DPPでカンタン写真編集《第10回》「特定色域調整パレット」で色別の調整を
GOTO AKI
EOS学園講師
GOTO AKIプロフィール
1972年、神奈川県生まれ。上智大学、東京綜合写真専門学校卒業。1993年、世界一周の旅へ。現在、日本の風景をモチーフに地球的な時間の流れをテーマとした作品に取り組んでいる。写真展に『terra』(キヤノンギャラリーS)ほか、写真集に『LAND ESCAPES』、『LAND ESCAPES-FACE-』、『terra』がある。2015年版キヤノンカレンダー写真作家。EOS学園東京校講師。
EOS学園 講師プロフィールへ2020年1月号より
DPPには、特定の色の範囲(色域)だけに限って、色の濃さや明るさを調整できる「特定色域調整パレット」が搭載されています。今回は青空や真っ赤な紅葉といった、特定の色域を調整して写真を仕上げる方法をご紹介します。
「特定色域調整パレット」の
使い方
「レッド」や「オレンジ」などの8つの色域から
特定の色を選んで調整します
1. 「特定色域調整ツールパレット」を使います
「特定色域調整パレット」の8つの色域から、調整したい色を選んで調整を行います。
2. H(色相)、S(彩度)、L(輝度)を
各色域で調整します
H:色相 =彩度や輝度を変えずに、色を変化させる機能。類似した色に変化します。
S:彩度 =色の鮮やかさを調整する機能。彩度が高いほど、鮮やかな色彩になります。
L:輝度 =人が感じる色の明るさを調整する機能。輝度を上げると、明るくなります。
「アクア」の色域を調整した例
「H:色相」
マイナスに動かすと緑に近い青色になり、プラスに動かすと紫に近い青色に変化しました。
「S:彩度」
マイナスに動かすと彩度が低く(色が薄く)なり、プラスに動かすと彩度が高く(色が濃く)なりました。
「L:輝度」
マイナスに動かすと暗くなり、プラスに動かすと明るくなりました。
「特定色域調整パレット」
調整のコツ
最後に「この色だけもう少し変えたい」ときに調整を行いましょう
調整前はかすんだ空にコントラストが低い描写だったので、実際に見た光と色になるように写真全体を調整。さらに、「アクア」で青空や湖の色を調整して透明感を再現しました。
1. 全体の調整を行います
「基本的な画像調整」から「明るさ」は+0.17で明るくし、「コントラスト」は+2.0、「色の濃さ」を+1.0に上げて、全体の色と調子を整えました。
2. 特定の色を調整して仕上げます
「特定色域調整パレット」から「アクア」を選択。Sを+5.0、Lを+6.0に調整して、明るさと色のバランスを整えて仕上げました。
「青空」など画面内で
キーになる色を
調整しましょう
S(彩度)とL(輝度)を
調整しH(色相)は控えめに
今月は「特定色域調整パレット」の使い方を紹介します。パレットには、各色別に「H・S・L」の調整スライダーがあります。
「Hは「色相」で、色味を隣の色域へと近づけることで色が変化します。しかし、自然風景の場合では、不自然な色へと「転ぶ」ことが多いので、注意してください。Sは「彩度」です。彩度を上げるほど色が鮮やかになり、下げると濁った色になります。Lは「輝度」で、色の明るさが変化します。
これまでは「明るさ」「コントラスト」「レベル補正」「ホワイトバランス」「ピクチャースタイル」の基本を学習してきましたが、これらの機能は、写真全体を変化させる調整でした。今回の「特定色域調整パレット」では、他の色に影響を与えずに、特定の色のみを調整することができます。一枚の写真の中に複数の色彩がとらえられているときに、特定の色を選んで調整することで、狙い通りの色に調整が可能です。
おすすめの手順は、「基本的な画像調整」で写真全体の調整を行ってから、「特定色域調整パレット」で気になる色を調整して仕上げます。全体の色とのバランスを確認しながら調整をしましょう。
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