T.M
キヤノンイメージゲートウェイ編集部
東京タワーやスクランブル交差点の写真など、東京のシティスケープの写真がSNSで話題になった相沢亮さん。近況をうかがうと、活動拠点の東京を離れて日本各地を旅する日々だとか。相沢さんが自然風景をどのように写し出すのか。作品を拝見しながら、写真との出会いや「アイザワ流」の撮り方、今後の活動についてもうかがいました。
相沢 亮 / Ryo Aizawa
会社員だった2017年、Twitterへの投稿をきっかけにカメラに出会い撮影活動を開始。温かみと懐かしさを感じさせる独特な色調で表現したシティスケープの写真で人気を博す。2019年、写真家として独立。SNSのほか地域や企業のPRなどにも活動の場を広げている。
EOS R6・RF100-400mm F5.6-8 IS USM(焦点距離:400mm)・F8・1/100秒・ISO125
活動拠点の東京を離れて、久しぶりに日本各地を巡ってきました。今回ご覧いただくのは、この秋、旅先で出会った風景です。こんなふうに写真を撮り始めたのも、SNSで写真を発表し始めたのも2017年の1月のことでした。当時はまだ会社員で、仕事の合間にふと撮影した写真をアップしたら反響があって、それが始まりです。その当初から自分の感覚で撮っていただけなのですが、結果的にフォロワーが増えていきました。2020年初頭に写真でやっていこうと決意して、現在に至ります。
EOS R6・RF24-105mm F4 L IS USM(焦点距離:67mm)・F5.6・1/100秒・ISO320
わずか3年のキャリアで、どうして写真で一本立ちできたか……ですか? それはたぶん、いまのカメラがすごく優秀だからですよ(笑)。半分冗談で半分本当です。カメラが進化してオートでもきれいに写る時代ですから。あとはいい写真や映画を見る、いい景色に出会った経験の積み重ねなどからの影響もあるのかも。美しいものを見た残像が頭の中にあって、カメラを持つとそのイメージを目指して写そうというインセンティブが働くのです。
EOS R6・RF24-105mm F4 L IS USM(焦点距離:37mm)・F5・1/160秒・ISO250
例えば、東京タワーがきれいに写っている映画や広告写真を見ると、自分が何となくカメラを向けて撮った東京タワーの写真は下手だなと感じます。でも、目指すべき理想的な完成形のイメージがあると、それが刺激になって「自分も美しく撮ろう」という意識や行動になります。そんなふうに写真を撮ってきた結果が、いまにつながっているのかもしれません。
特別に意図しているわけではないのですが、よく言われるのは、「温かみがあって懐かしいような写真」。日常の延長線上にある日々のちょっときれいな瞬間を切りとる。それを大切にしながら撮影しています。
EOS R6・RF24-105mm F4 L IS USM(焦点距離:76mm)・F5・1/500秒・ISO100
日常生活や旅のなかで「撮りたいな」と気持ちが動くのは、光がきれいな場面に出会ったときです。どんな風景にも一番いい光の当たり方、光の状態があって、最高の条件でカメラを向けることが重要です。
皆さんも人物のポートレートを撮るときは基本的に光をよく見ますよね。でも、風景の撮影だとおざなりになっていませんか? 昔から人物や物の撮影では光を大事にしますよね。ライティングには細心の注意を払って、美しい写真を完成させます。風景の写真も同じだと考えて撮るようにしています。
EOS R6・RF24-105mm F4 L IS USM(焦点距離:35mm)・F4・1/400秒・ISO100
移動が多い旅先での撮影では、光を待つのは困難です。でも、行き当たりばったりではいい光に出会えないので、事前にルートをチェックして太陽の方角を調べておきます。太陽の位置がわかるスマホアプリも便利です。
EOS R6・RF24-105mm F4 L IS USM(焦点距離:24mm)・F5・1/80秒・ISO160
もう一つ、ぼくが気を付けていることといえば構図ですね。「黄金分割」などさまざまな構図のパターンを参考にしています。単純ですが効果的な構図は、画面の縦横を均等に三分割する構図「三分割法」です。カメラのファインダーの情報表示設定でグリッドを表示させ、線と線がクロスする部分に風景のポイントを置くようにして撮影します。例えば東京タワーをポンと配置したり、空とビルを入れる割合も三分割法で整理したりして構図を整えます。オーソドックスな方法ですが、構図がきちんとしていると無意識的に「いいな」と感じてもらえる写真になると思います。
EOS R6・RF100-400mm F5.6-8 IS USM(焦点距離:325mm)・F8・1/125秒・ISO100
いま、日本全国を旅したい欲求がすごく強いです。まだ行ったことない場所、見たことのない風景がたくさんあります。自分の力を付けていって、地域の魅力を広める発信や手助けをしていきたいと考えています。
最近は、ツアーや地域のPRに関する仕事で地方に呼んでいただき撮影する機会が増えています。それで気づいたのは、地元の人たちは、やっぱり故郷の風景が好きだということ。その風景が一番きれいな時間帯、光や風の状態をよくご存じで、地元の人がおすすめする時間帯に出かけてみると、本当に美しい情景に出会えます。
EOS R6・RF24-105mm F4 L IS USM(焦点距離:105mm)・F5.6・1/125秒・ISO125
昔から人々が守ってきたものって、すごいですよね。人が集まる場所には美しい風景があって、何世代も前から大切に受け継がれている。全国的に知られた観光地ではなくても魅力的な場所があるんですよね。そんな自分の地元をきれいに撮ってもらうと誰でもうれしい。写真のテクニック論以前の問題として、地元の方々の期待には応えなくてはいけません。
EOS R6・RF100-400mm F5.6-8 IS USM(焦点距離:174mm)・F7.1・1/10秒・ISO200
これからもSNSなどを活用して、もっと地方の魅力や、地域の人の声を全国に届けていきたいですね。写真を通じて地元産業、観光業にも貢献したいです。そういう活動にこそ、社会的な役割があると感じ始めています。
今回の撮影では、ボディはEOS R6、レンズはRF24-105mm F4 L IS USMとRF100-400mm F5.6-8 IS USMの2本を使いました。EOS R6は軽量で持ち運びがしやすく、手ブレ補正機構が優秀なので愛用しています。シャッタースピード10分の1くらいでも手ブレなしで撮れました。トラベル撮影ではすごく助かりますね。三脚なしでほとんどの風景が撮れます。望遠ズームレンズのRF100-400mm F5.6-8 IS USMには三脚座がなく、400mmのTELE側でも手持ちで撮っていけるコンセプトを感じました。旅をしながら軽快に撮っていけるカメラとレンズは、本当にありがたいですね。(相沢亮)
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