狙いを伝える構図を考えようEOS学園講師が教える写真上達レッスン

椎﨑義之

椎﨑義之

EOS学園講師

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椎﨑義之プロフィール

1971年、和歌山県生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業後、同大学写真学科研究室を経てフリーランスとして活動。現在は作品制作を続けながら各種写真教室でアマチュア指導など幅広く活躍中。EOS学園大阪校講師。

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キヤノンフォトサークル2018年12月号より

EOS学園の講師を迎え、写真が上達するためのテクニックを解説する「写真上達レッスン」。前回に引き続き、今号も椎﨑義之先生に教えていただきます。今月は作者の狙いを伝えるために大きな役割を果たす構図の作り方について学びましょう。



基本1 主役を明確にしよう

何を伝えたいかを考えて画面構成を決める

写真を撮るときに大切なのは、作者の意図を伝えること。その1つの方法として主役を明確にすることが挙げられます。漠然と撮るだけでは主役がはっきりせず、画面を整理する必要があります。例えば、全体の様子を見せるのか、より強調するために部分的に切り撮るのかなど、何を見せたいのかを考えながら画面構成をしましょう。無駄な部分を省くことを心がけ、場合によっては開放F値の明るいレンズを使用して周辺や背景などをぼかして主役を浮かび上がらせることも有効です。

【ボケを効果的に使う】

ボケを効果的に使う

はっきりしている部分とぼけている部分をしっかり分離させると主役をより強く見せられます。葉の形や並びが浮き上がり、背景のボケが光を演出して主役を引き立てています。

EOS 5D Mark IV EF70-200mm F2.8L IS II USM F2.8・1/45秒 +1 1/2補正・ISO400

【余分なものを省く】

余分なものを省く

周りの風景を入れないことで、建物の屋根の形や釣り灯籠のラインを強調することができました。また、余分な色を省いたため、背景の紅葉がより鮮やかに感じられます。

EOS 5D Mark IV・EF70-200mm F2.8L IS II USMF2.8・1/3000秒・-1補正・ISO400




基本2 主役の配置を考える

安定感のある「日の丸構図」と万能の「三分割構図」

カメラにAF機能が付いたばかりのころは測距点が中央の1点しかなく、何も考えずにシャッターを切ると被写体が真ん中の日の丸構図になりがちでした。そのためか、日の丸構図にならないようにと言われることもあります。ただ、主役を真ん中に置くことで安定感が増すなど、状況によっては効果的なケースもあります。また、画面を縦横に三分割してその線上や交点に被写体を配置する三分割構図は、万能の構図と言えます。三分割構図を意識することでバランスのとれた仕上がりになるので、構図に迷ったときに試してみるとよいでしょう。

【日の丸構図】

日の丸構図

一輪の蕾の形を表現するため、より強調できる日の丸構図を選択しました。それだけだと平凡になるので、背景の丸いボケと重ねて、より中央に視線が行くようにしています。

EOS 5D Mark IV EF100mm F2.8L マクロ IS USM F4・1/90秒・-1補正・ISO100

【三分割構図】

三分割構図

連なる鳥居が印象的な場所でした。三分割構図にすることで右側が多くなり、鳥居の連なりが長く感じられます。ピントの合っている奥に目が向かうように手前を大きくぼかしています。

EOS 5D Mark IV・EF50mm F1.2L USM F1.2・1/320秒・-1/3補正・ISO800




基本3 アスペクト比を変えてみよう

アスペクト比を変えることで写真のイメージが変わる

画面の縦横比のことをアスペクト比と呼び、EOSでは通常3:2です。ただ、カメラ側の設定で変えられる場合もあり、イメージに合わせて変更するのもよいでしょう。例えば、1:1は安定感が増し、16:9は横の広がりや縦の高さなど長辺側を強調できます。いつもと違うアスペクト比で作品を撮るのも面白いでしょう。

