愛知県生まれ。医療ソーシャルワーカーとして精神障害者のケースワークに従事。その後、自然写真家として独立。身近な自然から風景・オーロラと幅広いジャンルを手がけ、繊細で力強い独創的な作風を特徴とする。オーロラと風景を組み合わせた一連の作品は海外からも高く評価され、カメラ誌・アウトドア誌・カレンダーなど多くの媒体に作品を発表している。
日本写真家協会・日本自然科学写真協会 各会員
冬のおすすめ被写体〈発見のヒント〉
冬の被写体は、雪景色だけではありません。冷え込んだ朝に見られる薄氷から霜風景、
木々を包み込む樹氷など、地域によって冬が描く景色や被写体はさまざまです。
さあ、冬の魅力的な被写体を見つけるヒントをお届けしましょう。
「冬の風景はモノトーン」といわれますが、じつは冬の風景は、朝夕の時間帯には色に染まり、ドラマチックな風景を見せてくれます。キーポイントは「太陽光の演出」。
雪に覆われた白銀の世界であるほど、刻々と変化する光の影響を受けやすいので、ドラマに満ちているといえるでしょう。
撮影データ:EOS 5D Mark II・EF70-200mm F2.8L IS USM・F13・0.4秒・-1/3補正・ISO200
撮影地:長野県立科町
小さな池の岸辺で見つけた薄氷。日の出前、薄明の青空を受けて全体が青く染まっていました。
日の出前の時間帯は光量が不足し、スローシャッターになりやすいので、三脚の使用をお勧めします。
撮影データ:EOS-1Ds Mark III・EF70-200mm F2.8L IS USM・F11・1/125秒・ISO100
撮影地:福島県 裏磐梯高原
日の出直後に撮影した水辺です。周辺の雪原や立ち込める川霧まで、すべてがオレンジ色に染まりました。
この色の変化こそドラマを演出する早朝の光です。
撮影データ:EOS-1Ds Mark III・EF70-200mm F2.8L IS USM・F14・1/25秒・-1 1/3補正・ISO100
静まり返った朝。スポットライトのような朝陽が差し込み、木立を浮き上がらせました。
起伏や高低差のある場所ほど光の当り具合がまばらとなり、変化に富んだ光景が展開します。
撮影データ:EOS-1Ds Mark III・EF70-200mm F2.8L USM・F14・1/320・+1/3補正・ISO100
撮影地:北海道上富良野町
午前9時ごろ撮影した雪原風景。太陽は十分高く上がり、雪の反射でかなりまぶしく感じます。
その場合は、カメラもまぶしく感じているはずなので、露出アンダーになりがち。
白い雪景色ではプラス補正を心がけましょう。
雪の少ない地域でも気温が0度付近にまで下がると、水溜まりや地面の水分が凍って「氷の世界」が現れます。薄氷、結氷する湖沼、霜柱や氷柱のほか、樹氷、飛沫氷、氷と雪のコラボレーションなど。氷には表情があり、さまざまな形で見る者を楽しませてくれます。
撮影データ:EOS-1Ds Mark III・EF70-200mm F2.8L IS USM・F14・1/8秒・+1/3補正・ISO100
撮影地:長野県 霧ヶ峰
空気中の水蒸気が氷となって木々や草木に付着した霜風景。
景色は隅々まで霜に包まれ、あたかも雪景色のようですが、
よく見ると草木の色がわずかに透けて見えます。
撮影データ:EOS-1Ds Mark III・EF100mm F2.8L マクロ IS USM・F9・1/80・-2/3補正・ISO200
撮影地:長野県 横谷峡
木々の枝が氷に包まれる「雨氷」。雨や滝の飛沫に濡れた木々が急激な気温の低下で凍ってしまう現象です。
厳冬期ならではのドラマと言えるでしょう。
撮影データ:EOS-1D Mark II・EF16-35mm F2.8L II USM・F16・0.3秒・ISO100
撮影地:岐阜県高山市 氷点下の森
夜の始まりを予感させる青い世界は「ブルーアワー」とも呼ばれます。
フォトジェニックなこの氷柱群は、
「氷点下の森」と呼ばれる観光の名所です。
撮影データ:EOS 60D・EF-S15-85mm F3.5-5.6 IS USM・F8・1/320秒・-1 2/3補正・ISO100
撮影地:富山県 五箇山
軒先の氷柱は、室温で溶けた雪が解けて凍結したものです。
自然風景とはひと味違うひとコマですが、人の暮らしと大自然の共存風景が見えてきます。
水際の氷に足を乗せた途端に亀裂が走り……そのときの写真です。幸い水没はまぬがれました。
冬の撮影フィールドでとくに注意したいのが、雪に覆われた足元です。雪の下が凍結した湖や池ならなおさらです。「乗っても大丈夫」と体重をかけたとたんに割れることがあります。氷の厚みは一定ではありません。不用意に踏み込むと危険です。冬の撮影には、安全面の注意も怠りなく!
その他にも、さまざまなコンテンツが満載