構図を考えて撮影しようEOS学園講師が教える写真上達レッスン

椎﨑義之

椎﨑義之

EOS学園講師

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椎﨑義之プロフィール

1971年、和歌山県生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業後、同大学写真学科研究室を経てフリーランスとして活動。現在は作品制作を続けながら各種写真教室でアマチュア指導など幅広く活躍中。EOS学園大阪校講師。

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キヤノンフォトサークル2018年11月号より

EOS学園の講師を迎え、写真が上達するためのテクニックを解説する「写真上達レッスン」。前回に引き続き、今号も椎﨑義之先生に教えていただきます。今月は写真を撮る上で大切な要素の一つである「構図」について学びましょう。



基本1 横位置と縦位置の違いは?

横は広がりを強調し縦は高さや奥行きを強調する

EOSで撮影する画像は基本的に長方形で3:2の比率になります。自然とカメラを構えると横位置の構図になりますが、被写体に応じて縦位置の構図も意識しましょう。直方体の箱を想像すると分かりやすく、横に置くと安定し、縦に置くと高さが出ます。構図も同じで、横は安定し、広がりが強調されます。縦は高さを強調し、奥行きも表現できます。大切なのは被写体を前にして、どのように表現するかを考えて縦横を決定すること。判断に迷う場合は両方撮影し、後で判断してもよいでしょう。

横位置

横位置にすることで手前の山が横いっぱいに広がっています。奥の山並みと映り込みで山を挟むことでより細長く感じられ、安定感が出てどっしりとした印象になりました。

EOS 5D Mark IV EF24-105mm F4L IS II USM F22・1/4秒・-1補正・ISO125

縦位置

月を上に配置して空の高さを表現しながら、水面の反射を多く写すことで奥行きを出しつつ、月明かりも強調できました。

EOS 5D Mark IV・EF24-105mm F4L IS II USMF8・0.3秒・-1補正・ISO3200




基本2 アングルを変えてみよう

強調したい狙いを定めてアングルを決める

アングルとはカメラの角度のことで、ハイアングル、アイレベル、ローアングルがあります。ハイアングルで広角レンズを使用すると奥行きを強調することができ、時に背景も整理できます。アイレベルは建物など被写体の形の歪みが少なく、自然な描写になります。ローアングルは高さや、人物なら手足の長さが強調され、小さな動物の目線を表現することもできます。アングルを変えるだけで印象が大きく変わるので、いろいろと試してみましょう。

【ハイアングル】

ハイアングル

多くの観光客にも動じない鹿の存在感が面白い場面でした。ハイアングルで人の顔が入らないように背景を整理したことで、地面にじっと座る様子がより鮮明になりました。

EOS 5D Mark IV・EF24-105mm F4L IS II USM F22・1/25秒・ISO400

【ローアングル】

ローアングル

スカイツリーは離れて全体を入れると意外に高さが出ないものです。すぐ下から広角レンズで見上げると遠近感が増し、高さがより強調されて迫力を出すことができました。

EOS M5・EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM F9・1/400秒・-1/3補正・ISO250

【アイレベル】

アイレベル

スッキリとした形が印象的な桜です。それを表現するために見上げるのではなく、離れたところから目線の高さで構えることで自然な佇まいを写し撮ることができました。

EOS 5D Mark IV EF70-200mm F2.8L IS II USM F5・1/50秒・-1/3補正・ISO250




基本3 水平垂直を意識しよう

水平を傾けることで動感が表現できる

風景や建築写真では基本的に水平垂直を意識して撮影しましょう。水平線などが傾くと不自然で安定感が損なわれます。機種によっては、水準器を表示させたり、ライブビューで方眼のグリッドを表示させたりして確認するとよいでしょう。ただ、動きのある被写体は、逆に傾けることで動感が表現できることもあります。被写体に応じて臨機応変に撮影しましょう。

