモコンソケット対応のコード長80cmのリモートスイッチです。価格などの詳細はこちらをチェック!

リモートスイッチ(レリーズ)RS-80N3

花火のピント合わせは、AF(オートフォーカス)で行います。一度上がった花火に対してピントを合わせます。花火撮影では、長時間露光で何発もの花火を重ねて撮ります。露光中に誤ってAFが作動し、ピント位置が動くのは避けたいところ。最初に合わせたピント位置が変わらないようにするには、レンズのフォーカスモードスイッチを「MF」に切り替えます。いわゆる「置きピン」で撮ります。

フォーカスモードスイッチをMFに切り替え
応用テクニック 「ピント位置をずらさないカスタマイズ設定」

シャッターボタンやリモートスイッチを半押ししても、一度合わせたピントが動かないようにするには、ピント合わせをEOSの任意のボタン(「AF-ON」ボタンなど)で行うように操作ボタンをカスタマイズします。シャッターボタンやリモートスイッチではAFが作動しなくなるので、快適な撮影ができます。

操作ボタンをカスタマイズするには?(操作ボタンに別の機能を割り当てる方法)(EOS 7D Mark IIの場合)
How to shoot?

Ⅱ.花火の撮り方テクニック

point1

うちわを使ってタイミングよく撮ろう

花火は不規則に打ち上がるため、露光するタイミングが難しい被写体です。このため、決まったシャッター速度ではタイミングよく撮影できません。そこで活躍するのが「黒いうちわ」です。手順は次のとおりです。

うちわをかざす うちわをはずす(露光する)

うちわをかざす うちわをはずす(露光する)

 B(バルブ)でシャッターを開ける前にレンズの前にうちわをかざし、シャッターを開けます。
 花火が打ち上がり、開く直前でうちわをレンズの前からはずし、花火が開ききるまで露光します。

① ② の動作を繰り返し、いくつかの花火を写し込んだらうちわをかざすか、シャッターを閉じます。
慣れるとタイミングよく撮影できるようになりますよ。

▼ クリックすると「うちわ」の使い方がアニメで見られます

「うちわの使い方」アニメーション
point2

撮影ポジションは「風上」が鉄則

撮影する場所は、花火が見える場所であればどこでもいいように思えますが、ひとつだけ注意すべきことがあります。花火は打ち上がると煙が出るため、場所や風向きによっては、花火が煙で見えなくなってしまうのです。できるだけ風上側に撮影場所を確保しましょう。

NG カット煙が風に乗って手前側に流れてくると、せっかくの花火が煙幕の向こうに隠れてしまう

point2 花火写真 NG

OK カットクリアに晴れた夜空に花火が映える。風上なら花火が煙で隠れることがない

point2 花火写真 OK
point3

夜空に花火を重ねて描くように撮ろう

花火の写真は、1コマにいくつかの花火を重ねて写すと、美しい作品に仕上がります。ただし、あまり欲張りすぎて花火が重なりすぎてしまうと、その部分が露出オーバーで真っ白になってしまいます。花火の開く場所をよく観察し、バランスよく配置する意識で撮影しましょう。

NG カット同じ位置に花火を重ねすぎて写したために、露出オーバーとなってしまった

point3 花火写真 NG

OK カット画面の中で花火をバランスよく配置することに成功

point3 花火写真 OK

基本テクニックやポイントを覚えたら、花火大会に出かけて、単打ち花火、スターマイン、ナイアガラなど、さまざまな花火の撮影にチャレンジしてみましょう。最初は難しいかもしれませんが、コツをつかむほど面白くなっていくのは、風景写真の撮影と同じです。腕を磨いて、すてきな作品を目指してくださいね。

※混雑する花火会場では撮影マナーを守って撮影しましょう。また、足元が暗い場所での撮影では、安全には十分に留意しましょう。

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