写真表現を楽しもうEOS学園講師が教える写真上達レッスン

平松佑介

平松佑介

EOS学園講師

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平松佑介プロフィール

1978年三重県出身。大阪芸術大学写真学科卒業。現在作家活動を行いながら各所で写真教育に従事。大阪芸術大学写真学科非常勤講師。神戸芸術工科大学映像表現学科非常勤講師。

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キヤノンフォトサークル2019年1月号より

EOS学園の講師を迎え、写真が上達するためのテクニックを解説する「写真上達レッスン」。今号から3回にわたり、EOS学園大阪校の平松佑介先生に「写真表現」について教えていただきます。まず今月は「モノクロ」や「クリエイティブフィルター」について学びましょう。



基本1 カラーとモノクロの違い

光を意識し、質感を描写する

普段カラーでの撮影に慣れていると、色彩の美しさに惹かれてシャッターを切ることが多いでしょうが、モノクロ写真では色彩を利用した表現はできません。色彩が利用できないモノクロ写真では、被写体の質感をいかに描写するかが鍵となり、基本的に光の明暗差(コントラスト)を意識した画作りを行う必要があります。現実世界をモノクロに置き換えることは難しい作業ですが、撮影を行う際には「今日はモノクロで撮る」といった心構えを行うことで、徐々にモノクロにふさわしい被写体と光の状況が目に入ってくるようになるはずです。

【カラー】

カラー

黄色い家の輪郭と降りしきる雪の対比を狙った一枚です。もしモノクロで撮影したとすると背景に黄色い家が紛れてしまい、締まりのない仕上がりになったでしょう。

EOS 5D Mark III EF70-300mm F4-5.6L IS USM F5.6・1/320秒・ISO100

【モノクロ】

モノクロ

古びたバスの質感とフォルムを、ガレージに差し込む斜光線を利用し立体的に描写しました。ガラスの映り込みにハイライトが入り、全体のイメージを引き締めてくれました。

EOS R・RF24-105mm F4 L IS USM F11・1/60秒・-1補正・ISO400

【モノクロ】

モノクロ

ガラスに映る街路の様子がシンメトリーの虚像世界を生み出しました。日陰から狙ったこともあり、画面両側の木立と奥の世界とが強いコントラストを生み出しました。

EOS 5D Mark III・EF24-70mm F4L IS USM・F11・1/160秒・+1 1/3補正・ISO400

応用1 モノクロ写真を撮ってみよう

RAWデータを有効活用する

モノクロ写真を撮影するためにはいくつかの方法がありますが、ピクチャースタイルをモノクロに設定するのが最も簡単な方法です。撮影後のプレビューがモノクロで表示されますし、ミラーレスカメラやライブビュー撮影ならモノクロ画像を見ながら撮影することが可能です。また、モノクロ撮影を行う際にはRAWでも撮影しておきましょう。RAWデータはJPEG画像に比べて幅の広い濃度調整が可能になりますし、色情報を残して保存することができるので、カラー写真としての利用ができるほか、Digital Photo Professional (DPP)で色情報を利用した補正を行うことも可能となります。

RAW

静かな波打ち際での一枚。なめらかな水面と岩の質感を残しつつ、水面のハイライトが際立つように露出を決定しました。

EOS 5D Mark III・EF70-300mm F4-5.6L IS USM・F8・1/250秒・ISO400

RAW

DPPの詳細設定から「フィルター効果:赤」を利用することで、青空が暗く落ち込み、白い雲が際立った仕上がりになりました。

EOS R・RF24-105mm F4 L IS USM・F4・1/1600秒・ISO100

【モノクロ】

モノクロ
EOS Kiss M・EF-M32mm F1.4 STM F1.4・1/800秒・-1補正・ISO100

【ラフモノクロ】

ラフモノクロ

EOS Kiss M・EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM F8・1/1600秒・ISO400


特定のEOSシリーズで利用できるクリエイティブフィルターに「ラフモノクロ」モードがあります。これは銀塩写真の荒れた粒状感をシミュレートした、ハイコントラストで、ざらつきのあるモノクロモードとなっており、質感を美しく描写するには適していませんが、ストリートスナップや心象表現などに効果的です。上の2つの写真のように、被写体の質感を描写したい場合は迷わず通常のモノクロモードを利用しますが、ラフモノクロには作者の心象を反映させるような独特の魅力がありますので、状況によって使い分けましょう。




基本2 クリエイティブフィルターとは?