アスペクト比

16:9の比率にすることで雲海の広がりや山並みの連なりが強調されました。目の前の風景がより臨場感を増し、あたかもそこに立っているように感じられます。

EOS 5D Mark IV・EF70-200mm F4L IS USM F27・1.5秒・ISO100



応用1 構図パターンを組み合わせよう

被写体の形によって構図パターンを使い分ける

構図を決めるとき、僕は基本的に主役・脇役の配置やバランスを考えます。被写体にはいろいろな形がありますが、多くは直線と曲線の組み合わせなので、よく使われる構図パターンが存在します。左右対称にすると形が印象的になり、S字やC字は流れをイメージさせ、同時に奥行きを感じさせます。トンネル構図は見せたい被写体に視線を誘導し、放射構図は中央に配置すると広がりが生まれ、吸い込まれるような流れも表現できます。これらの構図パターンを組み合わせ、狙いが伝わりやすい作品を撮りましょう。

【日の丸構図+トンネル構図】

日の丸構図+トンネル構図

周辺には何もなく、間延びするので隠す意味を含めてトンネル構図にしました。日の丸構図で安定感も増し、同時に広がりも表現できました。主役に目を向けさせる構図にもなっています。

EOS 5D Mark IV・EF70-200mm F4L IS USM・F4・1/1000秒・+1補正・ISO125

【三分割構図+水平構図】

三分割構図+水平構図

淡い色の移り変わりが目を引く光景です。三分割構図にすると同時に水平に保つことでバランスのとれた安定した仕上がりになりました。それぞれの色が三層になり印象も強くなります。

EOS 80D・EF70-200mm F4L IS USM・F11・1/30秒・+1/3補正・ISO400

【シンメトリー構図+放射構図】

シンメトリー構図+放射構図

横断歩道の形を舞台に見立て、シンメトリーを意識して放射状に配置しました。遠近感が生まれて演者の陣形とシンクロすることで、全体の形が演者の動きともに印象に残ります。

EOS 5D Mark IV・EF16-35mm F4L IS USM・F14・1/250秒・-1 1/3補正・ISO320

【対角線構図+パターン構図】

対角線構図+パターン構図

サボテンの面白い形を強調するためにクローズアップで撮影しました。葉やトゲが並ぶ様子を対角線を意識して配置し、整然と繰り返されるパターンが印象的な作品になりました。

EOS R・EF100mm F2.8L マクロ IS USM F2.8・1/640秒・ISO100




応用3 レンズ効果を生かした構図

レンズ効果と構図の相性を考える

写真を撮るとき、広く写したいか、被写体を大きく撮りたいかといったことでレンズを選択するケースが多いですが、構図を考えて選択することも大切です。広角レンズは遠近感が強調でき、広がりを表現することに向いていますが、この特徴を放射構図と併用すると感覚以上の広がりを表現できます。望遠レンズの圧縮効果は、S字構図の緩やかなカーブを引き寄せ、より印象深い作品になります。レンズそれぞれの特徴を把握して、いろいろな構図との相性を考えながら活用するとスキルアップに繋がるでしょう。

【望遠レンズ+S字構図】

望遠レンズ+S字構図

花の隙間が気になったので望遠レンズの圧縮効果を使い、より密集した印象に仕上げました。また、圧縮効果で緩やかだったカーブも締まったカーブに見せることができました。

EOS-1D X・EF70-200mm F2.8L IS II USM エクステンダーEF1.4×III・F4 1/320秒・+1 1/3補正・ISO100

【標準レンズ+額縁構図】

標準レンズ+額縁構図

室内の小窓とガラスへの映り込みを合わせて額縁構図を作り、絵画のような雰囲気を狙いました。標準レンズは肉眼に近い自然な画角なので、さまざまな構図と組み合せやすいレンズです。

EOS 5D Mark IV・EF24-105mm F4L IS II USM F5・1/200秒・ISO400

【広角レンズ+放射構図】

広角レンズ+放射構図

樹々を撮影するとき、広角レンズで見上げると高さが表現できますが、並びが重要になります。四方にバランスよく配置することで中心に向かう放射状になり、高さがより強調されます。

EOS 5D Mark IV・EF16-35mm F4L IS USM・F5・1/80秒・ISO400

今月のおさらい

  • 狙いを伝えるために主役を明確にする
  • 日の丸構図は安定感が生まれる
  • バランスがとりやすい三分割構図
  • イメージに合わせてアスペクト比を変える
  • さまざまな構図パターンの組み合わせを考える
  • 構図の特徴を生かすレンズを選ぶ

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