愛犬・愛猫をかわいく撮るにはコツがある!|ペット撮影のフォトテクニック

ペット撮影のフォトテクニック愛犬・愛猫をかわいく撮るにはコツがある!第2回 「動き」をイキイキと撮ろう!

写真家 中村陽子氏

中村陽子

写真家

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プロフィール

大阪市生まれ。カナダ トロント市在住中に犬と暮らしをはじめペットの撮影を始める。2015年に(有)ドッグファーストとスタジオD1を設立。広告を中心としてペットや子供の撮影などを手掛ける。現在トイプードルのPASTEL、ノーフォークテリアのCOOPY、ジャックラッセルテリアのPOPとCOLORの四頭の愛犬と暮らしています。

EOS学園 講師プロフィールへ
2017.2.17

こんにちは。写真家の中村陽子です。
見ているだけでもかわいいペットたち。表情や仕草をよりかわいくより美しく撮りたいものです。この講座では、私がペット撮影でこだわって撮影しているポイントや撮影のコツなどをご紹介します。
カメラがあれば、ペットといっしょに過ごす時間がもっと楽しくなりますよ。

ペットの「動き」を
イキイキと撮ろう

動くペットを写すといっても大きく分けて2つの撮り方があります。ひとつは、シャッターの速度を上げて肉眼では見えない動きを止めて写す「瞬間撮影」。もうひとつは、シャッターの速度を落として動く部分をぶらして撮影する「流し撮り」です。さあ、始めましょう!

「ペット写真」この一枚

「ペット写真」この一枚

撮影データ:EOS-1D X・EF200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4×・F5.6・1/1250秒・ISO400

美しい海を背景に走るイタリアン・グレイハウンド。静かに走る犬の動きや表情を捉えたかった一枚です。夢の中の出来事のようにふんわりと柔らかいイメージで撮っています。カメラの存在に気づかないくらい遠く離れた場所から望遠ズームレンズを使って撮影しました。

では、ペットの「動き」を撮るための
コツを見ていきましょう。

基本テクニック講座 ペットの動きを撮るコツ
(基本編)

ペットの動きを撮影するには、カメラの設定はもちろん、ペットの動きを予測したり、うまくコントロールしたりする必要があります。
また、撮影者はジッと固まって撮影するのではなく、ペットに合わせて動きながら撮影することが大切です。

  • コツ1

動きを止めるシャッター速度は
1/1000秒がメド

動くペットの動きを止めて写すには、シャッター速度を上げる(速くする)必要があります。屋外で走っているシーンでは最低でも1/1000秒以上が目安です。室内での軽い動きなら、1/500秒以上のシャッター速度を目安にするとよいでしょう。

◎ブレなし(1/1250秒)

◎ブレなし
(1/1250秒)

△ややブレ(1/250秒)

△ややブレ
(1/250秒)

1頭なら絞りは開放気味にすれば、
速いシャッター速度で撮れます。
2頭以上の場合は、顔の位置がそろいにくいので、
絞りはやや絞り込み、ピントの合う範囲を広げて撮りましょう。

ノーフォーク・テリアの姉妹

撮影データ:EOS-1D X・EF200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4×・F5.6・1/1250秒・ISO1000・WBマニュアル

ノーフォーク・テリアの姉妹。
体格も似ているので走る速度や動きのパターンも似ています。
1頭で走るシーンの撮影に慣れてきたら、こんなふうに
仲良く併走するシーンも撮ってみると
楽しいですよ!
2頭での走らせ方にはコツがあります。カメラに向かって呼び寄せるとき、
まずは走るのが遅い子を先にスタートさせ、速い子を少しずらします。
そうすると顔の位置がそろって撮れるチャンスが増えます。

  • コツ2

シャッター速度の調整は
「ISO感度」設定で!

