レンズで拡がる表現の幅EOS学園講師が教える写真上達レッスン

平松佑介

平松佑介

EOS学園講師

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平松佑介プロフィール

1978年三重県出身。大阪芸術大学写真学科卒業。現在作家活動を行いながら各所で写真教育に従事。大阪芸術大学写真学科非常勤講師。神戸芸術工科大学映像表現学科非常勤講師。

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キヤノンフォトサークル2019年3月号より

EOS学園の講師を迎え、写真が上達するためのテクニックを解説する「写真上達レッスン」。最終回となる今回は、平松佑介先生に写真表現の幅を拡げるレンズについて教えていただきます。さまざまなレンズを使い分けることで、どのような表現が生まれるのでしょうか。



基本 レンズを変えてステップアップしよう

肉眼を超えるイメージを

一眼レフカメラやミラーレスカメラの大きなメリットの一つに、豊富な交換レンズによって肉眼を超えるイメージを作り出せることが挙げられます。その中でも被写体を大きくクローズアップして撮影できるマクロレンズや、極度に広範な世界を写せるフィッシュアイレンズは、標準ズームレンズとはまったく違ったイメージを作り出してくれます。今回は写真の世界を大きく拡げてくれるレンズの紹介と使い方のポイントを解説。今まで使ったことのないレンズでステップアップを目指しましょう。

【マクロレンズ】

マクロレンズ

マクロレンズでクローズアップすると、肉眼では気づかなかった被写体の魅力が見えてきます。また、浅い被写界深度で背景をシンプルに処理できるのも魅力の一つです。

EOS 5D Mark III・EF100mm F2.8L マクロ IS USM・F2.8・1/80秒・-1補正・ISO800

【フィッシュアイレンズ】

フィッシュアイレンズ

超広角レンズでもあるフィッシュアイレンズは遠近感が大きく強調され、画面の周辺ほどレンズの特性により丸く歪みが生じるので、被写体が大きくデフォルメされます。

EOS R・EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM・F11・1/125秒・ISO400

応用 マクロレンズの特徴は?

被写体の魅力をクローズアップ

マクロレンズは通常のレンズに比べて最短撮影距離が短く、花や昆虫など小さな被写体を大きく拡大して撮影することができます。また、近接撮影をするほど被写界深度が浅くなるため、大きなボケを生かした撮影が可能となり、背景をシンプルに処理するのに適しています。ただし、小さなブレやピンボケも同時に拡大されるため、三脚などでカメラをしっかり固定するか、手持ちの場合は感度を上げてブレを防ぐなど慎重な撮影が必要です。

【マクロレンズ】

マクロレンズ

広角マクロの特徴は背景が広く写り込むこと。ぼけた中にもわずかに背景の情報があることで、世界の奥行きが感じられる仕上がりとなりました。

EOS R・RF35mm F1.8 MACRO IS STMF1.8・1/4000秒・+1補正・ISO100

【マクロレンズ】

【マクロレンズ】

拡大率が大きくなるほどピント合わせがシビアになってきます。手持ち撮影を行う際はAFロックをしてから、カメラの位置を前後に動かし微調整するとピントの山を見つけやすくなります。

EOS 5D Mark III・EF100mm F2.8L マクロ IS USMF2.8・1/200秒・+1/3補正・ISO400

応用 フィッシュアイレンズの特徴は?

世界を一度に見渡せるレンズ

フィッシュアイレンズとは、その名の通り魚の目で覗いた世界のように、非常に広い範囲を一度に撮影できるレンズです。超広角レンズと違い画面の周辺ほど丸く歪んだ像を結ぶため、非常に特殊な画像を得ることができます。使いこなすコツは被写体に可能な限り接近すること。遠近感が極端に強調され被写体の形状がデフォルメされます。また、垂直水平が本来真っ直ぐな被写体を画面周辺に配置することでレンズの特色が際立つので、カメラアングルやポジションを工夫して、アイレベルとは違った視点で撮影することも大切です。

【全周魚眼】

全周魚眼

全周魚眼で撮影すると最も個性的なイメージを作り出すことができます。丸いイメージの中に広範な世界が一度に写り込むので、空を見上げれば360度の景色を一度に写すことができます。

EOS R・EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM・F4・30秒・ISO1600

【対角線魚眼】

対角線魚眼

対角線魚眼は、ファインダー内すべてにイメージを投影することができますが、超広角レンズと違い、画面周辺へ行くほど形状に歪みが生じます。そのため、水平線など本来真っ直ぐなラインが丸くデフォルメされて写ります。

EOS R・EF8-15mm F4L フィッシュアイ USM・F22・15秒・-1補正・ISO100

基本 RFレンズで拡がる表現の幅

EOS R システムで新しいイメージを!

