THE・オーバーホール - キヤノン最高峰メンテナンスサービスの現場へ

THE・オーバーホール - キヤノン最高峰メンテナンスサービスの現場へ

キヤノンのカメラ点検サービス「あんしんメンテ」には、機材の状態に合わせて、「スタンダード」「プレミアム」「オーバーホール」の3コースが用意されています。

今回は、カメラやレンズを分解・清掃して、本来の精度と機能を回復するメニュー「オーバーホール」の作業現場を取材。そこで目撃したプロの技術者による匠のワザとは?

【カメラ編】
分解・清掃で機材を
リフレッシュ

STEP 1

分解前に外観や各種ボタンなどを
入念に確認

豊富な知識と経験を持った技術者による「オーバーホール」。キヤノン修理センターに到着したカメラは、まずは状態の診断から。シャッターや各種ボタンを一つ一つ操作して違和感の有無を確認し、特別な測定器も使って念入りにチェック。その上で、分解点検に進みます。

カメラ内部の磨耗や腐食などの異常は、分解しないと見つけられません。今は動いていても、いずれ動かなくなる恐れがあるパーツがあることも考えられます。つまり、故障を未然に防ぐためにも「オーバーホール」を受けるメリットは大きいのです。

分解前に外観や各種ボタンなどを入念に確認
分解前に外観や各種ボタンなどを入念に確認

STEP 2

カメラを分解、各パーツを
細かくチェック

技術者が鮮やかな手さばきで器具を操り、みるみるカメラを分解していきます。外観のカバーが外され、カメラ内部の精密機器も次々と取り外されていきます。スピーディーに分解を進めながらも、各パーツを細かくチェックします。

分解によって異常が見つかりやすいのが、ミラーボックスユニットやシャッターユニット。シャッターを切るたびに駆動するため磨耗しやすい部分です。カメラ内部にたまったホコリもきれいに取り除きます。

カメラを分解、各パーツを細かくチェック
カメラを分解、各パーツを細かくチェック

STEP 3

専用測定器で各種精度を確認して
フィニッシュ

分解を終え、交換が必要な部品を見極めると、次は組み立て工程へ。一つ一つのパーツを清掃しながら、カメラを元の形に組み上げます。清掃作業は、ブロアーやブラシ、ピンセットに巻きつけたシルボン紙を使い分け、手際よく確実に行っていきます。特にセンサー部を清掃する繊細な力加減は、熟練の技術者ならでは!

組み立て後は、調整・検査の工程へ。フランジバック(レンズマウント部からセンサーの撮像面までの距離)の調整、AFの精度やホワイトバランスの検査など、それぞれ専用の機械を使うことで、人の目では判断できない細かい調整も行えます。

専用測定器で各種精度を確認してフィニッシュ
専用測定器で各種精度を確認してフィニッシュ

最高のパフォーマンスが発揮できるように、完璧な状態であることを確認し、ようやくカメラの「オーバーホール」の全行程は終了です。

【レンズ編】
熟練の技術で
レンズを最良の状態に

STEP 4

レンズ内部のゴミも分解してキレイに

カメラの「オーバーホール」に続いて、レンズの「オーバーホール」を見ていきましょう。工程自体はカメラと同様、まずは現在の状態を調べる診断から。ピントリングやズームリングを回して動きを確認し、機械を使って異常の有無を調べ、分解・清掃に進みます。

分解してレンズの内部まで清掃できるのは「オーバーホール」の大きなポイント。ただ、レンズは、何枚ものレンズで構成されたレンズ群の配置や精度が性能を大きく左右するため、分解や組み立て作業には、熟練の技術が求められます。

レンズ内部のゴミも分解してキレイに
レンズ内部のゴミも分解してキレイに

STEP 5

レンズの光学性能を最大限に引き出す精緻な検査

レンズの光学性能を最大限に引き出す精緻な検査

カメラ同等、スピーディーかつ丁寧な作業でレンズを分解。各パーツを調べ、必要な場合は部品交換します。分解検査後は、各パーツを清掃しながらの組み立て工程へ。その工程の中で、駆動部の動きをスムーズにするための潤滑油を塗ります。この潤滑油、駆動部の動きに合わせて、1本のレンズで特性の異なる4~5種類を使い分けるそうです。

組み立て後は、手ブレ補正機構(IS)の動作、解像度、被写界深度のチェックまで徹底的に調べ上げ、レンズの精度を検査して作業終了です。

作業内容を記したカルテ「点検シート」

作業内容を記したカルテ「点検シート」

「オーバーホール」を終えた機材は、「点検シート」を添えて持ち主に返却されます。作業内容だけでなくシャッター作動回数などのデータを記したサービス。愛機の状態を知ることができ、どのような作業をしたかが一目でわかります。

  • ※「点検シート」は「オーバーホール」だけでなく、「スタンダード」や「プレミアム」にも付いています。

手際よく、しかも丁寧に機材を扱う技術者の作業ぶりは、キヤノン製品の信頼を背負っている真摯な姿勢の現れのようでした。「オーバーホール」を受けた機材は、持ち主の元にベストな状態で届けられるのです。

大事なカメラのお手入れはプロにお任せ あんしんメンテ