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センスアップ!
写真のキメ手は表現力

講師 : 川合麻紀 (写真家・EOS学園講師)>プロフィール

早春の河津桜を表現

写真家・川合麻紀先生

春は心もウキウキして、お散歩に出かけたくなる季節。私は、いつもミラーレスのEOS Mシリーズを持ち歩き、目にとまったかわいい花を気軽に撮影しています。ありったけの機材を駆使して、花の撮影旅行に出かけるのもいいですね。そこで今回は、ひと足早く楽しめる河津桜と、春の旅先で目にする花の撮り方を紹介します。毎日の撮影を楽しみましょう!

写真家・川合麻紀先生

川合麻紀

彩り写真家。さまざまな被写体を独特の色彩感覚で切りとる。女性限定写真教室Atelier Kawaiiphoto主宰。EOS学園、クラブツーリズム、TVなどでの講師実績、展示会での発表多数。書籍「露出を身につければ写真が変わる! 光と色の撮り方教室(朝日新聞出版)」など。公益社団法人日本写真家協会、公益社団法人日本写真協会会員。

春らしいきらめきの中の河津桜

春らしいきらめきの中の河津桜

EOS 5D Mark III・EF24-70mm F4L IS USM・絞り優先AE(F4・1/125秒)・+2補正・ISO400・ホワイトバランス:オート・ピクチャースタイル:風景

「逆転の発想」で解決! 邪魔なモノを活用した絵づくり

まだ寒い時期からでも、各地でさまざまな種類の早咲きの桜が楽しめます。なかでも有名な「河津桜」は、関東では2月末ごろから楽しめる濃いピンク色の桜です。白っぽく写りがちなソメイヨシノに比べて色が濃いので、皆さんがイメージする「桜色」に近い色で撮りやすいでしょう。
最初の一枚は、絵の具で描いたようなゆらゆらした描写と、画面にきらめきを取り入れようと考えて撮ってみました。
じつはこの場所、多くの人でにぎわっていて、道からはみ出さないようにチェーン(鎖)が張られていました。それを避けてカメラの高さを決めてもよかったのですが、チェーンに光が当たってキラキラしていたので、画面に取り込んで前ボケにしました。絞り開放(F4)にして、最大限にぼけるようにしたのがポイント。邪魔なモノを生かす「逆転の発想」ですね。
撮影中、突然きらめきがなくなってしまい「あれっ?」と思ったのですが、隣にいた方が「レンズの前にチェーンが入って邪魔でしょう?」と気を利かせてチェーンを持ち上げてくださっていました。そんな楽しいエピソード付きの写真です。

こんなふうにも撮ってみよう

河津桜の撮り方バリエーション

桜より濃いピンク色の前ボケをプラス

EOS 5D Mark III・EF70-200mm F4L IS USM・絞り優先AE(F5.6・1/350秒)・+2 1/2補正・ISO400・ホワイトバランス:オート・ピクチャースタイル:風景

春らしさ強調! 桜より濃いピンク色の前ボケをプラス

河津桜のピンクは、それだけでまとめても愛らしい色彩です。そこに菜の花の黄色を加えてみると、また違った印象になります。ピンクと黄色は比較的合わせやすい色です。さらに濃い目のピンク色の前ボケを加え、かわいらしく春らしい色彩にしてみました。
このかわいいピンク色の前ボケの正体は、何だかわかりますか? じつは提灯です。画面の半分程度に提灯を入れて、手すりなど邪魔なものを隠しつつ彩りをプラス。主役の花を際立たせました。

奥行き感を出すために、壁などの人工物を入れる

EOS 5D Mark III・EF70-200mm F4L IS USM・絞り優先AE(F4.5・1/180秒)・+2 1/2補正・ISO400・ホワイトバランス:オート・ピクチャースタイル:風景

奥行き感を出すために、壁などの人工物を入れる

先ほど前ボケに使ったチェーンや提灯が取り付けられていた柵が、画面左側に写っています。その下側はコンクリートの壁になっていました。
このような人工物は、お花や風景だけを撮ろうと思うと邪魔に感じられるのですが、この場の雰囲気を残してわざと画面に入れてみました。壁を入れることで奥に向かっていくラインができるので、画面に遠近感が出ました。絞りは開放付近にしてうまくぼかせば、思いのほかうるさく感じません。チェーンが光って玉ボケになり、桜の引き立て役になってくれました。

こんな表現にもトライ!

