空はあこがれ!「ヒコーキ写真の世界」

空はあこがれ!「ヒコーキ写真の世界」

  • 第2回〈月1回・全3回更新〉
  • 講師:チャーリィ古庄(航空写真家・EOS学園講師)

基本テクニック講座

ヒコーキ写真のベスト・タイミング(基本編)

タイミングよくヒコーキ写真を撮るには、飛行機の動きを知ることが重要です(第1回でもお話ししましたね)。飛行機は風が吹いてくる方向に向かって離着陸します。北よりの風なら北向きに、南よりの風なら南向きに離着陸します。離着陸の方向を把握して、ベストなタイミングをねらえば、イメージどおりに撮ることができますよ。

基本 1「着陸機」と風景をタイミングよくからめる!

紫陽花の上を飛んでいく着陸機

MAP

撮影データ:EOS-1D X・EF24-105mm F4L IS USM(焦点距離:24mm)・1/800・F9・ISO1000・WB オート

紫陽花の上を飛んでいく着陸機。着陸する飛行機は、だいたい同じ位置を通過するので、
大空港なら1 機通り過ぎるのを見てフレーミングを考えることができます。

風景と飛行機をからめて撮るなら、まずは着陸する飛行機をねらってみましょう。
着陸する飛行機は、滑走路に向かっておよそ3 度の降下角度で進入してきます。そのため滑走路端にいれば、だいたいどの機体も同じ位置を通過します。タイミングをとりやすいので、地上にある花や風景とからめた撮影ができます。難易度は★です。
逆に、離陸する飛行機は、同じ型の飛行機であっても、搭載燃料や重量の違いで離陸する位置が異なります。滑走路を飛び立ったあと、重ければ低い位置から徐々に上昇していきますが、軽ければすぐに高度を上げて飛んでいってしまいます。フレーミングを決めて飛行機が来るのを待っていても、期待したとおりの位置に飛行機が来てくれないことがあります。難易度は★★★です。
風景と飛行機をからめて撮るなら、着陸機をねらう。これが基本なのです。

《 飛行機の機体サイズや重量によって、離陸時の高度が違う!? 》

  • 小さな軽い機体の離陸時高度

    離陸する飛行機を同じ場所で撮影してみました。こちらは台湾行きの小さな軽い機体で、すぐに高く上がってしまいました。

  • 貨物を満載したボーイング747ジャンボ機の離陸時高度

    貨物を満載したボーイング747 ジャンボ機。機体サイズも大きく高度が上がるのに時間がかかるため、ちょうどいい場所に来てくれました。

基本 2ヒコーキ写真に適した「時間帯」と「光線」とは?

飛行機と人物ポートレートには、共通したポイントがある──というと、驚くでしょうか。
逆光の飛行機は「顔」に影ができるため美しくありません。また、強い日射しが真上から浴びせられる、いわゆるトップライトの時間帯は、機体下部に強い影が出て、少々残念な写真になってしまいます。人物の写真も同じですよね。ヒコーキ写真にこだわる人は、機体を美しく撮りたいので、影が出ないタイミングや状況で撮りたいと思うものなのです。
撮影に適しているのは、基本的には朝夕など斜光が差す時間帯です。光がきれいに機体を回るので美しい写真を撮ることができます。

  • 顔と機体の下半分に影のできた飛行機

    機体の後ろから光が当たっているため、飛行機の顔と機体の下半分に影ができて、いまいちきれいな姿になりません。

  • きれいに機体に光が回った飛行機

    同じ場所から撮影しました。太陽が移動して機体に光が当たる時間になったため、影が消えてきれいに機体に光が回っています。

基本 3ボディが「キラリ」と輝くタイミングをねらう

ボーイング747型機2階席 のライン

MAP

撮影データ:EOS 7D Mark II・EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM(焦点距離:342mm ※フルサイズ換算)
・1/500・F14・-1 補正・ISO200・WB オート

夕刻、機体がキレイに輝く瞬間をねらって−1補正で撮影。
ボーイング747 型機特有の2 階席のラインが美しく浮かび上がりました。

太陽光でボディがキラリと輝く瞬間をタイミングよく露出アンダーでねらえば、格好良い「キラリ感」が表現できます。
露出はだいたい−1~3補正に。曇りの日に、機体にだけ光が差し込む瞬間がベストタイミングです。でも、そんなチャンスはめったに訪れません。そこでねらいたいのは、朝夕の斜光時です。ボディの上部や翼、雨上がりなら路面が輝くので、さらにステキなシーンになるはずです。

キラリと残照が当たるボディ

MAP

撮影データ:EOS-1D X・EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM(焦点距離:214mm)・1/250・F5・ISO5000・WB 太陽光

日没後、ボディにキラリと残照が当たるタイミングでシャッターを切りました。
写真よりも肉眼では暗く見えていましたが、露出をマニュアルにして表現しました。

露出補正の法則は「晴れ順光:マイナス」「曇り:プラス」

よく晴れた日に順光で飛行機を撮る場合、露出補正は-1/3を目安に調整します。青空のブルーがきれいに出やすく、機体も白飛びしづらいです。朝夕の光が弱い状態なら、露出補正はしないか、場合によってはプラス補正がよいでしょう。
曇天の場合は、機体のアップに専念するなどして、どんよりとした空は入れないようにします。光の量やコンディションにもよりますが、露出補正は+1/3~1程度が望ましいでしょう。
また晴れの日はボディの白トビが気になることもありますので、その場合は、白トビしやすい被写体の撮影に効果を発揮するEOS の機能「高輝度側・階調優先」をONにしましょう。私は常時ONにしています。

※「高輝度側・階調優先」については、こちらのページ(「EOS 流 機能活用術」第5 回「白トビを抑えて撮りたいときは?」)で詳しく紹介しています。

曇り

有明海の堤防から佐賀空港を撮影。この日は残念ながら曇りでした。
そのため+2/3補正に設定し、管制塔をバックに離陸シーンを撮影しました。

曇りの佐賀空港 +2/3補正に設定

撮影データ:EOS-1D X・EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM(焦点距離:200mm)・1/640・F9・
ISO400・WB オート

晴れ

夏の宮崎空港。台風通過直後で遠くの山々までクリアに見えました。
日差しが強いので−1/3補正で撮影。機体の白トビもなくちょうど良い仕上がりに。

夏の宮崎空港 −1/3補正に設定

撮影データ:EOS 7D Mark II・EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM(焦点距離:244mm ※フルサイズ換算)・1/1000・F9・-1/3 補正・WB オート

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