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チューリップの花壇から「距離の仲間外れ」を探そう
チューリップの花壇を撮るときは、「ボケ」を生かした撮り方がおすすめです。そのための3つの条件は「望遠レンズ」「絞り開放」「できるだけ接近して撮影」。さらに効果的なボケを作り出すには、チューリップの配置が重要です。同じ色・形のチューリップから配置が良い部分を切りとりますが、群から少し離れた位置にたたずんでいるような一輪を見つけ、その他の花を背景にします。これが「距離の仲間外れ」です。また、アクセントとして手前に咲いている黄色のチューリップを前ボケに利用。黄色のチューリップで春らしい華やかさを入れました。
EOS 5D・EF300mm F2.8L IS USM(焦点距離:300mm)・絞り優先AE(F2.8・1/500秒)・ISO100・ホワイトバランス:太陽光・ピクチャースタイル:スタンダード

マクロレンズでチューリップの花びらに最接近してみよう
チューリップをマクロレンズで撮影する場合は、花のラインの美しさや造形美を表現するイメージで撮影します。構図の決め方ですが、できるだけ近づいたほうが大きなボケが生まれるので、まずはマクロレンズの「最短撮影距離」まで接近します。そして必要に応じて少しずつ離れて、大きさや構図を整えるとよいでしょう。
この写真では、2枚の花びらの境目(Yの字の部分)を最短撮影距離まで接近して撮影。ピントが合う範囲は極端に浅いので、ピントは慎重に花びらのラインに合わせました。シベがふんわりとぼけ黄色いアクセントに。シベの黄色いボケをYの字に重ねることでその部分が強調できました。
EOS 7D・EF180mm F3.5L マクロ USM(焦点距離:180mm)・絞り優先AE(F3.5・1/500秒)・ISO200・ホワイトバランス:太陽光・ピクチャースタイル:風景

青空を背景に花の「配置」に留意して構図をつくろう
天気がいい日はチューリップの背景に広がる青空を生かしましょう。広角レンズで見上げるようにねらってみると、整然と並んだチューリップの姿を効果的に表現することができます。普段は花壇に咲く様子を見下ろすことが多いチューリップなので、いつもとは違ったアングルは新鮮に感じませんか? 背景の雲の形も意識して、雲がない青空の部分に花を配置させましょう。チューリップ同士がなるべく重ならないように配置をよく見て切りとりましょう。
EOS 5D Mark III・EF24-105mm F4L IS USM(焦点距離:24mm)・絞り優先AE(F13・1/350秒)・ISO200・ホワイトバランス:太陽光・ピクチャースタイル:風景
ポイントまとめ
チューリップは桜のように待ちに待って気合いを入れて撮りに行く被写体ではありませんが、カメラを向けてみるといろんな撮り方ができることがわかります。光の状態、花壇の中での配置など、撮影に取り組んでいくと奥深い要素があり、飽きることがありません。直射日光がない曇天のほうが撮影しやすいでしょう。
1)チューリップの花壇から「距離の仲間外れ」を探そう
2)マクロレンズでチューリップの花びらに最接近してみよう
3)青空を背景に花の「配置」に留意して構図をつくろう
写真・解説 斎藤裕史