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天の川に沿って点在している「散光星雲」を探してみよう
いて座の天の川の中にある、散光星雲M8とM20は、ともに淡いガスの星雲です。双眼鏡や天体望遠鏡を使えば、その姿を眺めることが可能です。しかし、淡く広がっており、眼視では色はまったく認識できず、写真に写してようやくその全貌がわかるのです。
M8やM20のような赤い散光星雲の撮影には、天体撮影用のカメラが適しています(一般のカメラでは、ここまでの赤い色が表現できません)。このような散光星雲は、じつは夜空にはたくさんあります。その多くは天の川に沿って点在しているので、場所を調べて撮影してみてはいかがでしょうか。
EOS 60Da・EF200mm F2L IS USM・Bモード(F2.5・120秒)・ISO640・赤道儀使用
撮影地:長野県諏訪郡

星雲や星団の撮影は、赤道儀を使った長秒露光が基本!
「M31アンドロメダ銀河」のような渦巻銀河は、天文に興味を持ったなら、一度は天体望遠鏡で眺めてみたいと思うことでしょう。しかし渦の淡い周辺部は大きな望遠鏡でもほとんどわからず、中心部分のみをぼんやりと見ることができます。
ところが、写真なら光を蓄積することができるため、淡い渦巻きもはっきりと写すことができます。星雲や星団の撮影には、光害が少ない夜空の暗い場所へ行き、赤道儀を用いて長秒露出を行う必要があります。
EOS 5Ds・天体望遠鏡使用(口径130mm・焦点距離390mm)・Bモード(240秒)・ISO400
撮影地:長野県諏訪郡

明るい望遠レンズや天体望遠鏡が必要で、難度はやや高め
淡く広がった星雲や銀河に較べると、星の集まりである「星団」は、まだよく見えるほうです。「ペルセウス座の二重星団」は2つの散開星団が仲よく並んでおり、双眼鏡や天体望遠を使えば、この写真を暗くしたような感じで見ることができます。
星雲や星団の撮影には、明るい望遠レンズや天体望遠鏡が威力を発揮します。焦点距離が長い分、赤道儀もしっかりしたものが必要となり難易度は高くなります。しかし、それだけにきれいに撮れたときの喜びはひとしおです。
EOS 6D・天体望遠鏡使用(口径200mm焦点距離780mm)・Bモード(120秒)・ISO1600
撮影地:山梨県北杜市
ポイントまとめ
かつては天体写真といえば、こういった星雲・星団の写真を指すことが多かったものです。渦を巻いた渦巻銀河や、淡いガスの散光星雲、これらはとても淡いために、大きな天体望遠鏡を使ってもはっきりとは見えないのですが、写真ならはっきりと色鮮やかに写せるのです。
1)天の川に沿って点在している「散光星雲」を探してみよう
2)星雲や星団の撮影は、赤道儀を使った長秒露光が基本!
3)明るい望遠レンズや天体望遠鏡が必要で、難度はやや高め
写真・解説 中西昭雄