カメラを絵筆のように使ってみよう

クリエイティブフィルターとは特定のEOSシリーズで利用できる画像エフェクト機能で、撮影時に設定するか、撮影後のJPEG画像に対して効果を与えることが可能です。クリエイティブフィルターによるエフェクトは、ピクチャースタイルのように色調やシャープネスを変更するだけにとどまらず、画像の一部分にボケを与えたり、劇的な色調の変化が現れたりします。この機能を使ったことがない方もいらっしゃるかもしれませんが、上手く撮影シーンや被写体に合わせた利用ができると、ユニークな表現を行うことが可能です。一般的な写真の概念にとらわれず、カメラを使って絵を描くような気持ちで利用してみましょう。

【ジオラマ風】

ジオラマ風

高い位置から撮影することでジオラマ風の効果が強調されます。ピントを合わせる位置にポイントとなる被写体を配置すると効果的です。

EOS Kiss M・EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM F6.3・1/100秒・+2/3補正・ISO400

【トイカメラ風】

トイカメラ風

小さな子どもが遠くを眺めているシーンです。トイカメラ風で撮影することで、遠い記憶がよみがえるような郷愁感のある仕上がりとなりました。

EOS Kiss M・EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM・F8・1/320秒・+1補正・ISO800

【油彩風】

油彩風

俯瞰位置からの撮影とボケを大きく使った画作り、さらに油絵風の鮮やかな色彩によって画面全体に散らばった花が、リズム感のよい構成となりました。

EOS Kiss M・EF-M32mm F1.4 STM・F2・1/1250秒・ISO100




応用2 クリエイティブフィルターを使いこなそう!

組み合わせで自分だけの特殊効果を!

クリエイティブフィルターは絞りやシャッター速度などの撮影効果を強調する場合にも有効ですし、撮影後のJPEG画像に適用することができますので、フィルター効果を重ねがけすることも可能です。また、フィルターの名称から想像されるオーソドックスな被写体以外に利用することで、思いがけない効果が得られることもあります。ただし、特殊表現は効果の面白さが先行してしまいがちですので、撮影内容とうまく噛み合った利用をすることが大切です。

【ジオラマ風のスナップショット】

ジオラマ風のスナップショット

ジオラマ風フィルターを縦方向に利用し、画面左端にピントが合うようにしました。通常であればボケることのない左右方向のボケが、二人の影に強く視線を集中させる効果を生みました。

EOS Kiss M・EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM・F11・1/4000秒・-1 2/3補正・ISO400

【水彩風+ラフモノクロ】

水彩風+ラフモノクロ

水彩風を利用すると被写体の色の濃い部分が淡い色調に変化します。そこでさらにラフモノクロを重ねがけすることで、銀塩時代のソラリゼーションのような効果を得ることが可能です。

EOS Kiss M・EF-M32mm F1.4 STM・F11・1/160秒・-1/3補正・ISO400

【マクロレンズでソフトフォーカス】

マクロレンズでソフトフォーカス

マクロレンズの大きなボケを利用したタンポポの綿毛です。さらにソフトフォーカスフィルターを使うことで柔らかな印象をより強調しました。

EOS Kiss M・EF100mm F2.8L マクロ IS USM F2.8・1/320秒・ISO100




今月のおさらい

  • モノクロ写真は撮影時の心構えが大切
  • 光を意識した撮影を
  • 自由な発想でカメラの機能を使いこなす
  • 効果を組み合わせて自分だけの表現を
  • 特殊表現は目的を明確に

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