
講師:門井ゆりか
(写真家、EOS 学園講師)
とにかく写真撮影は楽しむこと!
写真アドバイスは今回が最終回。
11月10日
公開号
講師:門井ゆりか
(写真家、EOS 学園講師)
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カメラ初心者の皆さん、いらっしゃい!
写真家の門井ゆりか先生が皆さんの写真にアドバイスするコーナーです。
※当コーナーへの写真募集は締め切りました。
これまでご応募いただきありがとうございました。
ゆりか先生、このコーナーも今回が最終回となります。およそ1年間、9回にわたり初心者の皆さんの写真を見ていただきました。
初心者向けの企画でしたが、たしかにテクニック的には初心者でも、被写体を見つける優れたセンスを感じる写真も少なくありませんでした。それに私が見ていて心引かれる写真は、上手ではなくても、被写体への愛着とか、写真に残したいという思い、撮ることが楽しい! という撮る人の気持ちが伝わってくる写真でした。
あんまり写真がうまいとかヘタとか、まだ初心者だからとこだわらず、写真を楽しむことが大事だってことですね。
そうですね。写真はそもそも自由な表現のはずですから、自分で自分の可能性をせばめなくてもいいので、とにかく写真を楽しみましょう! それは、このコーナーに送ってくださった皆さんの写真を見ていて、改めて気づいたことでもあります。
さあ、今回が最後になりますが、アドバイスを始めましょう。
EOS 7D・EF-S15-85mm F3.5-5.6 IS USM・F11・1/400秒・ISO200・ホワイトバランス:オート
くっきりと浮かび上がったブロッケン現象の光と大きな白い虹が見え、まさに神秘的な一枚。希少な自然現象に出会えたこと、それをしっかり写し撮れたことが素晴らしい体験だと思います。当初は夕日を眺めていたということですが、視点を変え状況に応じて素早く行動を切り替えたおかげで得られたシャッターチャンスでしたね。調整された色合いもごく自然。タイトルは写真の説明になり過ぎておらずユーモアが感じられました。
北アルプス立山連峰、薬師岳の山荘で撮影されたそうですよ。タイトルは、薬師如来の「降臨」と「光輪」をシャレているのですね。ウマイなあ。虹の写真はよく見かけますが、白い虹はレア! そこにブロッケン現象も加わっているとは! いやあ、奇跡の一枚でしたね。
さて、次の写真にいきましょう。
PowerShot G5 X・F2.8・1/60秒・ISO400・ホワイトバランス:マニュアル
溶けはじめたアイスを寝そべりながら味わっている女性。頭上側からアップで迫り見せた肌の質感とほどよいボケ味、赤みを帯びた色合いが、艶っぽさを加えています。気だるい夏の暑さと倦怠した時間を見事に表現しています。
人物は目にピントを合わせるのがセオリーですが、この作品の場合は、このユニークな構図と共に、アイスをなめている口元をもっと意識してもよかったでしょう。人物を通して見せた独特の夏の雰囲気が魅力的な作品でした。
お子さんをスナップされたのでしょうか。夏休みの思い出写真としてもすてきですね。お子さんを撮るにしても、ここまで大胆に近づくのは珍しいかも。親子の距離感の近さを感じました。がりべこさん、これからも人物に迫った写真を撮り続けてくださいね。
EOS Kiss X5・EF40mm F2.8 STM・F2.8・1/13秒・ISO100・ホワイトバランス:マニュアル
4つの網ほおずきと、1つだけグラスに入っている皮をつけたほおずき。水に浸して1週間ほど経つと、網ほおずきになるそうです。その作業工程の前後を対比して見せながら、ほおずきらしい赤色をしっかりアピールしてくれています。
季節感のあるおしゃれな美術品のように見せた写真ですね。網ほおずきをもっとランダムに、余裕をもたせた配置にしてもよさそうです。配置をいろいろ変えてテーブルフォトを楽しんでみてください。
ほおずきを2週間縲鰀1ヵ月ほど水につけておくと、皮が溶けてなくなり網状の部分が残るのだそうです。実際につくって飾るのもすてきですが、こうして写真にするのもいいですね。写真だったら永久に残りますし! kenさん、すてきな写真をありがとうございました。
次の写真には、猫さんの登場ですよ。
EOS Kiss X7・EF50mm F1.8 II・F2.8・1/2500秒・+1/3補正・ISO800・ホワイトバランス:マニュアル
白いカーテンの前に、シルエット気味に浮かび上がる猫。背中の丸みでそこに座っているのがわかります。ピンと立った耳や光を捉えた瞳に、凛とした気品のようなものを感じます。明るくし過ぎない判断が正解でしたね。目線の先が明るいため前向きな印象につながっており、穏やかで静かなひと時を感じさせます。
猫の姿をさらにしっかり見せてあげると、美しくたたずむ様子がもっと伝わると思います。顔を中心とせずに、全身を入れるフレーミングを心がけましょう。
ゆりか先生のおっしゃるとおり、この猫がたたずんでいる空間の穏やかさや静けさを感じる写真ですね。ふだんはイタズラばかりしている猫でも、時折こういう表情を見せるときがあります。かとりーなさんはそんな表情を見逃さなかったのですね!
さあ、次の写真にいきましょう!
EOS 7D・EF50mm F1.8 STM・F1.8・1/60秒・ISO125・ホワイトバランス:オート
ほの暗い提灯にぼんやり照らされているように見える浴衣姿。ピントは人物ではなくあえて提灯に合わせていて、夜祭りの賑わいを一歩引いた視線で見せています。遠くに喧騒を感じながら、美しく幻想的な夜の雰囲気そのものに心惹かれている。そんな心情を伝える撮り方がとても上手でした。
縦位置でもOKですが、横位置で提灯の奥行きを出してもすてきだったろうなと感じます。人物を観察しながらいろんな表現にチャレンジしたいですね。
さっちゃんさんのコメントによりますと靖国神社の「みたままつり」で撮影されたそうです。境内には大小3万もの提灯が飾られるそうで、光に包まれるようなその眺めは壮観でしょうね。
さあ、ラストの一枚にいきましょう!
EOS M6・EF-S15-45mm F3.5-6.3 IS USM・F8・1/320秒・ISO100・ホワイトバランス:オート
秋迫る夕空を見上げる人物がとても印象的な作品です。ローアングルから撮影しているので、空を見上げる人物が堂々と表現されています。それでいて、後ろで手を組むスタイルがどこか子供らしさも伝え、秋空のように変化しやすい(?)お嬢さんの心情に想像が膨らみます。レンズの広角側を活かしたダイナミックな表現が抜群でした。
希望としては、足元に余裕があってもよかったかなというくらいですが、一筋の飛行機雲もアクセントになり、ドラマチックな空模様に心境を投影した見事な作品でした。
夕焼けの空に、わが娘の気持ちを見た……そんな親心が伝わってくる写真ですね。家族の笑顔写真は楽しいですが、こういう写真も残してあげたいですね。きっとお子さんが成長して振り返ったとき、「いい写真を撮っておいてくれてありがとう!」と感謝してくれるのではないでしょうか。味わい深い一枚、ありがとうございました。
「ゆりか先生のアドバイス」では
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