《プロが教える》カメラアクセサリーの選び方脱・初心者!
「外部ストロボ」のすすめ。
清水友渉(しみず・ともたか)
写真家・EOS学園講師
清水友渉(しみず・ともたか)プロフィール
1970年、愛知県出身。日本デザイナー学院卒業後、コマーシャルスタジオ勤務を経てフリーランスに。ファッション、建築写真誌、コマーシャルなど多彩なフィールドで活躍中。かつてル・マン24時間耐久レースを7年連続で撮影。現在は、EOS学園名古屋校でストロボ講座などを担当。写真塾「光彩」主宰。
EOS学園 講師プロフィールへ「外部ストロボ」は上級者向けで難しいと思っていませんか? いいえ、初心者の方にこそおすすめしたいのが外部ストロボです。使い方はとても簡単。活用できるシーンは、人物撮影のほかブツ撮り、風景写真などさまざま。外部ストロボで広がる写真の世界へご案内しましょう。
ストロボを使えば、
こんな写真が撮れる!
Q. このモデルがきれいに
撮れている理由は?
EOS 5D Mark IV・EF70-200mm F2.8L IS II USM・絞り優先AE(F4・1/160)・ISO200
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A. 外部ストロボで
「バウンス撮影」したから!
ストロボを使わないとこんな感じ。
EOS 5D Mark IV・EF70-200mm F2.8L IS II USM・絞り優先AE(F4・1/80)・ISO200
室内で人物を撮るとき、失敗しやすいのが「光が足りない」こと。お子さんや家族の表情が暗く写ってしまいます。そこで活躍するのが「外部ストロボ」。外部ストロボによる「バウンス撮影」でソフトな光が生まれ、人物を自然な雰囲気で美しく写すことができます。
外部ストロボならではの
「バウンス撮影」とは?
天井や壁などにストロボ光を反射させ、間接光を当てること。
内部ストロボは真正面からの直接光しか当てられませんが、外部ストロボは発光部を天井に向けたり、左右の壁に向けて光を反射(バウンス)させることができます。このように直接光ではなく間接光で撮影する方法を「バウンス撮影」と言います。外部ストロボにしかできない撮り方です。
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人物写真だけじゃない。
風景写真も
ストロボで変わる!
ストロボ発光なし

EOS 5Ds・EF16-35mm F2.8L II USM・F14・1/20・ISO100
ストロボ発光あり

EOS 5Ds・EF16-35mm F2.8L II USM・F14・1/20・ISO100
きれいな夕焼けの空と、地上のヒガンバナ。自然光で両方をきれいに撮るのは困難です。でも、外部ストロボがあればご覧のとおり。ヒガンバナを浮かび上がらせ、夕景の雲と対比させる写真になりました。
雪が浮かび上がる!
こんな写真、
撮ってみたくないですか?
ストロボ発光なし

EOS 5D Mark IV・EF16-35mm F2.8L III USM・F3.5・20秒・ISO640
ストロボ発光あり

EOS 5D Mark IV・EF16-35mm F2.8L III USM・F3.5・8秒・ISO640
雪が降りしきる夕暮れの池。外部ストロボがなければ、そろそろ撮影を諦める暗さです。
ところが同じ場面で外部ストロボを使うと別世界に。舞い落ちる雪に光が当たって幻想的な丸ボケになりました。
料理や小物の写真も
ストロボならプロ級に!?

