T.M
キヤノンイメージゲートウェイ編集部
軽さ1.69kgのボディーにデスクトップPCと同レベルの処理性能を詰め込んだMSIのノートPC「Prestige 15」。ビジネスはもちろん写真や動画編集などクリエイティブワークにも対応する本機の実力をフォトグラファーが体験! 今回は北海道・美瑛をフィールドに活躍する写真家・中西敏貴さんのレビューをお届けします。
ノートPC「Prestige 15」を試す写真家・中西敏貴さん。「高画素化するカメラの画像データを扱うにはパワフルなパソコンが欠かせない」と語る。
一日の撮影枚数、皆さんは何枚ぐらいでしょうか? 私は毎日2000枚から多いときは3000枚以上。自宅が撮影フィールドと直結しているので、ほぼ一年中そのような撮影を続けています。そこで課題となるのが、「日々生まれる大量の画像データを現像〜整理するルーティン・ワークを快適にしたい」ということ。
カメラの高画素化により画像1枚あたりのデータ量が大きなものになりました。作業の快適さは、パソコンの処理能力の高さにかかっています。いつの時代もそうですが、デジタル機器は新しい製品ほど快適な環境を提供してくれます。
MSIから登場した「Prestige 15」は、最新の第11世代 インテル® Core™ i7プロセッサーとGTX 1650 Ti Max-Qデザイン 専用グラフィックスにより、デスクトップPCにも匹敵する処理性能を実現したノートPCと評判の機種。私自身の作業環境に導入してみて、どれほど体感的な差が生まれるのか。実際に使用してレビューします。
・CPU:インテル Core i7-1185G7(3.0GHz / Turbo 4.8GHz / 4コア8スレッド)
・グラフィックス:NVIDIA GeForce GTX 1650 Ti Max-Q デザイン 4GB GDDR6
・メモリ:64GB(32GB ×2)DDR4
・ストレージ:1TB(M.2 NVMe)
・OS:Windows 10 Pro
・ディスプレイ:15.6インチ、4K(3,840×2,160)、ノングレア、Adobe RGB相当
Prestige 15にキヤノンの純正ソフト「Digital Photo Professional」(以下DPP)と「Professional Print & Layout」をインストールし、撮影したRAWデータや現像済みのTIFFデータを読み込んで作業を始めてみました。
まず驚いたのは、DPPのサムネイルの展開と表示の速さです。感覚的な評価ですが、明らかに普段の環境よりも速く、ほとんどストレスを感じません。
今度はパラメーターをスライドさせ、ノイズリダクションや色調整などの処理を行ってみました。これらの処理は負荷が大きいのか、普段は少しタイムラグが発生します。でも、待たされることなく処理できました。
DPPでサムネイル画像を表示。瞬時に表示されるのでストレスを感じない。
これだけの処理スピードを実現してくれるのであれば、十分にメインマシンとして使うことができるでしょう。撮影旅行に持っていくにも最高の相棒になりそうです。
例えば10枚程度の画像処理であれば、多少のタイムラグは許容できるかもしれませんが、2000〜3000枚となると処理スピードの遅さは大きなストレスに……。旅先だからこそ結果を素早く確認して、次の撮影につなげたいものです。高速処理を可能にするノートPCが作業効率を高め、撮影を助けてくれるでしょうね。
Prestige 15は、ノートPCなのに「Adobe RGB」相当の広色域をカバーしていると聞いて驚きました。色再現へのこだわり、4Kの解像度とノングレアの液晶モニター。つまり、写真や映像に最適化されたモニターを搭載していると理解していいでしょう。旅先でも正しい色で確認することができるPrestige 15は、心強い存在になりそうです。
色味をマシン側で調整できるうれしい機能もあります。アプリ「MSI TRUE COLOR」を立ち上げると、輝度、コントラスト、ガンマだけではなくRGB各色の微調整も可能。さらに追い込みたい場合は、キャリブレーションセンサーを接続し、より厳密な調整ができます。
Adobe RGB相当の色域で見えているということは、正確なカラーマッチングが求められるプリント作業との相性もいいはず。そこで実際に、何点かの作品でプリントを行ってみることにしました。
デスクトップ機に匹敵する高い処理能力なので動作は快適。しっかりと色が見える液晶モニターで調整ができるので、作品制作のフィニッシュであるプリント作業までこなせます。つまり、作業効率がアップするわけですね。大量にテストプリントする場合など、即戦力になる印象です。
マシンに負荷がかかり動作が不安定になりがちなプリント作業もストレスなくこなす。
「メイン機がノートPC」という写真家は、じつは少数派です。処理速度などのパワーを重要視するので、ノートPCは出張時などモバイル環境でのサブ機的なイメージでした。外部機器と接続するための拡張性の乏しさもノートPCの物足りないところでした。撮影データを保存する外部ストレージ(HDDやSSDなど)を複数接続して同時にバックアップすることもあります。
Prestige 15には4つのポート*が用意されています。地味なポイントですが実用的でうれしかったですね。外部モニターやプリンター、外部ストレージへの接続など、デスクトップ機に置き換えても不満を感じることがないでしょう。
*Thunderbolt端子(USB Type-C形状、USB接続対応)×2、USB 3.2 Gen2 Type-A ×2
車での移動が多い撮影スタイルでも、Prestige 15が頼れる相棒になってくれる。
今回は、よりPCに負荷のかかる動画編集での検証は行えませんでしたが、大量の画像データを処理するならPrestige 15は十分な実力。持ち運びも軽快なノートPCですから場所を問わず、さまざまな場面で高い処理能力を提供してくれるでしょう。
写真は「撮ったら終了」ではありません。現像する、整理する、プリントするといったパソコンによる作業が必須です。快適なワークフローで作品づくりに集中するために、カメラだけでなくパソコンも最新のハイスペックマシンを選びたいですね。
・CPU:インテル Core i7-1185G7(3.0GHz / Turbo 4.8GHz / 4コア8スレッド)
・グラフィックス:NVIDIA GeForce GTX 1650 Ti Max-Q デザイン 4GB GDDR6
・メモリ:64GB(32GB ×2)DDR4
・ストレージ:SSD 1TB(M.2 NVMe)
・OS:Windows 10 Pro
・ディスプレイ:15.6インチ、4K(3,840×2,160)、ノングレア、Adobe RGB相当