水平線

風景写真で水平線や地平線が入る場合は水平を意識して撮影します。船も入っているため、より傾かないように注意しました。三脚を使うと水平が確認しやすくなります。

EOS 7D Mark II・EF70-200mm F4L IS USM・F11・1/320秒・-1/3補正・ISO125

スピード感

動きがある被写体の場合、あえて水平をとらないことで動感を表現することができます。流し撮りを併用することで、よりスピード感を強調することができました。

EOS-1D X・EF70-200mm F4L IS USM・F14・0.8秒・-1/3補正・ISO250




応用1 狙いを伝えるフレーミング

表現したいものに合わせてフレーミングを変える

フレーミングとは、画角の広狭を問わず、基本的には目に見えている範囲の一部を切り撮ること。目の前の光景の全体の雰囲気に惹かれたのか、あるいは一部分に惹かれているのかを考え、レンズを選択する必要があります。私は16mm~200mmをカバーするレンズを持つことが多く、それらを揃えることで切り撮りの自由度が増し、さまざまな狙い方を試すことが可能になります。被写体を広く眺める俯瞰的な目と部分的に切り撮る目の両方を持つようにしましょう。

全体

印象的な形をしていたため、全体を入れた構図で撮影。奥の山並みまで入れることで山里の雰囲気も表現し、この場のイメージが伝わる一枚になりました。

EOS 5D Mark IV・EF24-70mm F2.8L II USM・F16・1/60秒・ISO200

フレーミング

上と同じ場所ですが、少し視点を移せば、田んぼそれぞれの形が面白く感じました。緑と線だけでは物足りないので、赤い屋根をアクセントとして入れています。

EOS 5D Mark IV・EF70-200mm F4L IS USM・F16・1/125秒・ISO200




応用2 四隅をしっかり意識しよう

余分なものが入らないように気をつける

撮影から帰り、パソコンで画像を見ているとき、画面の隅に余分なものが写っていた。あるいは端の方に無駄な空間がある。そういった経験はないでしょうか。主題に集中しすぎて周りへの注意力が散漫になることがあります。ファインダーを覗いて撮影するとき、必ず四隅を確認しましょう。ファインダー視野率が100%に満たない機種の場合は、撮影後にモニターでも確認できます。

【NG】

NG

印象的な形をした建物を写した写真ですが、曇天のため全体がモノトーンに感じられます。その中で右下に木が入ってしまうと建物の黒と被ってしまいます。

EOS 5D Mark IV・EF24-105mm F4L IS II USM F13・1/320秒・-1/3補正・ISO100

【OK】

OK

しっかりと省くことで画面がすっきりし、主役を右にずらしたことで雲の隙間とのバランスもよくなりました。

EOS 5D Mark IV・EF24-105mm F4L IS II USM F13・1/320秒・-1/3補正・ISO100




応用3 背景で印象が変わる

周囲に気を配り、背景選びにこだわる

フレーミングを決める際に重要なのは、背景にこだわることです。背景が乱雑になっていると主題がはっきりせず、思いを伝えづらい写真になる場合もあります。そんなときはアングルを変えたり、横に移動したりすれば、背景をすっきりさせることができるでしょう。また、形ではなく、色や光が背景になることもあります。光の強弱、色の濃淡などで被写体が浮き上がったり、逆に埋没したりするので、よく観察して背景を決めましょう。撮影時は常に周囲に気を配る余裕を持つことが大切。それを心掛けることで、よりよい作品にステップアップするでしょう。

水族館

水族館で撮影した一枚です。鮮やかできれいな魚ですが、主役だけに頼るのではなく、背景の色や光にこだわったことで、より印象的な作品にすることができました。

EOS 5D Mark IV・EF24-105mm F4L IS II USM F4・1/90秒・+1補正・ISO2000

鹿

頭を付けて餌を食べる鹿たちの姿だけでも面白いのですが、背景に一頭だけ違う動きの鹿がいます。それを入れることで餌よりも気になるものは何かと想像する楽しさが生まれます。

EOS 5D Mark IV EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM F5.6・1/500秒 -1/3補正・ISO400

【明るい背景】

明るい背景

【暗い背景】

暗い背景

水面の反射を背景にした作品ですが、少し動くことで水面の色が黒から黄緑色に変わりました。黒い背景は手前の葉がくっきり写り、黄緑の場合は全体が明るく軽やかな印象になります。

上:EOS 5D Mark IV・EF70-200mm F4L IS USM・F5・1/80秒・+2/3補正・ISO320

下:EOS 5D Mark IV・EF70-200mm F4L IS USM・F5・1/80秒・-2/3補正・ISO320

今月のおさらい

  • 強調したいものに合わせて縦横を決める
  • アングルを変えることで印象が変わる
  • 基本は水平垂直で、動感を出す場合は傾ける
  • 狙いを絞ってフレーミングを決める
  • 四隅をしっかり確認し、背景にもこだわる

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