天体写真家・中西昭雄が選んだ「みんなの星空写真」

 
写真家・中西昭雄先生

中西 昭雄

1964年、東京都生まれ。小学生時代から星に興味を持つ。大学時代にコマーシャルフォトグラファーのアシスタントを勤め、10年間の一般企業勤務を経て天体写真家として独立。天文写真家のみならず微弱光撮影装置のエンジニアとしても活躍中。キヤノンのホームページのコンテンツ「中西昭雄の星空撮影講座」のほか、「デジタルカメラ星景写真撮影術」(アストロアーツ)、「夏の星空案内(よむプラネタリウム)」(共著、アリス館)など著書多数。

中西昭雄の星空撮影講座

それでは、今回選んだ応募作品を見ていきましょう!

  • さいおとさん「函館の空にピンクムーン」
  • hideさん「月齢11.3」
  • 星鳥さん「M45 すばる」
  • 風雅さん「浮かび上がる要塞」
  • STORCHさん「「こうのとり」ロケット発射を屋久島から観る」
  • SuperTigerさん「大正池に浮かぶ月」
  • とし70さん「春の立山にかかる天の川」
  • kotetsuzさん「間もなく夜明」

※作品をクリックすると講評を閲覧できます。

夜景と満月との「競演」が美しい作品!

さいおとさん「函館の空にピンクムーン」

さいおとさん「函館の空にピンクムーン」

EOS 5D Mark III・EF24-70mm F4L IS USM・F4・0.3秒・ISO100

「ピンクムーン」とは4月の満月のことです。満月は日没とともに東の空から昇ってきますので、徐々に暗くなる薄暮の空や、輝きを増す夜景といっしょに撮影しやすいのが大きな特徴です。この作品は夜景が主体になってはいますが、空が暗くなりきる前の、よいタイミングで夜景と満月を捉えています。次回はぜひ、月が主体となる作品をねらってみてください。

中西昭雄

このページのトップへ

月の撮影は時間帯と月齢がポイント!「星空写真の撮り方入門」(第1回)

基本を押さえストレートに撮影された月です

hideさん「月齢11.3」

hideさん「月齢11.3」

EOS Kiss X2・1/250秒・ISO400

1回目で入選されたotocha2さんの月と同じように、基本どおりにストレートに捉えた月です。天体望遠鏡にカメラを接続して撮影されているようですが、高い拡大率になると追尾も必要ですし、わずかなピンボケやブレも気になるものです。天気も味方につけねばならず、簡単に撮れそうですが、案外と技術が必要です。この調子で月齢を一巡してみてください。

中西昭雄

このページのトップへ

全月齢の写真を完全制覇してみよう!「星空写真の撮り方入門」(第1回)

明るい星団「すばる」の星雲部分まで写っています

星鳥さん「M45 すばる」

星鳥さん「M45 すばる」

-

おうし座の中にあるプレアデス星団は、和名では「すばる」としてあまりにも有名で、「M45」というメシエカタログ番号が付いています。すばるは肉眼でも6~7個の星が集まっている様子を容易に見ることができ、双眼鏡を使えばとても美しい眺めです。赤道儀を用いて長秒時撮影すると青い星雲まで写ります。良好な追尾により、星がしっかり点像に写っています。

中西昭雄

このページのトップへ

露出中にスマホを使って建築物をライティング

風雅さん「浮かび上がる要塞」

風雅さん「浮かび上がる要塞」

EOS 6D・EF15mm F2.8 フィッシュアイ・F2.8・30秒・ISO3200

ペルセウス座流星群の極大夜の撮影だそうです。流星は写っていませんが、天の川が見事に写っており、撮影場所の夜空が暗く良好な条件であることが感じられます。この作品は建築物に照明を当てたことにより、黒くつぶれずに済んでいますが、星空写真で地上の景色に照明を当てることは賛否が分かれるところかもしれません。もし周辺に撮影している方がいたら、照明してもいいか了解を得るようにしたいですね。

中西昭雄

このページのトップへ

ロケットの打ち上げシーンを星空とともに!

