応用テクニック講座
撮影時間帯を夜間にする、飛行機と自然現象が織りなす奇跡的なタイミングでシャッターを切るなど、そのときでなければ撮れない飛行機の姿を見つけて撮れば、あなただけの作品ができあがるはずです。飛行機をいいタイミングで撮るための応用テクニックを紹介していきましょう。
撮影データ:EOS 5D Mark II・EF600mm F4L IS II USM・EXTENDER EF1.4×III(焦点距離:840mm)・1/8000・F8・
ISO200・WB オート
夕暮れの太陽に飛行機の機影が飛び込んできた瞬間です。
雲が出ていましたが、かえってドラマチックな風景になりました。
太陽や月の真ん中に機影が飛び込んでくる瞬間を捉えた写真。「こんな写真を撮ってみたい!」とあこがれている方も多いでしょう。
満月と機影が重なるチャンスをねらうのは、至難の業。それこそタイミングが命です。満月になるのは1カ月に1~2日。
しかも、満月の日に、雲が月にかからない条件が必須です。でも、太陽と機影が重なるタイミングは、晴れれば毎日期待できますよ。薄曇りのコンディションであれば機体がシルエットになりやす
いです。
詳しい「月+機影」「太陽+機影」の撮り方は、「写真の撮り方アーカイブ」でご紹介しています。ぜひチェックしてみてくださいね。
※ファインダーで直接太陽を見るのは危険です。眼を痛めないように注意しましょう。ライブビューを活用するなどの方法をおすすめします。
撮影データ:EOS 7D Mark II・EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM(焦点距離:272mm ※フルサイズ換算)・1/40・F5・
ISO8000・WB オート
着陸機の胴体に映った滑走路の照明灯。一瞬のタイミングでシャッターを切りました。
手ブレ、被写体ブレに注意しながら流し撮りすれば、こんな写真が撮れるかもしれません。
夜景と飛行機をからめた撮影も楽しいですよ。高ISO感度撮影の性能が高いカメラや、明るいレンズがあると自由に撮れるので、夜景にはまると高価な機材がほしくなってしまいます(笑)。
駐機中の機体を撮る、日没後のブルーモーメントの時間帯をねらう、流し撮りで光跡を表現する、赤い衝突防止灯を写し止めるなど、ヒコーキ写真における夜景撮影には、さまざまなバリエーションがあります。
撮影データ:EOS 7D Mark II・EF400mm F2.8L IS II USM(焦点距離:640mm ※フルサイズ換算)・1/100・F3.2・
ISO6400・WB 太陽光
夜景を撮るなら日没直後の薄暮の時間がベスト。その色調から「ブルーモーメント」とも呼ばれる時間帯です。刻々と暗くなっていくため露出合わせは難しくなりますが、ブレないようにしっかりとカメラを構え、「数打てば当たる」をモットーに連続撮影しましょう。
撮影データ:EOS 7D Mark II・EF24-105mm F4L IS USM(焦点距離:64mm ※フルサイズ換算)・1/10・F4.5・ISO4000
・WB オート
空港の展望デッキから駐機場所を手持ちでねらってみました。止まっている飛行機なら撮り直しもききます。まずは駐機場の機体をねらってみてもよいでしょう。
撮影データ:EOS 7D Mark II・EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM(焦点距離:272mm ※フルサイズ換算)・1/40・F5・
ISO8000・WB オート
滑走路に入っていく飛行機を撮りました。滑走路には赤や緑、オレンジ色などの光が灯り、
まるでライブのステージを見ているようです。
飛行機をステージに立つスターに見立てて撮るのも楽しいですよ。
撮影データ:EOS 7D Mark II・EF70-200mm F2.8L IS II USM(焦点距離:320mm ※フルサイズ換算)・1/8・F5.6・ISO500・WB4000K
夕刻に到着したトルコ航空のA330型機を流し撮りしました。肉眼ではかなり暗い状態でしたが、
1/8 秒のスローシャッターにしながら背景にターミナルを入れて、空港らしさを出してみました。
夕方や夜、動いている飛行機をねらうには「流し撮り」がおすすめです。飛行機の動きに合わせてタイミングよくカメラを左右に振ります。飛行機はカメラの動きにシンクロしてピタッと止まり、背景はびゅんとスピード感が出るように流れているのが理想。
流し撮りの決め手はシャッター速度です。最初は1/60から始めて、慣れてきたら1/30、1/15 と徐々にシャッター速度を下げていくといいでしょう。シャッター速度が遅くなる分、背景が大きく流れて写ります。でも、飛行機はぶれやすくなるので注意しましょう。
上の作品と同じ場所から、シャッター速度1/5 秒で手持ち撮影しましたが、ご覧のとおりブレてしまいました。
もちろん1/5 秒でもうまく撮れていることもありますが、スローシャッターの場合は、一脚にカメラを動かしやすいビデオ用雲台を組み合わせて流し撮りすることもあります。
撮影データ:EOS-1D X・EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM(焦点距離:255mm)・1/1000・F8・ISO200・WB オート
ベーパーとは、飛行機の翼付近で発生する気流により急激な減圧が起き、
空気中の水蒸気が一瞬で凝結して雲状になる現象のことです。
飛行機が雲のそばを通るときはベーパー発生のタイミング。逆光でねらうと、虹色に輝くことも。
撮影データ:EOS 7D Mark II・EF600mm F4L IS II USM(焦点距離:840mm ※フルサイズ換算)・1/2000・F8・ISO400・WB オート
夏の朝、着陸のため旋回していくところを超望遠レンズで撮影。
一瞬ドパッと翼の上にベーパーが出たタイミングで連写してみたうちの一枚です。
撮影データ:EOS-1D X・EF100-400mm F4.5-5.6L IS USM(焦点距離:275mm)・1/160・F11・−1/3補正・ISO100・WBオート
シャッター速度1/160 秒でプロペラ機をねらってみましたが、
いい感じでプロペラが回転して動感が表現できました。
第1回目で飛行機の撮影の基本はシャッター速度1/1000と説明しましたが、プロペラ機を高速シャ
ッターで撮ると、プロペラがぴたりと止まってしまい、「飛んでいる雰囲気」が出ません。やはりプロペラ機はプロペラが高速回転しているイメージで撮りたいですね。プロペラがぐるっと1回転するシャッター速度で撮るのがポイント。
プロペラの回転数にもよりますが、1/250秒以下、ベストは1/125秒ぐらいです。
こうするとプロペラ機らしい姿で撮ることができますよ。
「ヒコーキ写真の世界」第2回は、ここまでです。次回は、さらに一歩踏み込んで、ヒコーキ写真の「構図」について学んでいきましょう。
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