第1回でご紹介したように、動き回るペットの撮影でおすすめのカメラ設定は「絞り優先モード」。カメラのモードダイヤルは〈Av(絞り優先)モード〉に合わせます。撮影してみて、もっとシャッター速度を速くしたいときは絞り数値を変えるのではなく、ISO感度を高くして調整します。

海辺で遊ぶウェルシュ・コーギー・ペンブローク

撮影データ:EOS Kiss X6i・EF70-300mm F4-5.6L IS USM・F5.6・1/1250秒・+1 1/3補正・ISO 400・WBオート

海辺で遊ぶウェルシュ・コーギー・ペンブローク。
浜辺での撮影は、カメラを向ける向きを少し変えるだけで
かなり明るさが変わってしまいます。
シャッター速度が1/1000秒以下にならないように高めのISO感度を設定しておきましょう。

  • コツ3

「AIサーボ」で
「動き」を追従してみよう

流し撮りに比べると、高速シャッターで犬を撮影するのは比較的簡単です。カメラに向かって走ってくるシーンの撮影は、カメラの性能によるところが大きいので、高速連続連写ができるカメラをおすすめします。

カメラに向かって走ってくるシーン

撮影データ:Canon EOS-1D X・EF70-300mm F4-5.6L IS USM・F4.5 ・1/640秒・ISO640・WBオート

連続撮影するときは、「秒間5コマ以上」になると手足の動きに
バリエーションがある写真を撮ることができます。

「秒間5コマ以上」になると手足の動きにバリエーションがある写真を撮ることができます。

AFモードは〈AIサーボAF〉を選びましょう。〈AIサーボAF〉とは撮影距離が絶えず変化する(動いている)被写体の 撮影に適した撮影モードです。 シャッターボタンを半押ししている間、被写体にピントを合わせ続けてくれます。任意に選んだ測距点(ブルドッグの写真の場合、顔の部分の赤いフレーム)に被写体を重ね続けることが大切です。

赤く表示されているAFフレームで被写体がしっかり追うようにして撮りましょう。

赤く表示されているAFフレームで被写体がしっかり追うようにして撮りましょう。
※上の画像は実際の表示とは異なり、赤いAFフレームを強調しています。

  • コツ4

ペットの「動き」を追える
カメラの構え方

右に左に激しく動くペットに振り回されず、しっかりフレームに入れて追いかけるには、カメラの構え方がとても重要です。ハイアングル、ローアングルの2パターンが代表的な構え方です。

〈 ハイアングル 〉

✕棒立ち&両脇シメの構え

×
棒立ち&
両脇シメの構え

◎軸足立ち&片脇シメの構え


軸足立ち&
片脇シメの構え

「両脇をしっかり締めてカメラを構える」のは動きのないものを撮るときの構え方です。
ペットなど激しく動くものを撮るときは、カメラを即座に自由に動かす必要があります。
軸足で立ち、片足は一歩前に。脇を締めるのは、カメラの重さを支える側だけにします。

〈 ローアングル 〉

✕両肘をつけて構える

×
両肘をつけて
構える

◎片肘をつけて構える


片肘をつけて
構える

動く犬を撮るときは基本的にローアングルでの撮影になります。
膝をついて四つん這いになりますが、肘をつけるのは片方だけにします。
肘を軸にしてカメラを左右に振って撮るためです。
そうすることで安定した体勢で犬を追うことができます。

ローアングルで手前にある花のすき間からのぞき込むように撮影

撮影データ:EOS-1D X・EF70-200mm F2.8L IS II USM・F2.8・1/1000秒・ISO640・WBオート

カラフルな前ボケを入れたかったので、
ローアングルで手前にある花のすき間からのぞき込むように撮影しました。

基本テクニック講座 ペットの動きを撮るコツ
(応用編)

ペットの動きを撮るというと、動きを止めた「瞬間写真」をイメージする方が多いと思います。もう1つのアプローチとして、シャッターの速度をやや遅くしたスローシャッターで撮影する「流し撮り」というテクニックがあります。流し撮りで犬のスピード感や躍動感を表現した写真を撮ってみましょう。

  • コツ1

「流し撮り」は1/100秒前後での
試し撮りで始めよう

横方向に動く犬の走りに合わせてカメラを動かし、背景をややぶれるように撮るのが流し撮りです。犬が走る速さにもよりますが、1/100秒前後のシャッター速度で試し撮りするのがコツ。犬がきちんと止まっているか、背景のぶれ具合はどうかをチェックします。

犬の走らせ方にもコツがあります。適当に走らせてしまうと、頭が上下してしまいがちです。バシッと顔にピントが合って、背景がきれいに流れた写真を撮るには、犬が大好きなおもちゃを見せてから走らせます。おもちゃに意識が集中するので、頭の上下動を抑えることができ撮りやすくなります。

好きなモノを見せることで、頭の上下動が少ない流し撮りに適した走りを見せてくれる

撮影データ:EOS 7D Mark II・EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM・F11・1/100秒・+2/3補正・ISO800・WBオート