STORCHさん「『こうのとり』ロケット発射を屋久島から観る」

STORCHさん「『こうのとり』ロケット発射を屋久島から観る」

EOS 60D・30秒・ISO1600

ロケットの打ち上げシーンの撮影はなかなか難しく、そもそも予定どおりに打ち上がることが少ないものです。ましてや夜間の打ち上げで、晴れて星空も一緒に写せるチャンスはとても少ないでしょう。
この作品は、1枚の露光は30秒ですが、121枚を比較明合成して仕上げています。写っているカップルはたまたまいたそうですが、よいアクセントになっています。

中西昭雄

このページのトップへ

「比較明合成」とは?「星空写真の撮り方入門」(第3回)

湖面に映った山と月を捉えた発想がいいですね!

SuperTigerさん「大正池に浮かぶ月」

SuperTigerさん「大正池に浮かぶ月」

EOS-1D X・EF24-105mm F4L IS USM・F4・1/50秒・ISO160

最初にこの作品を見たとき、なぜひっくり返っているのだろうと思ったのですが、湖面に映った風景だったのです。確かによく見てみると月が微妙に歪んでいるのがわかります。星空写真というよりも、風景写真の一種かもしれませんが、着眼点のよさと、わずかに歪んだ月や焼岳の独特の描写を買いました。星空写真では、なかなかこうした発想はないため、またユニークな作品を期待しています。

中西昭雄

このページのトップへ

立山と天の川。星空写真の王道と言える作品

とし70さん「春の立山にかかる天の川」

とし70さん「春の立山にかかる天の川」

EOS 6D・EF16-35mm F2.8L II USM・F3.2・15秒・ISO6400

天の川をモチーフにした作品は数多く寄せられましたが、立山をシルエットに、天の川がすっきりと写った、まさに星空写真の王道と言える作品です。天の川は夏の星座である「いて座」付近がもっとも濃くて見応えがあるのですが、夏場は大気の透明度が悪い日が多く、春の夜明け前のほうがクリアに見えやすいでしょう。

中西昭雄

このページのトップへ

星を静止させて撮るテクニックはこちら!「星空写真の撮り方入門」(第2回)

夜明けの風景に金星や水星が写っています

kotetsuzさん「間もなく夜明」

kotetsuzさん「間もなく夜明」

EOS 6D・EF50mm F1.8 II・F1.8・1/30秒・ISO1600

朝焼けの空、湖畔の白鳥。何気ない夜明けのシーンに見えますが、月齢27.8の細い月と「明けの明星」の金星、そして太陽系惑星の中でもっとも内側の軌道を回っている水星も写っています。水星はなかなか見るチャンスがないのですが、見事に捉えています。少し残念なのは街明かりや金星にハロ(ぼーっとしたにじみ)が取り巻いていることです。絞りを1段絞りこんでみるとよいでしょう。

中西昭雄

このページのトップへ

この記事は気に入りましたか?

ありがとうございました。

「星空写真」の撮り方入門はこちら

写真家の先生に撮り方を習ってみませんか?

EOS学園

初めてEOSを購入した初心者の方から、さらにレベルアップを目指している方まで、写真を学びたい多くの方々にご満足いただける写真教室です。丁寧でわかりやすい講義と、実践的で楽しい撮影実習の両面から写真の上達を目指します。

講座の詳細・お申し込みはこちら

キヤノン発行の写真誌を購読しよう!

キヤノンフォトサークル会報誌

キヤノンが発行する写真誌 (右写真)を毎月お届けする「キヤノンフォトサークル」。カメラや写真の知識・テクニックを学べる記事、著名写真家の作品、新製品やキャンペーン情報などを掲載。カメラやレンズのモニター貸し出しや、鉄道を撮りたい仲間がリアルに集って撮影を楽しみ学べる「部活」などのイベントも充実!カメラ修理時の割引もございます。

詳しくはこちら

その他にも、さまざまなコンテンツが満載

CANON iMAGE GATEWAY ホーム画面へ