レンズの特徴を把握しようEOS学園講師が教える写真上達レッスン

椎﨑義之

椎﨑義之

EOS学園講師

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椎﨑義之プロフィール

1971年、和歌山県生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒業後、同大学写真学科研究室を経てフリーランスとして活動。現在は作品制作を続けながら各種写真教室でアマチュア指導など幅広く活躍中。EOS学園大阪校講師。

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キヤノンフォトサークル2018年10月号より

EOS学園の講師を迎え、写真が上達するためのテクニックを解説する「写真上達レッスン」。今号より3回にわたり、EOS学園大阪校講師の椎﨑義之先生に画面構成について教えていただきます。まず今月は画角の広さや被写体の大きさを決める「レンズ」について学びましょう。



基本1 レンズの種類とは?

レンズは焦点距離によって画角が決まる

レンズを選ぶ際、目安となるのがレンズの焦点距離です。そのmm数によって広角、標準、望遠と分類され、焦点距離の違いで写る範囲(画角)が変化します。 それぞれのレンズには特徴があり、広角は広がりのある風景が、望遠は離れている被写体を大きく写すことができます。また、24-105mmのように1本で焦点距離を変えられるものをズームレンズ、焦点距離が固定されたものを単焦点レンズと呼び、ズームレンズは移動せずに広さや被写体の大きさを変えることができ、単焦 点レンズは開放F値が明るいので暗い場所での撮影に適しています。

【16㎜】

16mm

EOS 5D Mark IV・EF16-35mm F4L IS USM・F10・1/500秒・ISO400

【50㎜】

50mm

EOS 5D Mark IV・EF24-105mm F4L IS II USM・F10・1/640秒・ISO400

【200㎜】

200mm

EOS 5D Mark IV・EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM F10・1/640秒・-2/3補正・ISO400

【400㎜】

400mm

EOS 5D Mark IV・EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM F10・1/1000秒・-1補正・ISO400


16mmは整然と並ぶスワンの背景に広い空が写り、50mmは部分的になりますが肉眼に近い印象です。200mmは背景が迫ることでシンプルになり、400mmはスワンが画面に収まりきらずに顔の凹凸まで見えます。また望遠になるほど背景がぼけてスワンが浮かび上がります。



基本2 焦点距離と画角の関係

焦点距離によって画角と遠近感が変わる

焦点距離はmmで表されますが、目で見るイメージに近い標準を基準に、短い焦点距離を広角、長い焦点距離を望遠と言います。画角とは写真に写る範囲のこと。画角は広角になるほど広くなり、望遠になるほど狭くなります。この二つの関係をよく知ることで表現の幅が広がります。一般的に広く撮るか、被写体を大きく撮るかで焦点距離を決めるイメージですが、同時に画角も変化するため、遠近感に違いが現れます。広角レンズは遠近感が強調され、望遠レンズは遠近感が弱くなります。

【広角】

広角

広角レンズは画角が広いため、背景も広く見えます。主役の像は実際よりも大きく感じられるため存在感が増し、どっしりした印象になります。
EOS 5D Mark IV・EF16-35mm F4L IS USM・F11・1/80秒・-1/3補正・ISO400

【標準】

標準

標準になると背景が近づくため鳥居が見えてきました。そのため建物の様子などの 全体が分かり、この場の雰囲気も感じやすくなっています。
EOS 5D Mark IV・EF24-105mm F4L IS II USM・F11・1/80秒・-1/3補正・ISO400

【望遠】

望遠

望遠では遠くのものが近くに見える圧縮効果が強くなり、鳥居が大きく写ります。 像と鳥居の組み合わせにより神社の印象が際立ちました。
EOS 5D Mark IV・EF24-105mm F4L IS II USM・F11・1/80秒・-1/3補正・ISO400

応用1 標準レンズの特徴とは?

