基本テクニック講座
飛行機の動きは速いので、じっくり「構図」を練っている余裕はないと思うかもしれません。でも、ヒコーキ写真も「写真」である以上は、構図がとても大切です。まずは基本の構図4パターンを覚えましょう。
ヒコーキ写真で大切なのは「安定感」です。まずは画面を傾けない(カメラの水平を保つ)こと。進行方向にスペースを空けると、これから飛んでいく進行方向に余裕が生まれ、さらに安定した構図になります。「前空け・後ろ詰め」と覚えましょう。鉄道写真の場合は「進行方向の前を詰める」が基本なので、それとは正反対ですね。
撮影データ:EOS-1D X・EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM (焦点距離180mm)・1/1000・F8・ISO 200・WBオート
ギリシャ、ケルキラ島のコルフ国際空港そばの高台から、背景に丘や建物を入れて
着陸する機体をねらい、異国の雰囲気を出してみました。
こちらはNGカット。飛行機の進行方向側が詰まりすぎて安定感がありません。
機体をどこに置くかによって、写真の印象が変わります。
「二分割構図」とは一般には、画面の上下(もしくは左右)を均等に分割する画面構成の方法です。風景写真などでは、画面の真ん中のラインに水平線や地平線を配置して撮影することで、安定感のある写真にすることができます。
ヒコーキ写真では、二分割構図の考え方をチューニングして、分割した画面の上側に空を、下側に飛行機を配置するのが基本です。手前にフェンスや地面を入れるより、ヒコーキ写真はなるべく「空」を多く入れるのがベターです。気持ちのいい空を積極的に取り込みましょう。
光線状態が良い朝の伊丹空港展望デッキから、離陸するボーイング777型機を撮影。
ここは晴れた日なら背景に六甲方面の山が見えるため、山の稜線を入れて画面を1/2に分割。
機体は下半分に抑え、伊丹らしさを出してみました。
ロサンゼルス空港上空より、離陸機をねらいました。二分割した画面の上半分は海を基本に、
下半分は機体と陸地を入れて、画面にメリハリをつけてみました。
夕焼け空と地面の色の対比が面白いと感じました。
そこで画面を二分割にして、メインは機体、アクセントに富士山を入れてフレーミングしてみました。
地上の景色と飛行機をからめる場合、画面を縦と横それぞれ3つに分けるラインを引き分割する「三分割構図」を意識して構図を作ると、安定した構図になります。
作例では、縦横いずれかのライン上にメインの被写体である飛行機が位置していることを確認してください。
撮影データ:EOS 7D Mark II・EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM(焦点距離:281mm ※フルサイズ換算)
・1/1600・F10・ISO400・WBオート
離陸するシンガポール航空機。機体、滑走路、海との境をちょうど1/3に配して撮影しました。
背景が単調なので、芝生の緑と海の青、そしてまさに上昇しようとするB777型機の姿を伝えたかった一枚です。
背景に特徴あるホテルの建物が写るラスベガス。
機体がどの位置で離陸するかにもよりますが、飛行機が飛んでいく方向を空けて、
建物も機体もちょうど画面の1/3のあたりになるようにフレーミングしました。
〈構図の基本1〉では、「進行方向にスペースを空ける」ことが基本と言いましたが、状況に応じて例外もあります。写真は離陸する飛行機と鯉のぼりをからめようと意図した作品です。空間を生かすために、あえて機体を左側に寄せた構図で撮影しました。ただし飛行機が画面ギリギリでは息苦しい感じになるので、1/3のラインにかかるように配置して、進行方向にやや余裕を持たせました。鯉のぼりと共に気持ちよく飛翔するイメージになりました。
カメラを向ける被写体に大きな三角形を意識して撮るのが「三角構図」です。飛行機の高さと奥行きの表現に使いやすく、安定感がありながらも画面に動感を与えることができます。機体を中央付近に置けば、背景や手前の風景次第で、空間的な広がりを感じさせる写真になります。
ボストン空港(正式にはジェネラル・エドワード・ローレンス・ローガン国際空港)から眺める
ダウンタウン。その街並みを背景に離陸する飛行機をねらいました。画面の中に大きな
三角形を意識して、街並みと飛行機が重ならないタイミングで撮影しました。
陽も暮れたボストン空港。背景の街並みと飛行機が重ならないように、対岸の住宅地から撮影
しました。三角形の中に飛行機を入れることにより構図が安定しました。さらに、
背景と機体の対比により遠近感と高度感を出してみました。
手前には花、空には飛行機を入れて撮る場合、三角構図はおすすめの構図です。
菜の花がきれい見える光の当たり方を探りながら、機体が通る位置を予測して撮りました。
三角形の底辺にある菜の花の広がりも出ました。
飛行機の写真は、表情豊かな雲がアクセントになります。季節感が表現できる入道雲やうろこ雲、そして彩雲や雲の中を飛行機が通り抜けるドラマチックなシーン、雲の切れ間から光が差すシーンなどもねらえます。場合によっては雲が主役で、飛行機は脇役でもよいのです。
彩雲の中を離陸した飛行機が旋回していきました。彩雲の位置を飛行機が来る前に把握して、
露出は白トビを抑え彩雲をしっかり出すためマイナスに設定しました。
低い雲が離陸上昇コースに流れてきました。その中を突っ切る飛行機のエンジンから出た気流により、大きな渦が生まれた瞬間です。空を眺めているとこんなシーンにも出会えます。
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