空はあこがれ!「ヒコーキ写真の世界」

空はあこがれ!「ヒコーキ写真の世界」

  • 講師:チャーリィ古庄(航空写真家・EOS学園講師)
  • 第3回〈月1回・全3回更新〉

応用テクニック講座

ヒコーキは「迫力構図」で魅せよう!

ヒコーキ写真の楽しみは、目の前で見ている飛行機の迫力を写真によって伝えることです。ここからは基本構図の応用として、飛行機の迫力を表現する「迫力構図」のノウハウをお伝えしていきましょう。

迫力構図1「アップ」で飛行機の迫力を表現する

迫力を出すときは、自分が表現したい部分にグッと寄って撮りましょう。離陸や着陸などで機体を大胆に切り取る構図は、真正面や真後ろからではなく、斜め前や斜め後ろからねらいます。角度をつけることで、飛行機の存在感が出せるからです。
エンジンや車輪、翼が中途半端なところで画面から出てしまわないように構図を整えましょう。

ボーイング747-8翼端のアップをとらえた迫力構図1

MAP

撮影データ:EOS-1D X・EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM(焦点距離:350mm)・1/1000・F8・ISO200・WBオート

ボーイング747-8の特徴である少し後ろに退いた翼端の形を強調するために、アップで切りとりました。
アングルを下げるとフェンスが入るため、やや上げて背景の山の上まで入るように構成しました。

迫力構図2「主翼とエンジン」が迫力構図のポイント

「迫力構図」は、ただ機体に寄ればいいわけではありません。飛行機には主翼とエンジンという2つの重要アイテムがあります。中途半端に寄りで撮ると、不自然にエンジンや翼が切れてしまい落ち着きのない絵になってしまいます。主翼とエンジンを意識しながら構図をつくれば「迫力構図」となります。

機体の主翼とエンジンをとらえた迫力構図2

MAP

撮影データ:EOS 7D Mark II・EF600mm F4L IS II USM(焦点距離:960mm ※フルサイズ換算)
・1/1600・F8・-0.3補正・WBオート

動きが速いのでEOS 7D Mark IIの場合、AFモードは〈AIサーボAF〉、ドライブモードは
〈高速連続撮影〉に設定しましょう。あとは飛行機が迫ってきてアップになるまで待ちます。
アップで寄るときは、エンジンや主翼の先端など、ポイントになるパーツが
中途半端なところで切れないように注意しましょう。

《 構図のポイント 》

迫力構図撮影のポイント1
機体にアップで迫りながらポイントとなるパーツをとらえた迫力構図

MAP

撮影データ:EOS 7D・EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM(焦点距離540mm ※フルサイズ換算)・WBオート

スペイン、パルマ・デ・マジョルカ空港。ボーイング787型機の特徴である翼端とギザギザの
エンジン後部の両方を出したいと考え、エンジンの排気も入れて動きを出してみました。
機体にアップで迫りながらも、主翼の先端、エンジン、タイヤといった
ポイントとなるパーツは、きっちりとフレームに収めています。

《 構図のポイント 》

迫力構図撮影のポイント2

迫力構図3接近ショットは「ロー&ハイアングル」で迫力アップ

航空ショーや機体工場見学などでは、機体の近くで撮影できるチャンスがあります。広角レンズでワイドに迫ると、機体の大きさが表現できます。飛行中の飛行機はめったにハイアングルからは撮れませんし、ローアングルからあおるようにねらえば機体のスケール感を表現できます
ハイ&ローアングルの撮影には、EOS 80Dなどに搭載されている「バリアングルモニター」が重宝します。ファインダーをのぞくことなく大胆な迫力構図がねらえます。

《 ハイアングル 》

格納庫に入る最新鋭機エアバスA350をハイアングルで撮影

写真は格納庫に入る最新鋭機エアバスA350です。機体と同じ高さから撮影しました。

《 ミドルアングル 》

格納庫に入る最新鋭機エアバスA350をミドルアングルで撮影

地上に立った状態で撮影しました。素直な描写の写真になります。迫力ではいまひとつかもしれません。

《 ローアングル 》

格納庫に入る最新鋭機エアバスA350をローアングルで撮影

カメラを地面すれすれまで下げて撮影。飛行機の大きさや迫力が出ました。屋外での撮影であれば、
きれいな空が背景に入って、ヒコーキ写真らしい仕上がりになります。

※バスで飛行機に向かう際には、飛行機の近くで撮影するチャンスがありますが、安全を確かめ飛行機の周囲を不必要に歩いたりしないこと。
手短に撮影するように心がけましょう。

ヒコーキ写真の世界が広がる! 魅惑の「空港ターミナル」

さまざまな国籍の人々が行きかう空港のターミナルビル。そこはモダンなデザインのインテリアや、大空港なら趣向を凝らしたエンターテインメント施設などもあります。絵になる空港の建物にカメラを向けてみるのも面白いでしょう。

※空港施設内で許可なく三脚を立てるのは原則的にNGです。利用者などの通行の妨げになるような行為は慎みましょう。あくまで趣味の撮影のスタンスを崩さず、マナーを守って撮影しましょう。

夜の羽田空港国際線ターミナル

MAP

撮影データ:EOS 7D Mark II・EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM
(焦点距離:16mm ※フルサイズ換算)・1/30・F7.1・ISO1600・WBオート

羽田空港国際線ターミナル。夜の空港ターミナル内では美しいシーンと出会えます。
このカットは縦位置でムーディなライトと空間の高さを表現。
画面の端に旅行者が少しだけ入ったところでシャッターを切りました。

世界最大のエアバスA380とゲートスタッフの対比を撮影

MAP

撮影データ:EOS 5D Mark II・EF70-200mm F2.8L IS II USM(焦点距離200mm)・1/10・F4.5・WBオート

成田空港第1ターミナルより、これから搭乗する世界最大のエアバスA380(シンガポール航空ロサンゼルス行き)を圧縮効果でねらい、その巨体とゲートスタッフの対比を表現してみました。

ルフトハンザ航空のボーイング747-8を眺める人と、朝日を入れて撮影

MAP

撮影データ:EOS 5D Mark III・EF11-24mmF4L IS USM(焦点距離:12mm)・1/60・F10・+1補正・
ISO200・WBオート

フランクフルト空港でインドから到着したルフトハンザ航空の
ボーイング747-8を眺める人と、朝日を入れてスナップ写真風に仕上げました。

航空写真家・EOS学園講師 チャーリィ古庄先生

ここがポイント!

  1. 1. 飛行機の「進行方向」を意識して撮ろう
  2. 2. 「三分割構図」「三角構図」で安定感を出そう
  3. 3. 「迫力構図」はアップでねらいたい
  4. 4. アングルを変えて飛行機に迫ろう

『ヒコーキ写真は、基本構図と迫力構図で撮るべし!』

3回にわたってお届けした「ヒコーキ写真の世界」、いかがでしたか? 「空っていいね、空港っていいね、飛行機ってワクワクするね!」と思ってもらえれば光栄です。
旅のついでに、気軽にヒコーキ写真にトライしてみてください。とくに風景に飛行機を入れるカットはタイミングが勝負。ドキドキ感がとても楽しいですよ。
どこかの空港で私を見かけたら、どうぞ気軽に話しかけてください。それではHave a nice Flight!

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ありがとうございました。

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