新たに登場したRFレンズは、どれも魅力的な性能のレンズとなっています。RF28-70mm F2 L USMやRF50mm F1.2 L USMは大口径レンズで、シャープなピント位置から溶け込むような美しい背景のボケを作り出します。RF35mm F1.8 MACRO IS STMは準広角域のマクロレンズで、軽量小型のEOS Rに取り付けることで、スナップショットや旅行での一本に適したレンズといえるでしょう。どのレンズもEOS Rと組み合わさることで、今までに得られなかった新しいイメージを切り開いてくれます。

【RF24-105mm F4 L IS USM】

RF24-105mm F4 L IS USM

針状の小さな氷の結晶が湖面に美しい模様を描き出しています。標準ズームレンズのRF24-105mm F4 L IS USMをF8に絞り込んで撮影すると、微細なディテールを高い解像感で描写することができました。

EOS R・RF24-105mm F4 L IS USM・F8・1/160秒・+1補正・ISO100

【RF50mm F1.2 L USM】

RF50mm F1.2 L USM

F1.2の開放絞りを使うことで暗い室内でもぶれずに撮影でき、浅い被写界深度によって奥行きを出し、洋館の雰囲気を描写することができました。

EOS R・RF50mm F1.2 L USM・F1.2・1/800秒・+2/3補正・ISO400

【RF35mm F1.8 MACRO IS STM】

RF35mm F1.8 MACRO IS STM

小型軽量のRF35mm F1.8 MACRO IS STMは近接撮影だけではなく、スナップショットでも活躍してくれます。絞りを少し絞り込むと画面周辺まで歪みのない非常にシャープな画像が得られました。

EOS R・RF35mm F1.8 MACRO IS STM・F5.6・1/80秒・-1 1/3補正・ISO100

応用 フィルターを使いこなそう

表現を拡げる撮影オプション

フィルターはレンズ前面に取り付けてさまざまな撮影効果を得られるアクセサリーです。最も使用頻度が高いPLフィルターは、被写体の余分な光の反射を抑える効果があり、ガラスの反射を抑えたり、空の青さや、新緑や紅葉の色彩を鮮やかに描写したりすることが可能です。NDフィルターはレンズから入り込む光を減少させる効果があり、晴天時に大口径のレンズを開放絞りで利用する際や、明るい場所で長時間露光を行うことで幻想的なイメージを創り出すことができます。

【PLフィルター使用】

PLフィルター使用

PLフィルターで空気中の水蒸気の乱反射を取り除くことで、澄んだ青空と白い雲や白木の鳥居とのコントラストが強調され、清々しい仕上がりになりました。

EOS R・TS-E17mm F4LF8・1/60秒・-1 2/3補正・ISO100

【NDフィルター使用】

NDフィルター使用

超広角レンズのEF11-24mm F4L USMはレンズ前玉が大きく飛び出しているので、フィルターを使うことができません。ただし、ドロップイン可変式NDフィルター Aを使うことで日中にもかかわらず13秒の長時間露光が可能となりました。

EOS R・EF11-24mm F4L USMF22・13秒・-2/3補正・ISO100

【NDフィルター使用】

NDフィルター使用

ドロップイン可変式NDフィルター Aは、ND3~ND500相当までの濃度調整が可能です。15秒の露出時間で海面への太陽の反射と岩礁が幻想的な風景を作り出しました。

EOS R・EF70-300mm F4-5.6L IS USM・F22・15秒・ISO100




今月のおさらい

  • マクロレンズで被写体の魅力をクローズアップ
  • フィッシュアイレンズで独創的な世界を写す
  • RFレンズで新しい写真の世界を拡げる
  • PLフィルターでクリアな色彩を描写する
  • NDフィルターで幻想的な世界を作り出す

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