基本テクニック講座
カメラの設定についてお話ししましょう。モードダイヤルはシャッター速度優先モード(Tvモード)に合わせて、シャッター速度を1/1000秒に設定しましょう。離着陸する飛行機は時速150~200kmもの速度が出ています。それを望遠レンズで撮るとなると手ブレ、被写体ブレの恐れがありますので、1/1000秒前後のシャッター速度がほしいのです。
旅客機は大きいものでは全長が70mほどあります。前から後ろまできっちりピントを合わせたいので、絞りはF8前後を基本にします。
航空写真では飛行機の離陸位置が毎回異なるため、三脚はほとんど使いません。ただ、夜景のスローシャッター撮影や超望遠レンズで撮る場合は三脚を使います。
撮影データ:EOS 7D Mark II・EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM(焦点距離:236mm ※フルサイズ換算)
・1/1000・F6.3・ISO640・WBオート(仙台空港)
地面にタイヤが接地して煙が出たタイミングでシャッターを切りました。シャッター速度1/1000秒で、「タッチダウン」の瞬間を写しとめることに成功しました。
基本的に飛行機は向かい風で離陸・着陸が行われます。これ重要! そのため風向きによって飛ぶ方向が変わるのです。空港に到着したら滑走路横にある吹き流しを見て風向きを確認します。風向きを見れば、どちらの滑走路から飛行機が離発着するのかわかります。
滑走路端にある吹き流しに注目。飛行機は基本的に「向かい風」を受けながら離発着します。風がないとき、ローカル空港ではパイロット判断で、どちらからも離着陸が可能です。航空写真を撮るなら、風と友達になりましょう!
飛行機の便名や位置がリアルタイムに分かるスマートフォンアプリがあります。その名は「Flightradar24」。無料で利用できます。国内線の半数以上の便が表示され、国際線なら8割以上の便を見ることが できます。これをインストールしておけば、スマホを見ながら到着便や降りてくる方向も分かります。 航空写真を撮るならぜひ使ってみましょう。
航空機撮影の鉄則は、水平を保つことです。離陸する飛行機はファインダーの斜め上に向かって上がっていくため、撮影に夢中になって飛行機ばかり見ていると、地平線や水平線が斜めになってしまいます。水平がとれていない写真は、とても不安定な印象です。
「ファインダー内水準器」を備えているカメラなら、ファインダー内か液晶モニターに表示して使用するのがおすすめです。
飛行機は基本的に左右に動くため、足は肩幅に開いて安定させ、腰から上を回して上半身ごとレンズを振るイメージでカメラを構えます。
撮影データ:EOS 7D Mark II・EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM(焦点距離:416mm ※フルサイズ換算)
・1/1000・F9・ISO1250・WBオート(羽田空港)
航空写真においても写真の水平は重要です。不用意に傾けないこと。水平が出ていればこのように安定した絵になります。
少々大げさな失敗例。離陸機に集中して追いかけたため、地面が斜めになり、 不安定な絵になってしまいました。
撮影データ:EOS 7D Mark II・EF70-200mm F2.8L IS II USM・1/800・F10・ISO200・WBオート(左)・WB太陽光(右)
晴れているときのホワイトバランス(WB)は「オート」がおすすめです。ホワイトバランスを「晴れ」にしてしまうと青みが強くなり、白い機体の色がやや青っぽくなったり、タマゴ色の機体が真っ白になったりしてしまいます。微妙な色表現を望むならオートがベスト。朝夕は色温度を変えたり、「曇り」にしたり自由に色表現を楽しんでみましょう。
「ヒコーキ写真の世界」第1回はいかがでしたか? 次回からはさらに実践的な内容を用意しています。ご期待ください。
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