見た目に近く、自然な遠近感で撮影できる

焦点距離が50mm前後のレンズを標準レンズと言い、その名の通り基準、目安となるレンズです。見た目に近い画角で自然な遠近感になるので、さまざまなシーンに対応できます。また、単焦点レンズの場合、開放F値が明るいためボケの強い描写も可能です。光の少ない暗い場所では、その分速いシャッター速度で撮影することもできます。

サルスベリ

天気に恵まれ、きれいに咲いたサルス ベリの花が青い空に映えていました。 広角だと空が多く入りますが上空に雲 はなく、望遠にすると花が大きくなりす ぎるため標準で撮影しました。
EOS 5D Mark IV EF24-105mm F4L IS II USM F13・1/80秒・-1/3補正・ISO400

鳥居

広角だと手前の灯篭の隙間が大きく なり、階段が長く感じるので違和感 のない自然な様子に仕上げました。 参拝客も多いので開放F1.2のレン ズを選択して遠景をぼかしています。
EOS 5D Mark IV EF50mm F1.2L USM F1.2・1/1250秒・-1 1/3補正・ISO400

応用2 広角レンズの特徴とは?

景色を広く撮り、遠近感を強調させる

広角レンズは目の前の景色を広く撮りたいときに有効です。遠近感を強調させ、手前の被写体は近く、遠くのものはより遠く感じさせることができます。手前の被写体に近づいたり、前後差のある被写体を選んだりすると、その効果がさらに強まります。また、被写界深度が深く、全体的にピントを合わせて撮ることも特異なレンズです。

ヒマワリ

ヒマワリの印象を強くするため、一つの花に近づいて撮影。花が大きくなってインパクトが出るとともに遠近感がより強調されています。
EOS 5D Mark IV・EF16-35mm F4L IS USM・F8・1/250秒・-1/3補正・ISO125

夜桜

川に向かって伸びる桜の枝を広角で狙い、枝の力強さを表現しています。絞りを絞り込むことで街灯の光もドラマチックに演出しています。
EOS 5D Mark IV・EF16-35mm F4L IS USM・F22・30秒・ISO400

応用3 望遠レンズの特徴とは?

圧縮効果やボケ効果も活用できる

望遠レンズは画角が狭く、遠くのものを大きく写すことができ、動物園など被写体に近づけない場面で活躍します。また、遠くの景色を近くに感じさせる圧縮効果もあり、広角レンズとは反対に被写界深度が浅いので背景をぼかしやすいことも特徴です。例えば、小さな花などで背景をぼかしたい場合は近づいて撮影することがポイント。ただし、ピントの合う範囲が狭いので、慎重にピントを合わせるようにしましょう。望遠レンズを使う上で最大の注意点はカメラブレです。シャッター速度が遅い場合はISO感度を上げるなど設定に気をつけるだけでなく、必要であれば三脚を使うようにしましょう。

競馬

望遠レンズで遠くを走る競走馬の姿を狙いました。競走馬が巻き上げる土で動感を強調させています。
EOS 80D・EF300mm F2.8L IS USMF2.8・1/5000秒・-1/3補正・ISO250

ヒガンバナ

あぜ道に咲いていたヒガンバナ。望遠レンズで背景の木漏れ日を丸ボケにして光の演出を加えました。
EOS 5D Mark IV・EF70-200mm F2.8L IS II USMF2.8・1/350秒・-1/2補正・ISO400

シルエット

手前に人のシルエットを入れ、少し荒れた海が背後に迫ってくるような迫力ある光景を狙いました。
EOS 5D Mark IV・EF70-200mm F4L IS USMF11・1/6000秒・-1補正・ISO250

今月のおさらい

  • 焦点距離によるレンズの違いを把握しよう
  • 焦点距離によって背景の写り方が変わる
  • 見た目に近い印象に仕上げられる標準レンズ
  • 遠近感を強調させたいときは広角レンズ
  • 望遠レンズには圧縮効果やボケ効果もある

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