大好きなおもちゃに向かってまっしぐら。好きなモノを見せることで、
頭の上下動が少ない流し撮りに適した走りを見せてくれます。
また、誘導者がハイテンションで犬を呼ぶことで、犬の直進性がアップします。

流し撮りするときは高速連続撮影で撮り、液晶画面を拡大表示して写り具合を確認しましょう。

流し撮りするときは高速連続撮影で撮り、
液晶画面を拡大表示して写り具合を確認しましょう。
犬の目にきちんとピントが合い、
ぶれていない(止まっている)
ことがポイントです。
1度で撮れることは稀なので、納得がいくカットが撮れるまで
頑張って走ってもらいましょう。

  • コツ2

ひと味違う「流し撮り」テクニック

流し撮りというと、犬などが目の前を横に走っていく姿を「横位置」で撮ることを思い浮かべる方が多いと思います。ひと味違った写真を撮るには、「縦位置」の流し撮りがおすすめです。
ローアングルで縦位置の流し撮りをする場合は、カメラのファインダーはのぞけません。広角レンズを使ってレンズの中心点が犬の顔に向くように注意して、犬と一緒に歩いたり走ったりしながら〈AIサーボAF〉で連続撮影します。

日常のお散歩でも気軽に縦位置で撮影してみましょう。

撮影データ:EOS Kiss X6i・EF70-300mm F4-5.6L IS USM・F5.6・1/1250秒・+1 1/3補正・ISO 400・WBオート

こちらの写真は作品性を高めるため森の中で撮影していますが、
日常のお散歩でも気軽に縦位置で撮影してみましょう。
測距点は〈自動選択〉を選択。犬にピントが合いやすくなります。

地面すれすれのローアングルで、ついてくる犬の動きに合わせてシャッターを切り続けます。

撮影データ:EOS Kiss X6i・EF70-300mm F4-5.6L IS USM・F5.6・1/1250秒・+1 1/3補正・ISO 400・WBオート

自分の足が写り込んでしまうぐらい地面すれすれのローアングルで、
ついてくる犬の動きに合わせてシャッターを切り続けます。

  • コツ3

リードつきの「走り」に
馴らしてから撮ろう

犬に走ってもらって撮るには、撮り方だけではなく「走り」の練習も必要です。少し長めのリードを用意しましょう。最初は予期しない方向に走っていってしまうかもしれませんが、優しくリードを引いて戻るように誘導します。
思いどおりにならないからといって叱ってしまうと撮影が嫌いになったり、カメラを見ると表情が暗くなったりすることも。上手にできた場合は高めのテンションでほめます。カメラ=楽しい時間となるように心がけます。

ボールに飛びついて遊んでいる場面

撮影データ:EOS 5D Mark IV・EF70-200mm F2.8L IS II USM・F3.2・1/1600秒・-2補正・ISO250・WBオート

ボールに飛びついて遊んでいる場面です。
長めのリードを十分に伸ばして、犬が自由に動けるようにしてあげます。

  • ※ リードを伸ばすときは周囲に配慮し、マナーを守って撮影しましょう。

粘り強く何度もボール遊びを繰り返して撮影しました。

光の状態がいい場所で、いいポーズの瞬間で撮れるまで、
粘り強く何度もボール遊びを繰り返して撮影しました。本番ではボールをチェンジ。

長めのリードをペグ(テントなどを地面に打ち付ける杭のようなもの)に取り付けて撮影

お一人で撮影する場合は、ペグ
(テントなどを地面に打ち付ける杭のようなもの)に
長めのリードを取り付けて撮影します。

ポイントまとめ

写真家 中村陽子氏

ここがポイント:
『動く相手には、動きで対応して撮るべし!』

  1. 動きを止めるシャッター速度は
    1/1000秒が目安
  2. 「AIサーボ」で走ってくる動きを
    追従して撮ろう
  3. 動きに即対応できる
    カメラの構え方が重要
  4. ペットの「動き」をコントロールして
    撮ろう

今回はペットの動きをうまく撮る方法を中心にご紹介しました。次回はいよいよペットモデル募集にご応募いただいた「読者モデル犬」の登場です。初めて対面する皆さんの愛犬たちを撮影しながら、ペットの「気持ち」まで写すテクニックをご紹介します。お楽しみに!

ペットのきもちまで伝える撮り方は次回に!