さらなるセンスアップを目指して

ライトアップ撮影のポイントは理想的な色彩の追求

EOS 5D Mark II・EF24-105mm F4L IS USM・絞り優先AE(F16・2秒)・-2補正・ISO400・ホワイトバランス:オート・ピクチャースタイル:風景

ライトアップ撮影のポイントは理想的な色彩の追求

ライトアップされた華やかな河津桜と、シルエットになった富士山。どちらもいい色で撮影したいと思い、日没後の周囲の明るさの変化を考えながら撮影しました。夜桜とはいえ真っ暗ではなく、まだかなり明るい時間に撮影しています。あまり暗くなってからでは人工光だけに頼ることになり、自然な桜の色が出にくくなるからです。
ライトアップ撮影には少々明るいかな? と思うくらいの早めの時間帯から、数分おきに撮影して、桜の色の変化を見るといいでしょう。

太陽の位置によって変わる「風景の表情」

同じ場所を撮影してみるとよくわかりますが、一日のなかでも朝の光と夕方の光とでは、写真の雰囲気が大きく変わります。
河津桜のライトアップと富士山の風景を異なる時間帯に撮影した写真(下の2点)をご覧ください。どれが正解というわけではありませんが、お気に入りの撮影スポットができたら、時間帯を変えて足を運び、異なる光の状態で撮影してみましょう。イメージどおりに撮影するためのセンスを磨くことができます。

朝に順光で撮影した河津桜

朝、順光で撮影。桜にも光が当たっているので桜の色と、富士山の色、そして青空の色がきれいに出ています。条件がそろいすべてがきれいに見える、いわゆる「ポストカードのような」写真です。

夕方に逆光で撮影した河津桜

夕方、逆光で撮影。夕方の写真は、太陽が富士山側に移動しています。手前の桜の色をギリギリまで出す明るさで撮ると、富士山もギリギリで明るすぎない光のバランスです。難しい光の条件下でうまく撮れるとドラマチックに仕上がります。

ライトアップされた河津桜

EOS 5D Mark II・EF24-105mm F4L IS USM・絞り優先AE(F4・1/8秒)・-1補正・ISO1600・ホワイトバランス:オート・ピクチャースタイル:風景

華やか成分アップ! ライトアップの桜の背景に踊る玉ボケ

ライトアップされた河津桜。色っぽく、しかもかわいらしく撮りたいと思いました。この場所は山の上の公園で、眼下に街の明かりが見えました。その明かりを背景にして玉ボケをつくってみました。
このような玉ボケが撮れる条件は、遠い距離に点光源があること、手前の花を望遠レンズで絞りを開放にして撮ることです。「点光源が遠くにあること」が一番のポイント。
濃いピンクの河津桜と、カラフルな玉ボケをリズミカルに並べることで、華やかさを出しました。空の青みが残る薄暮の時間に撮ることで、明るさの差があまりない状態で撮れるので、桜の色も出やすくなっています。

ポイントまとめ

  • 一見すると邪魔な人工物を表現に取り入れてみる
  • 一日の時間帯や太陽の位置を意識して光を見極める
  • ライトアップは薄暮の時間に撮ると華やかな色に

桜は人々の暮らしに身近な花なので、撮るときには人工物に悩まされます。邪魔だからといって、どかすわけにはいきません。写り込まないようにうまく避けるか、あるいは逆に利用するような気持ちで楽しく撮影してみてはいかがでしょうか。
桜が咲いている場所によっては、背景に人物をぼかして入れるなどスナップ風に撮影しても、春らしくかわいい写真が撮れると思います。

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ありがとうございました。

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