EOS 6D Mark II・EF24-105mm F4L IS II USM・F10・1/160・ISO200

EOS 6D Mark II・EF24-105mm F4L IS II USM・F13・1/160・ISO200
料理写真や小物(オークション出品物など)の撮影では、光の当て方はとても重要。「おいしそう!」や「すてき!」な印象に大きな影響が出るからです。
外部ストロボで白い壁にバウンスさせた光を斜め後ろから優しく当てると、反射した光が全体を明るく照らし自然な影に。ハイクオリティな写真に仕上がりますよ。
内蔵ストロボじゃ
ダメなの?
カメラ内蔵のストロボは便利ですが、できることに「限界」があります。
× 光のパワーが弱い!
光量が少ないため遠くに光を届けるのが困難。せいぜい2〜3m程度です(※注1)。外部ストロボなら条件や機種により、15m前後まで光が届けられます。
× 発光部の角度が変えられない!
内蔵ストロボで真正面から光を当てると、人物の顔や背後に影ができやすいです。発光部の角度が変えられる外部ストロボなら「天井バウンス」「壁バウンス」などで自由に光を演出できます。
× 照射角が狭い!
内蔵ストロボでは広範囲に光が届かないので、広角レンズ使用時は光が当たらない部分ができてしまう場合も。光量が大きく広範囲に光が届けられるキヤノンの外部ストロボでは、ワイドパネルを使用すれば14mm(35mm換算)の超広角、望遠レンズでの撮影にも対応します。
※注1 ISO100、絞りF3.5〜5.6のキットレンズの場合
「外部ストロボ」
選び方のポイント
①必須条件! 発光部が上下左右に動かせること。
「バウンス撮影」するためには、発光部の角度を自由に変えられる機種を選びましょう(機種により可動範囲は異なります)。光の向きを自由に変えて、人物の背後や顔などに不自然な影が出にくくすることができます。とくに室内でのお子さんの写真など、劇的にきれいに撮れるようになるでしょう。
②「ガイドナンバー」の目安は「40」以上がベター。
ガイドナンバーとは、光がどこまで遠くに届くかを示した数値です。これが大きくなるほど、発光量が大きく遠くまで光が届きます。いろんな場面の撮影に使うのであれば、目安としてガイドナンバー「40」以上の機種(条件によって10m前後まで光が届く)がよいでしょう。
③上位機種ほど広い「照射角」。
ストロボで光を照らす範囲のことを「照射角」といいますが、最近の高性能な外部ストロボでは、レンズのズーム域と連動して自動的に可変する仕組みになっています。上位機種の場合は、広角側20mm〜望遠側200mm(35mm換算)までの撮影が可能。幅広い場面でのストロボ撮影に対応できます。機種によりカバーできる範囲が異なることを覚えておきましょう。
④「ハイスピードシンクロ」可能な機種であること。
先幕シンクロ

EOS 5D Mark IV ・EF70-200mm F2.8L IS II USM・F8・1/200・-1/3補正・ISO200
ハイスピードシンクロ

EOS 5D Mark IV ・EF70-200mm F2.8L IS II USM・F3.5・1/800・ISO200
内蔵ストロボを使うとき、あまり速いシャッタースピードは使えません。1/200〜1/250秒程度が限界です(機種によって異なる)。つまり、大口径レンズなどの特長を生かし、絞り開放で人物の背景をぼかす撮影には適しません。
この欠点を補ってくれるのが、外部ストロボの「ハイスピードシンクロ機能」。内蔵ストロボでは使えない高速シャッターが使えるため、絞りを開いて背景をぼかすことができるのです。
選び方のポイント まとめ
- バウンス撮影の必須条件は「発光部が自由に動かせる」こと
- 「ガイドナンバー」40以上なら発光パワーにゆとりあり!
- 幅広いシーンに対応できる「照射角」をチェックしよう
- ボケ表現で差が付く「ハイスピードシンクロ機能」
人物撮影はもちろん風景や小物など、いろいろなシーンで活用できるストロボ。カメラに「オート」があるようにストロボも「フルオート」で撮影ができるので、初心者の方にも安心です。EOSをお使いの皆さんでしたら、キヤノンの外部ストロボがベストチョイス!
選ぶなら
「キヤノン純正」の
外部ストロボ
スピードライト
430EX III-RT
スピードライト
470EX-AI
スピードライト
EL-100
とにかく手軽に始めたいならこれ!
スピードライト EL-100は、初心者でもストロボ撮影が楽しめる自動発光機能を外部ストロボとして初搭載。内蔵ストロボと同じ気軽さで、外部ストロボ撮影が楽しめます。
操作系はいたってシンプル。初心者でも簡単です。発光部は上下・左右に回転するので、カメラを縦向きにして撮影するときも天井バウンスを利用可能。ガイドナンバー:26ですが、とにかく手軽に始めたい人にはおすすめのモデルです。
光をプラスできるのが外部ストロボの強み。
「もう1つの太陽」=スピードライトで、光を自由に使ってみませんか?
清水友渉(しみず・ともたか)プロフィール
1970年、愛知県出身。日本デザイナー学院卒業後、コマーシャルスタジオ勤務を経てフリーランスに。ファッション、建築写真誌、コマーシャルなど多彩なフィールドで活躍中。かつてル・マン24時間耐久レースを7年連続で撮影。現在は、EOS学園名古屋校でストロボ講座などを担当。写真塾「光彩」主宰。